shunchi極楽旅行記


PM 6:00〜

毛越寺を後にした一行は今日の宿泊地である宮城県気仙沼に向けてしゅんちの運転で出発。
どうやら今夜は気仙沼で極上の海産物とフカヒレを堪能する計画らしい。

消化されないそばが気になりつつも運転を続けるしゅんち。
皆は疲れたのか、しゅんちの運転がなるいのか全員爆睡するのだった。

そして、2時間ほど運転してホテルに到着。
荷物を部屋に置いた後、父母の部屋にて今夜の計画を練る。

父は持ってきた旅行雑誌を開き、気仙沼市街の寿司屋をチェックしていた。
そして何件かピックアップし電話してみる。

行き先も決まり早速気仙沼市街散策開始である。

「夜6:30なのに・・・?」

ホテルを出て街を歩いてみると、驚くほどの静けさ。
時刻は6:30だというのに、まるで真夜中の街を歩いているようだった。
確かに長野も今でこそお店は開いているが昔は7時といえばほとんどの店がシャッターを閉め、街は静まり返っていたことを思い出す。ここは田舎の港町なのだ。無理もない。

「あさひ寿司」

静かな街をしばらく歩くとぼんやりと明かりの灯った建物が見えた。どうやらそこが目的の寿司屋らしい。
店の名前は「あさひ鮨」。気仙沼でも有名な寿司屋らしく、名物のフカヒレなども食べれるらしい。

店内に入り、名前を告げると着物の女将が二階へと案内した。
どうやら個室をとっていてくれたようだ。
部屋は10畳くらいの広い部屋。まるでVIP並みの対応に感動。

「とりあえず乾杯」

注文したのは特上寿司、特上刺し身盛りの他に気仙沼の名物と思われるものを片っ端から頼む。
フカヒレのヒレ酒、フカヒレの土瓶蒸し、ほやの握り・・などなど。

「気仙沼名物握りセット」

フカヒレといえば普通中華料理なんかでスープに入っているものしか食べたことがない。
まさか握りで出てくるとは。

父「こりゃかなり立派なものだな!なかなかこんなの食べれないぞ。」

父がフカヒレの握りを見て感動の声を漏らす。

しゅんち「それじゃ一発目いかさせていただきます!」

早速実食。みなの注目が集まる。



パクッ




モグモグモグモグ・・・




しゅんち「・・・ん?んん!?」

兄「・・どう?」

母「うまい?」

父「かなりの高級食材だぞ?」

しゅんち「むむむ・・・・・・」

アコ「・・ん?」






しゅんち「よ、よくわからん・・・。」

兄「なんだそりゃ。」

しゅんち「じゃあ、アコちゃん次に食べてみてよ。」

アコ「うん。」


パクッ


モグモグモグモグ・・・


アコ「・・・ん。」


しゅんち「・・どう?」



アコ「ん・・・んんんん?」


しゅんち「どんな感じ?」


アコ「・・・よくわかんないね。」


しゅんち「なんつうか・・・何かの味に似てるんだよね。なんだろ?」

アコ「そうそう・・・なんだっけこの味?」

しゅんち「うーん・・・?」

アコ「なんだろ・・・?」



しゅんち「・・・わかった。あれだ。」




アコ「なに?」





しゅんち「ぶどうの皮の味だ。」

アコ「ああ!似てる似てる!」



高級食材も台無し。

しゅんちたちにはレベルの高すぎた食べ物であった・・・。

「うに丼、土瓶蒸し、ヒレ酒」

父がしゅんちにフカヒレを食べさすのは勿体無いと言い、分かりやすいところで刺身やうに丼を食べるのだった。
さすがは気仙沼。海産物やうには絶品であった。
ウニ好きの父もウニには色々うまさの種類があってこのウニはコクがあるとかどうとかウンチクを垂れていた。
殿はマイペースに自分の好きなものばかりを食べていた。

しゅんち「あー!兄ちゃん何食ってんのそれ?」

兄「え?ああ、フカヒレスープだよ。」

しゅんち「ぬおお!!それが食べたい!なんで1人で食ってんだよ!

