shunchiの極楽日記


act 46 笑顔の限度

客商売にとって一番大切なのは笑顔だとよく聞く。
かの有名なテーマパークディズニーランドに行くと、気味が悪いくらいどの店員も笑顔である。
しまいには掃除のおばさんまでもが笑顔。
さすがに超一流のサービス業といえるだろう。

マクドナルドなんかではメニューに「スマイル」なんてのがある。
もちろん無料で、よくからかって注文する人も多い。

しかし・・・

スマイルを注文してもないのに笑顔をくれる。

客商売をするにあたって笑顔とは非常に大事なことのようだ。

しゅんちも一応客を相手にした仕事をしている。
笑顔には気を遣っているつもりだ・・・というよりしゅんちは、もともとにやけたような顔なので便利である。

そんなある日、ある会社の事務所に行った時のことである。

事務所内にはおばさんが数名いて、受付の所からガラス窓を開き「ごめんください」と挨拶をした。
すると、おばさんの一人がしゅんちに気付き、かなり早足でこちらに向かってきた。

「いらっしゃいませ!」

おばさんは早足で来たため勢い余ったのかガラス窓をのりだし顔をこちらに向ける。
さらに・・・ものすごい笑顔。

笑顔指数という数値があったなら・・・このおばさんの数値は120%・・・いや180%はあっただろう。
波動砲が2,3発撃てそうな感じだった。

こ・・・怖い・・・

しゅんちは一瞬後ずさった・・・。
その後もあまりに笑顔がまぶしくておばさんの目を見ることはできなかった・・・。

笑顔にも限度があると思った出来事だった・・・。


act 47 新しい宗教

社会にでると必ずぶち当たる問題が年輩の方とのコミュニケーションである。

しゅんちは親や、親の友達や、親戚のおじさん、おばさんともかなり仲が良かったりするので、年輩の方とのコミュニケーションには慣れているつもりだった。

しかし、実際単身で社会にでてみるとコミュニケーションをとるのは難しいものがあった。
要するに年輩の方からのしゅんちの見方が「うちの親の息子」というカテゴリーから、
「最近の若い人間」というカテゴリーに変わるからであろう。

その証拠に「きれやすい現代人」などというニュースがあれば会社のおじさんとかに真っ先に
「おまえもそうじゃねえのか?」と冗談まじりに言われてしまう。

年輩のおじさんはしゅんちと比べると何十年も人生経験が長いので知識や教養はもちろんしゅんちよりも豊富だ。
難しい事件が起こるとしゅんちは会社のおじさんに歴史背景などを色々と教えてもらうことが多い。
もちろん終始「おまえは本当に何も知らない」と言われ続ける特典付きではあるが・・・。

日本という国は宗教の盛んな国ではないと思う。一応、仏教が多いとは思うが仏教の教えを守っている人は少ないのでは・・・。
いや、教え自体ほとんど知らない人が多いのではないだろうか?実際、しゅんちもほとんど知らない。
しかし、他国はなんらかの崇拝する宗教があって、その教えの元に生活をしているようにみえる。
物事の判断基準も宗教によるものが多いのだろう。

そうなってくると日本の場合はどうなってしまうのだろうか?
おそらく、各個人が自分の「ものさし」で判断し、時には互いに口論をしながら物事の判断基準を構築していくのだろうか。

こんな日本社会ではあるが、一つふと思う事があるのだ。

ある日、しゅんちはまたわからない事があり、おじさんに色々と質問をする。
おじさんに色々教えてもらった後、

「どうしてそんなに知ってるんですか?」と聞くと・・・

「そんなの当たり前田のクラッカーだ。」

当たり前田のクラッカー・・・。これはまだテレビが白黒放送の時に流行ったテレビCMである。
まさにべたべたのダジャレだ。

自分の知ってることはすべて「当たり前だのクラッカー」なのだ。

そして、逆にちょっと最近の流行の話になり、そのおじさんが知らない事が出てくると・・・

「そんなことは知らなくて当たり前田のクラッカーだ!」

と、まさに逆切れ状態である。
知っている事が罪のような状態。

どこに基準があるのだろうか・・・。
もしかしたらどこかにしゅんちにはわかり得ない教えみたいのがあるのだろうか・・・。
そうなってくるとなにか宗教っぽいような気がしてくる。

