出掛けようと思ったら財布がなかった。
出掛けるときの恒例行事である。
携帯、財布が出がけに行方不明な事は日常茶飯事なのである。
どうせコタツ布団の脇辺りに・・・
ない。
どうせごちゃごちゃになった荷物に紛れて・・・
ない。
なんだ、洗面台の上に置きっぱなしに・・・
ない。
あはは。そうかそうか、車に置きっぱなしにしちゃったのか。
・・どうせ車の助手席辺りに
ない。
座布団の下にあるに決まっ・・・
ない。
横から座席の下に落ちたかー。
ない。
おやや助手席の下にまで滑りこん・・・
ない。
ない。ない。ない。ない。ない。ない。ない。
ない。ない。ない。ない。ない。ない。ない。
本格的にない。
一気に血の気が引くしゅんち。
どこかで落としたのだろうか・・・?
今日の行動パターンを思い出す。
・・今日は、朝飯と昼飯を買うためにコンビニに行った。
そして、後は家でダラダラと過ごしていた。
それだけだ。
ということは落ちてたとすればコンビニにあるかもしれない。
・・というわけで、コンビニに電話をかけてみるしゅんち。
しゅんち「あっ・・もしもし。すみません。今日は財布の落とし物なんかなかったですか?」
店員「あー、えっと少々お待ち下さい。」
・・・
・・たった数秒ではあったが永遠と思われた待ち時間。
店員「あっ お待たせしました!」
しゅんち「・・・で!どうでした?」
ゴクリ・・・
店員「今日は落とし物はありませんねぇ~。」
がびーん。
しゅんち「ほ、本当になかったですよね?」
店員「ありませんね~。」
さらに血の気が引くしゅんち。
徐々に変な汗が額からにじみ出てきた。
ちょっとまて・・・落ち着いて考えるんだ・・・。
<推理中>
「落とした場合」
もし、誰かが拾ったならば拾った人によって次の可能性が考えられる。
<善人の場合>
財布には免許証が入っていたため、免許証記載の電話番号に連絡をとるはず。
しかし、しゅんちのアパートの電話番号は現在使われていないため不在扱いになる。
よって、財布に入った名刺を見て会社に電話をしてくるはず。
今日は日曜日なので月曜日会社に行けば連絡が来る。
そうだ。心配はいらない。きっと明日になれば大丈夫だ。
今日は財布の事は忘れて寝てしま・・・
まてよ・・・
もし拾った人が悪人の場合なら・・・
<悪人の場合>
財布の中身には現金二万円程度入っている。
さらにキャッシュカードとクレジットカードが・・・
クレジットカード!?
クレジットカードは名前を書きさえすればいくらでもクレジットできる。
財布にはおあつらえむきに免許証まで同封されているとう始末。
サインも楽々。
ま、ま、ま、まずい!!
く、くれ、クレジット止めなきゃ!!
とうわけで推理の途中でクレジット会社に電話をかける。
しゅんち「も、もしもし!」
受付「はい。こちら○○クレジット会社、東京支店担当の相宮です。」
長い挨拶がもどかしいしゅんち。
しゅんち「え、えっと。く、クレジットカード停止してほしいんですが!」
受付「はい。紛失されたのですか?」
しゅんち「は、はい!お、落としました!」
受付「それでは、お名前、生年月日、それからご住所を正確に教えて下さいますか?」
しゅんち「え、えっと・・・」
お、落ち着け自分。
そう自分に言い聞かせ受付のお姉さんに個人情報を伝える。
そして、停止処理をなんとか行い、さっきから聞きたかった事を聞き出す。
しゅんち「あ、あの・・・今日使われてませんよね?」
受付「はい?ご利用ですか?少々お待ち下さい。」
・・・
・・たった数秒ではあったが永遠と思われた待ち時間。
受付「お待たせしました。」
しゅんち「は、はいはいはい。」
受付「えーっとですねぇ・・・。」
・・・ゴクリ。
受付「先週使われてからありませんでしたね。」
しゅんち「そ、そうですか!よかったぁ・・・。」
受付「それでは停止処理しましたのカードは使えなくなりますので再発行費用として525円かかります。」
・・とりあえず最悪の事態を免れたしゅんち。
クレジットカードの停止処理を終えたしゅんちはさっきの推理の続きをする。
えっと、なんだっけ・・・ああ、これか。
<悪人の場合>
クレジットカードが入っていたにもかかわらず使った痕跡がなかった。
恐らく財布を拾った時点で中身だけ抜いた疑い。
足が付かないようにその後はゴミ箱へポイ。
ゴミ箱へポイ・・・。
ゴミ箱・・・。
・・・。
コンビニのゴミ箱!