さすが殿。
この場にあるおいしい物をよくわかってらっしゃる。

早速兄からフカヒレスープを奪い取り、試食する。


じゅるじゅる・・・


しゅんち「ああ!これだこれ!」

味の深いスープにプリプリとした歯ざわりが楽しい。
これが本場のフカヒレというものだろう。
ようやくわかる味にたどり着き満足するしゅんちであった。

・・こうして一行は気仙沼の海鮮料理と寿司を堪能するのだった。


PM 9:00〜

ホテルに戻った一行は部屋で飲みなおすことにした。

母「しゅんち。アレやりましょ。」

母がしゅんちに目配せする。

しゅんち「ん?・・・あ!アレね!」

しゅんちは母の目配せに気付くとベットの上に立ち歌いだす。


しゅんち「ハ〜ッピバ〜〜〜スデ〜〜〜トゥーユ〜〜〜♪」


バースデーソングを口ずさみながら例のプレゼントをかばんから取り出す。

しゅんち「ハ〜ッピバ〜〜〜スデ〜〜〜トゥーユ〜〜〜♪」

興奮してベットの上で飛び跳ね、奇妙な踊りを始めるしゅんち。
それにつられて不器用に踊りだす父。

しゅんち「ハッピ〜〜〜バ〜〜〜スデ〜〜〜トゥ〜〜ユ〜〜〜♪」

父「あっそれっ♪」

兄「あははは」

二人の奇妙なダンスに大爆笑の兄。

しゅんち「おめでとー!いえーーーい!」

父「おめでとーあっそれ♪」

プレゼントを両手で高く掲げ叫ぶしゅんち。

しゅんち「イヤーーー!!」

兄「あはははははは」

父「あっそれ♪」

二人はまさに宴会の余興で踊る典型的なサラリーマンの図である。


兄「・・んで、



誰の誕生日だっけ?」



しゅんち「え・・・?」




母「あんたでしょ!!」


叫ぶ母。


兄「え!?・・あああ!!俺か!!」




鈍すぎるよ。


兄「じゃ、じゃあしゅんちのそれは俺にか!?

しゅんち「そ、そうだよ・・・。」

祝福のダンスが見事空振りし虚しくなるしゅんち。
そしてプレゼントを力なく手渡す。

兄「中身はなんだ・・・?お、おつまみか・・・?」

母「よく見なさい。」

兄「ん?封筒・・・?おおおおおおおお!!」


ビール券に絶叫。

やはり兄の喜びそうな物の予想は的中していた。

・・どうやら兄の誕生日は本人だけ忘れていたらしい。
祝福のダンスで二人の額ににじんだ汗が虚しく光っていた。

こうして東北旅行最後の夜が更けてゆくのだった・・・。


最終日 AM9:00

今日は最終日。ところどころ観光をしつつ長野へ帰る予定である。
ホテルをチェックアウトすると昨日食べたウニ丼が忘れられない父がもう一度食べたいということで、気仙沼漁港の近くにある食堂で朝からうに丼を食べた。

「巨釜」

朝食を食べた後、気仙沼の有名な岬「巨釜(おがま)」を観光。
波がかなり激しく大な釜の中で湯が煮えたぎる様に見えるためそう呼ばれているらしい。

「荒れ狂う波」

岩に叩きつけられる波はものすごい迫力。
まさに鳥羽一郎「兄弟舟」でも聞こえてきそうな雰囲気である。

「高台からの絶景」



空の青と海の青の鮮やかさに胸がすくしゅんち。
波の音が耳に心地よい。
長野県は山国で海がないのでやはり海には憧れる。

こうして東北最後の観光地を後にした。


PM1:00〜

ここからは兄夫婦と別行動になる。
兄はかなり遅めの夏休みを取っているらしく、この後はレンタカーを借り、夫婦水入らずで更に旅行を続けるらしい。
しゅんち達は明日から仕事なのでそのまま長野を目指す。

レンタカー屋に着き兄夫婦ともここでお別れである。

しゅんち「兄ちゃん運転大丈夫なのか?あはは」

兄「まあな。」

しゅんち「あ!そうだ。CDあげるわ。」

しゅんちはCDケースから何枚か兄に渡す。

母「それじゃ気をつけなさいね。」

兄「うん。」

アコ「ありがとうございました。」

父「じゃあ、気をつけろよ。」

兄夫婦と別れを告げ、3人になってしまったオデッセイは長野に向けて出発した。


PM 4:30〜

長野に帰る道中にどうしても寄り道したいところがあった。

「喜多方ラーメン館」

福島県の喜多方ラーメンである。
ラーメン好きのしゅんちを思ってか父は寄り道してくれたのだった。
ラーメン館というところがあったのでまずはそこで事前調査してみることにした。

喜多方市にはラーメン屋がかなり多く点在しているらしい。その数約120店舗
ラーメンマップなるものを見てみるとここの近所にもぎっしりとラーメン屋がひしめき合っていた。かなり驚き。
何件か目星を付け、早速徒歩で向かってみる。

ラーメン屋の隣にラーメン屋。その向かいもラーメン屋。そのまた向こうもラーメン屋。
この街の人たちはそんなに毎日ラーメンを食べているのだろうか?
これだけの店があってそんなに毎日お客が来るのだろうか?
この街ではまるで味噌汁のように毎日ご飯のお供はラーメンなのだろうか?
さまざまな疑問が頭をよぎった。

母「あら?やってないわね?」

目星を付けていたお店は既に閉店していた。

父「ありゃ!?あっちも閉まってるぞ。向こうの店もだ!?」

しゅんち「まてよ・・・。ひょっとして5時で全部閉店しちゃうのか?」

そういわれてみると観光者もかなり少ない。

しゅんち「やばい!これじゃ食べ損ねるぞ!?」

三人は焦って車に戻る。

最悪はチェーン店に行くしかない。
しかし、できれば地元ならではの個人経営店に行きたいところである。

父「ちょっと車で何軒か回ってみるか。」

車に乗り込み、ラーメンマップ片手に喜多方市内を散策。
しかし、行けども行けども閉店しているばかりである。

しゅんち「う〜〜ん・・・だめかな?」

と、あきらめかけたその時ラーメンマップの下の方に気になるお店を発見。

しゅんち「ラーメン博物館出店「大安」。・・・ラーメン博物館って・・・あの新横浜のか!?