教典に書いてある事を知らないのは罪。
その教典にのってない事を知っているのも罪。
いずれも宗教の教えに反するものは否定されてしまうのだ。

そこで・・・この宗教を命名することにした・・・

<命名>
「当たり前田のクラッカー教」


act 48 ラーメン道

しゅんちはラーメンが好きだ。
よく、ローカル雑誌で県内のラーメン特集など組まれることがあるが、そこへ登場するラーメン屋にはよく行ったりする。
一時期、雑誌に掲載されているラーメン屋を全て回ろうとして、毎日食べ歩いたものだ。

ラーメン好きの人は結構多いが、一番悩ましいのは個人の好みの違いだ。
本当にこれは千差万別で、うまいと思ってたお店を人に紹介すると、まずいという答えが返ってきてしまうことはしょっちゅうだ。
焼き鳥の塩とタレ、コロッケにかける調味料、みそ汁のダシの好みが人それぞれ違うようにラーメンの味の好みも全然違うようだ。

ちなみにしゅんちの好みだが、どちらかというとコクを重視する。
もともと、お吸い物や茶碗蒸しなどダシの効いた食べ物が好きなので、瞬発的な味よりも後からじんわり味わい深いラーメンが好きなのだ。

こんなラーメン好きのしゅんちだが、ずーっと気になっていて行ったことのない店があった。
一度入ってみようと思っていたのだが、どうしても踏み込めないでいたのだ。
なぜなら、店の雰囲気がちょっと怪しげだったからである。
その店名は・・・

「ラーメンQ」

あやしい・・・なぜ「Q」なのだろうか・・・。オバケのQ太郎だろうか・・・それとも、ウルトラQなのだろうか・・・
それこそQ(クエスチョン)である。
さらに、看板が黄緑な上に白い文字で怪しさ倍増なのである。

何度も何度も通り過ぎたが結局何年経っても入れずにいたのだった・・・。

そんなある日、あるHPにて意外なお店紹介を見かけた。

「ラーメンQ・・・・有名な「藤ラーメン」の姉妹店。」

藤ラーメン・・・。このラーメン屋はテレビチャンピオンにもでたことのある有名店である。
スープはコクのある醤油系でシャキシャキのもやしとネギが山のように盛られた特徴的なラーメン。
しゅんちも一時期はまって毎日足繁く通った店でもある。
そのお店と姉妹店だったとは意外である・・・。

それでも怪しさに負けしばらく行けなかったのだが、ついに一大決心をし、そのお店に入ってみることにしたのだった。

店内はもちろんその怪しさのせいか、客は誰もおらず閑古鳥が鳴いていた。
勇気を振り絞り、ガラガラと戸を開けぽつんとカウンターに座った。

そして普通のラーメンを頼むことに・・・。
普通のラーメンの題名は予想通り、Qラーメンだった・・・。

たしかに姉妹店というだけあって店内の匂いは「藤ラーメン」と似たような匂いがしていた。

おしぼりで手を拭きながら店内をぐるっと見回す。
メニューがかなり多いようだ。ラーメンの他にカレーやカツ丼までおいてある。
さらにおでんまであり、まさに何でも屋である。
しゅんち的にはラーメン屋はラーメンだけやってほしいものだが・・・。

そして、ふと、壁に貼ってあった張り紙を見て吹き出しそうになった。

「グレートアシプした新メニュー」

小さい「ツ」が大きい上に「シ」に見える。
その字は筆文字で書かれており、違和感をものすごく感じた。
さらに・・・

「キヤベシ
たっぷり餃子

キャベジンかと思った・・・。

そして新メニューラーメンの題名・・・

味噌ラーメン

なにがなのだろうか・・・?
他にも、「珍味300円」や「激辛!キムチカツ丼」や「ピザのような食感!チーズ餃子」など変なメニューがいっぱいあった。

ますます怪しい気持になってしまったしゅんち。
果たして・・・どんなラーメンが登場するのだろうかと不安になってきた。

そしてラーメンが来る前にちょっとトイレに行くしゅんち。

よく見ると店内は怪しいながらも小綺麗で汚れが目立つことはなかった。
トイレに入ってもボロだったがキチッとしていてトイレットペーパーなんか三角に折ってあるくらいだ。