しゅんちは先ほどかけたコンビニへリダイヤルをする。
しゅんち「あっ!もしもし。すみません先ほど電話した者ですが・・・。」
店員「あぁ、財布を無くされた方ですね?」
しゅんち「はい!無くした者です!」
しゅんちはゴミを探させてくれるよう頼み込む。
店員「えーっと。いいですよ。じゃあ、お待ちしておりますね。」
・・というわけで急いでコンビニへ向かうしゅんち。
コンビニに到着し、さっそく裏のゴミ置き場へと案内される。
ゴミ散策の前に手が汚れないようにゴム手袋を買う。
そして、山積みになったゴミ袋を引っぱり出す。
ゴミは大袋10個近く積まれていた。
どうやら、3時間に1袋の量らしい。
落としたと思われる時刻から逆算すると手前の4袋が怪しい。
さっそく中身を空け手で探る。
酸っぱい異臭が鼻に付く。
レシートを見れば捨てられたゴミの時刻がわかるという事に気付き、朝8時頃のレシートの紛れたゴミ袋を集中的に捜索。
コンビニのゴミのはずなのに教科書やら靴やら色々なゴミが出てくる。
などと関心している場合ではない。探さなくては・・・。
がさごそ・・・
がさごそ・・・
・・・・
ない。
・・結局ゴミからはなんの手がかりもでてこなかった。
手に着けたゴム手袋をそのままゴミ袋に捨て、倉庫にしまうしゅんち。
そして、コンビニのお兄さんにお礼を言いコンビニを後にした。
絶望感が胸に押し寄せて来た。
なぜ朝コンビニから帰って来たとき財布の事を気にかけなかったのだろうか・・・。
なぜもっと早くに財布が無いことに気が付かなかったのか・・・。
なぜこんな時に限って夕方までアパートに引きこもっていたのだろうか・・・。
次々に後悔の念が沸き上がって来た。
しゅんちは髪をかきむしりながらうなだれた。
・・残された手段はあと一つである。
しゅんちは最後の砦「交番」に向かうのだった。
なんとなく交番に向かうというのはバツが悪い。
なにか悪い事をしたのか困った事を起こしたのか。
恐らく駐在している警察官も「今度はどんな困った人かな?」なんて思ってるのだろうか。
しゅんちはバツの悪そうな顔をして交番の扉をガラガラと開いた。
警察官「えーっと。どうされました?」
しゅんち「財布を落としまして・・・。」
警察官「えっとどの辺で落とされたとか心当たりありますか?」
しゅんち「朝、コンビニに行きまして・・・それからアパートに帰りました。」
警察官「それで?」
しゅんち「それだけです・・・。」
警察「え?それだけですか・・・?そ、そうですか。」
あまりの外出時間の短さに驚かれた。
警察官「そ、それではこちらの書類にお書き下さい。」
しゅんちは暗い面持ちで住所氏名年齢を書いていく。
警察官「はい。それではちょっと本部に紛失物について電話で聞いてみますね。ちょっとお待ち下さい。」
しゅんち「はい・・・。」
・・・。
・・たった数秒ではあったが永遠と思われた待ち時間。
警察官「あっ はい。わかりました。ガチャ」
しゅんち「ど・・・どうでした?」
ゴクリ・・。
警察官「えっと本部にも紛失物は出てないそうですね。」
しゅんち「そ、そうですか・・・。」
警察官「それではまた見つかりましたら連絡しますね。」
しゅんち「は、はい・・・。」
警察官「また、車の中から発見したとか見つかった時はすぐ連絡下さいね。」
しゅんち「はい・・・。」
最後の砦もあっさり崩れ落ちた。
・・というわけで何の手がかり出ないまま交番を後にするしゅんち。
現金などどうでもいいからカード類だけは返して欲しい・・・。
しゅんちは帰り道、明日のお金をどうしようか新しい財布をどうしようか免許の再交付をどうしようかキャッシュカードの再発行をどうしようか。
ショックな上に山積みになった仕事の多さに頭が痛くなってきた。
なんだか情けないやらショックやら不安やらで泣きそうになるしゅんち。
「車の中から発見したとか」
さっきの警察官の言葉だ。
確かに誰が聞いても外出時間が短すぎる。
あの警察官は客観的に考えて可能性としては車の中から発見される可能性が一番高いと思ったのだろう。
しゅんち「もう一回だけ探してみよう・・・。」
よく探したつもりだったが念の為、もう一回車の中を探してみることにした。
運転席の座席の下を丹念に探ってみる・・・。
やっぱりない。
助手席の下を丹念に探ってみる・・・。
やっぱりない。
座席を倒して・・・・
倒して・・・
倒・・・
・・・
あったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!(大泣)
手じゃ探れない倒さないと見つからないデットゾーンに財布が挟まっていた。
なんでそんな所に落ちたのかと思わせるミラクルな場所に。
深夜なのでこっそりと駐車場で小躍りしながら財布を胴上げをするしゅんちであった。
・・こうして無事財布を発見しうれし半泣きのしゅんち。
よかった。本当によかった。本当によかった。
こうして無事一件落着・・・
あ。
カード停止しちゃった。
<今回の被害総額>
クレジットカード再発行費・・・525円
ゴミ捜索の為のゴム手袋・・・125円
合計 650円チーン
ま、いいか。見つかったんだし・・・。
<今日の教訓>
「財布」それは・・・
一番落としてはいけないものである。
いつも持ち歩いているのが財布と携帯だよね。 でも、これらっていつも持ちあるてて気軽に感じてるけど、 一番、落としちゃまずいランキング1位、2位だよね。 落とさないような工夫を二重三重にしなくちゃいけないと思うんだけど、日常とは恐ろしいもので、やっぱり気軽に扱っちゃうんだよな。 まさに「失ってみるまで大事さに気がつかない」ってやつだね。 |
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