ラーメン博物館とは新横浜にあるラーメンテーマパークである。
全国各地の有名ラーメン店を一挙に集めたしゅんちにとっては夢のような場所である。
そんなところに出店するとはよほどの店だろう。

しゅんち「と、とりあえずそこに行ってみよう!」



「ラーメン大安」

怪しげな雑居ビルの一階が駐車場になっていて、そこに車を停めた。
そしてまるで廃ビルのような階段を登っていくと不自然な感じにのれんを発見した。どうやらやってはいるらしい。
ここで怖気づく訳にもいかず、意を決して店内へ。

広い店内。14型のテレビだけが賑やかだった。お客はカウンターに常連ぽいおじさんが1人。
そして真ん中の席にぽつんと座る三人。
混む時もあるのだろうか待ち合い場所のイスが不自然にズラーっと並んでいた。

店員「いらっしゃいませ。」

キリンと書かれた小さいコップに入った水を持ってくるおばちゃん。

父「とりあえずラーメン三つ。」

母「ああ!私は味噌ラーメンがいいわ。」

なんとなく不安に思ってきたしゅんち。大丈夫だろうかこの店は・・・?
しかし、店内にはラーメン博物館のポスターが張ってあり、間違いなく「大安」が出店してたことがあることを証明していた。
そしてサイン色紙は林家木久蔵の名前があった。更に店長と一緒に肩を組んだ写真もある。

きょろきょろしているうちにラーメンが運ばれてきた。

「喜多方ラーメン」

予想以上にうまそう。
うまそうな湯気が鼻をくすぐる。

箸を割り、レンゲでスープを一口。


じゅるじゅる・・・



しゅんち「・・・・!!」

すぐに父に目をやるしゅんち。
父も目を丸くしてしゅんちと目を合わせる。

しゅんち「父ちゃん・・・来たねこりゃ。すごいわ!」

麺は太目の平打ち麺。スープは鳥なのか豚骨なのかあっさりした醤油味のようでコクのある味。
麺をすするたびにスープがからまって一気に口に入ってくる。
しつこくなくいくらでも食べれそうな感じだった。

父「こりゃうまいな!」

父は本気になったのかかぶっていた帽子のつばをくるりと回転させた。
そこからは会話もなく一気にラーメンを平らげる3人であった。

さすがはラーメン博物館に出ただけはあるラーメンだった。
恐らく、閉店間際で客が少なかったのだろうか。
とにかく運良く絶品の喜多方ラーメンを食べれて大満足であった。


喜多方ラーメン万歳!


PM 6:30〜

帰りの車の中。
毎回恒例の総括を聞くため父に色々質問するしゅんち。

しゅんち「父ちゃん今回の旅はどうだったよ?」

父「まあ〜あれだな。色々面白い事もできたし、なかなかだったんじゃねえか?」

しゅんち「わんこそばとかも面白かったよね。」

父「まあ〜ユッキーたちと一緒に旅行できたのもよかったな。」

しゅんち「そだねぇ。次回はどんな計画なの?」

父「そうだなぁ〜来年辺りになるとひょっとしたらアコちゃんに赤ちゃんとかできるかもしれないしな。」

しゅんち「おお!そうか!」

父「まぁ〜しばらくは遠くの旅行っても無理だろうから、家族旅行はお休みかな。」

しゅんち「そっかー。」

父「まぁ、どこかいくにしても伊豆の別荘か何か借りてのんびりすごすとか、佐渡辺りに行ってうまい海産物でも食べてのんびりするってのもいいかな。」

しゅんち「なるほどね。」

家族旅行。
最初は4人で行くために計画された行事だった。
しかし、今は兄が結婚し新しい家庭を作った。
そのうち新しい家族も増えていくだろう。
そしてしゅんちもいつかはそうなってくのだろうか。

父「まあ、そのうちおまえたちが俺達をどっかに連れてってくれるようになるんじゃねえか?わはは」

しゅんち「ど、どうかな?」

色々考えながら窓の外の夕暮れを眺めるしゅんち。
なんだか感慨深い気持ちになるのだった。


3人を乗せたオデッセイは長野に向けて赤焼けた道路をひたすら走るのだった・・・。


shunchiの東北旅行記  完

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