トイレの帰り道、厨房を覗いたが、食器はきちっと整理され、ナベもピカピカであった。

そしてラーメンが出された。
見ると、もやしとネギが山のように盛られたまさに藤ラーメンその物だった。

さっそく食す・・・
確かに、藤ラーメンと似たような味がした。しかし、若干おとなしめの味でやはり本場には及ばない味だった。
・・・が、このくらいの味だったらもうちょっと客が来てもいいかな・・・とも思った。
ぐでんぐでんに酔っぱらったお客なら味の違いなどわからないだろう。
500円という価格も好感が持てる。

・・・もしかしたら、ここの店長は真面目でおとなしく、几帳面な性格なのではと思った。
色々客の要望に応えすぎて、メニューは節操なく増えていき、味も色々言われ無難なおとなしい味に落ち着いたのではなかろうか。
ラーメン屋の店長は頑固な方がいいのかもしれない。

そんなことより一番の問題は・・・店のセンスだろう・・・。

まあ・・・藤ラーメンを知るしゅんちにとっては再び来ることはないとは思うが、非常にもったいない店であった。


act 49 うたた寝の夢

最近どうもうたた寝をしてしまうしゅんち。
ストーブの前でぬくぬくしているとどうもマブタが重くなってしまう。

やはり、寒くてこわばった体が急に暖められるとあまりの心地よさに眠くなってしまうようである。
すごくお腹が減ったときに一気に食事をすると満腹感の心地よさに眠くなってしまう原理と同じだろう。

うたたねすると、大抵、1時間くらいで起きるのだが、時々朝まで寝てしまう。

昨日、いつものようにストーブの前でだんご虫のごとく丸くなりうたた寝をしていた。
しかし、その日はちょっとじゃ済まず、なかなか起きれなかった。
なぜならその時見ていた夢がおもしろかったからだ。

夢とは実に不思議である。
起きている時の自分じゃ想像もできないような物語が展開されていく。
その夢の続きが気になり、結局目を開けては閉じ、目を開けては閉じをくりかえし結局朝になってしまったのだった。

さすがにその日は9時間ほど寝てしまったので早めに目覚めたしゅんち。
いつも起きる時間より40分くらい早いので、あまりにおもしろかったその物語をメモに書いておいた。

そして・・・夜。

おもしろい夢を見ていたことすら忘れてしまっていたしゅんち。
なにげなくメモを見かけるしゅんち。
そのメモには不思議な3つのキーワードが・・・

「おもしろい夢」

「修学旅行」

「怪物」

そのメモを見たときはなんの事かさっぱり分からず、誰か他の人が書いたのかと思ったしゅんち。
しかし、間違いなくしゅんちの見慣れた汚い字である。
しゅんちはメモを取るとき、詳しく書かずに自分だけが分かればいいとキーワードで書く癖があるのだ。

しばらくメモを見ながら何のことかと思い出すしゅんち。
そしてようやくそのメモは朝見た夢の内容である事を思い出した。

それよりしゅんちは一体なんの夢を見ていたのだろうか?
はっきり起きてしまえば夢の内容などすっかりさっぱりすっきり忘れてしまっているのである。

実に惜しいことをした・・・。
次回おもしろい夢を見たときは寝ぼけている間にメモっておこう・・・。


act 50 困難な仕事

しゅんちは物を売る仕事をしている。いわゆる営業マンである。
物を売るという仕事の段階に商品をPRするという過程がある。

ある日、しゅんちは上司から看護大学のPRを任された。

看護大学とは将来看護婦さんになる為の勉強をする大学である。
しゅんちとしては看護大学であまり仕事をしたことはなかったので馴染みはなかった。

その日、看護大学駐車場で製造メーカーの方と待ち合わせをしたしゅんち。
今回はPRと言っても一人ではなく、商品の製造メーカーの方と一緒である。
たまに製造メーカーとタイアップしてPRすることがあるのだ。

現地に向かうと、製造メーカーの営業、宮下氏(仮名)が既に到着していて、今回PRするときに使うカタログの整理をしていた。

宮下氏は元々「宝石商」をしていて、マダム相手をしていたせいかもの凄く物腰が丁寧である。

宮下「あっ。しゅんち様。今日は一緒に営業していただけるわけですがよろしくお願いいたします。」

まさに「奥様ごきげんうるわしゅうざます」の世界である。
挨拶もゆっくりでかなり丁寧である。

しゅんちは名刺交換をして、早速今日のPR活動の内容を聞く。

宮下「え〜 今日はですねぇ・・・ 実際に商品を持ってきてるんでございます。 ですから、カタログだけでなく実際にお客様方々に見て評価させていただきとうございます。」

ちょっとじれったくなるしゅんち。

しゅんち「はい。わかりました!んで・・・実際、物はどこに?」

宮下「ワゴン車の後ろに積んであるものでございます。」

しゅんちはワゴン車の後ろを覗くと、170cmはあるであろう長い木の箱があるのを確認した。
まるで棺桶のようである。
宮下氏は後ろの戸を開け、さっそく車から木の箱を引き出しフタを開ける。
すると中から、浴衣を着た白髪のおじいちゃんの人形がでてきた。

シャレにならん・・・

棺桶のようではなく、まさに棺桶であった・・・。

宮下「え〜 これはですね当社自慢の新製品。介護モデルでございます。これを使ってですねPRをすれば多少インパクトがあると思いますので・・・。」

しゅんちの中ではすでにインパクトありすぎである。

宮下「それではですね・・・私はカタログを持ったりしますので、しゅんち様はこの人形を運んでいただけますか?」

そして、しゅんちはそのおじいちゃんをお姫様だっこをして学校内に入っていった。

通り過ぎるおばちゃんが浴衣の白髪のおじいちゃんをだっこする姿を見かけて「ひゃっ!」とびっくりしていた・・・。
スーツ姿の男が白髪のおじいちゃんをお姫様だっこしているのだ。
当然のリアクションだろう。

そして、教務室にやってきた。
大学は先生の部屋が個室になっていて、それぞれの部屋へ訪問するようになっている。

1件目の先生の部屋に入る前に、しゅんちは大事なことを聞いておくことにした。

しゅんち「宮下さん。この人形の最大のPRポイントはなんですかねぇ?」

すると、宮下氏はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりにメガネをクイッと上げ答える・・・。

宮下「はい・・・。それはですね業界初でうちだけの特徴なんですが・・・
おち○ちんが付いてるところにございます。」

しゅんちはおもわずぷーーーーーっと吹き出し宮下氏のメガネを曇らせてしまうところであった。
しゅんちは話題をそらし笑いを抑えようとさらに質問。

しゅんち「え・・・ぷっ えっと・・・ 商品名はなんて言うんですか?」

宮下「はい。福太郎といいいます。」

またまたぷーーーーーっと吹き出し宮下氏の顔面へマシンガン唾液を喰らわすところであった。
しゅんちは笑いをこらえるのに必死であった。
しかし、宮下氏の眼差しは真剣でとても笑うシーンではなかったようだ。
どうやら、介護人形は女性が多く、男性のタイプは少ないようだった。
そんなことは全然知らないしゅんち。笑ってしまうのも仕方がない。

そして、先生の部屋へと入り早速商品紹介PRをした。
すると、別室にて研究員の先生方を集め、商品を評価してくれるということだ。

手術台の上に寝かされるようにテーブルに寝かされる福太郎。
5,6人の先生が取り囲み、まさに手術室のようである。

早速、宮下氏の説明がはじまった。

宮下「え〜 これはですね当社が開発しました新製品。介護人形「福太郎」でございます。」

先生方は珍しそうに福太郎の髪、胸板、手などをべたべたと触りだす。
まさに老人集団セクハラの図である。

宮下「え〜 それでですね・・・この人形の最大の特徴は・・・」

え・・・それを言ってしまうのか?
しゅんちは条件反射的に止めようとしてしまった。
しかし、それも遅かった・・・

宮下「男性器がついておるところでございます。」

手遅れであった・・・。
しかし、意外にも先生方は笑う所か驚いているようである。

先生「へぇ〜 それはいいですねぇ。みせてくださいます?」

一番年輩と思われた女性の先生が福太郎の浴衣を脱がせ実際に男性器がお披露目される。
頭の中がすでにパニック状態になるしゅんち・・・。

そして、洗う格好をみせ・・・

先生「あら〜これは洗いやすいわねぇ〜」

しゅんちはついにこらえきれなくなり壁の方向に振り向き、声にならない大爆笑をした。


介護という仕事はこれからの高齢化社会において非常に重要な仕事である。
しゅんちも何十年後は福太郎おじーちゃんのようにお世話になる日が来るかもしれない。
笑ってしまうのは不謹慎であると改めて反省をしたのであった・・・。

いやしかし・・・笑っちゃいけない場面で笑いをこらえる・・・。
今日の仕事はある意味辛かった・・・。


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