shunchiの極楽日記


act 86 金欠回転寿司

その日、しゅんちは会社の先輩と共に客先で仕事の打ち合わせをしていた。
その打ち合わせはかなり難航し、客先を出る頃の時刻は8時近くを回っていた。
ちょっと遅くなったので先輩「一緒に夕食を食べて帰ろう」と誘われる。
その場所はかなり田舎で、やってる店といえばその回転寿司くらいしかなく、その店に入ることにしたのだった。

回転寿司屋というと色々タイプがあって、全品100円均一の店もあれば皿によって値段が違う店もある。
その日、入ったお店は後者の皿によって値段が違うタイプのお店だった。
後者の店の場合、ちょっと油断すると恐ろしく高い皿を取ってしまい、下手すると普通の握り寿司屋並の金額がかかってしまうのである。

その日、しゅんちは見事に金欠であった。
たらふく寿司を食えるような状況ではないのである。
運良く先輩がおごってくれれば良いのだが、最近、その先輩は二児が生まれ、月のおこずかいも削られて、たばこも満足に買えないと愚痴っていたのでその望みは限りなく薄い。
なんとか金額を抑え、腹を満たすというケチケチ作戦を決行しなくてはならなかった。
出きれば予算1000円近辺で押さえたいところだが・・・。

しゅんちは早速皿の色と金額を確認。

白 100円  赤 150円  緑 200円  水色 250円 黄 300円

緑以上はデンジャーゾーンである。
そして皿は350円〜500円と続き・・・


黒 800円


触れてはいけない核発射ボタンである。

とりあえず、白と赤皿で腹を満たしていくしかない。

まずは回ってる寿司をチェック。

赤・・・・赤・・・・緑・・・・緑・・・・緑・・・・緑・・・・黄・・・・

黒!!?


核発射ボタンが目の前を回ってるよ。

背筋が凍り付くしゅんち・・・。

回ってる皿に手を出すことは危険と感じたので注文オンリーにすることにした。
100円、150円のネタを次々に注文するしゅんち。

タマゴ、サラダ、納豆、ツナ、コーン

もはや寿司屋のネタではない。

目の前を通り過ぎていく、うまそうな中トロやかんぱちの誘惑に耐えつつ、
どんなに食べても無料のガリと、何杯飲んでも無料のお茶をがぶのみするのだった・・・。

・・・こうして次々にしゅんちのテーブルには紅白の皿だけが積み上げられていく。
別に紅白歌合戦の審査員ではない。

そして9皿目を迎え、ようやく腹が満たされた。
どうやら作戦は成功のようである。

先輩「ん?おまえもういいのか?」

しゅんち「はい。もう腹一杯ですよ。」

先輩「そうか。じゃあ、行くか。 すみませーーん おあいそ。」

店員「はーい。ご一緒でよろしいんでしょうか?」

先輩「はい。一緒でいいです。あっ 領収書下さい。」

え・・・・・領収書!?

しゅんち「あ・・・あの、これって経費で落とせるんですか?」

先輩「当たり前だろ。遅くまで営業してたんだから残業手当ってことで上司にも文句言われないだろう。」

はやく言ってよ。

今すぐ引き返し、先ほど通り過ごした中トロとカンパチを二段ベットにしてほおばりたいしゅんちであった・・・。


act 87 兄の婚約面談会

しゅんちには一つ上の兄がいる。最近、6年間付き合った彼女と結婚することになった。
そして、彼女の家族がしゅんちの実家に挨拶をしに来ることになった。
お互いの家族全員が顔見せをする為、その日しゅんちも実家に呼ばれていたのだった。

当日、しゅんちはアパートでぐうたらしていた為、夕方5時集合という約束の時間を若干過ぎて実家に到着した。
彼女の家族は、父、母、兄の彼女に加え、姉と妹の5人家族。
既に、彼女側家族は到着しており、玄関には見慣れない靴が並べられていた。
リビングからは母のいつもの下品な笑い声ではなく、上品を装った笑い声が聞こえてきた。
その声色だけで母は猫かぶりモード接待モードであると伺えた。
そして、しゅんちは遅らばせながら登場し、皆に挨拶をした後、お茶会に参加するのだった。

しかし・・・
そのお茶会は
終始緊張したムードが続く事になるのだった・・・。



しゅんち「いや〜兄貴の彼女って3姉妹だったんですねぇ〜。」

母「本当、華やかでいいわねぇ〜。おほほ」

彼女父「いやぁ〜 そうでもないですよ〜 わっはは」

彼女母「うふふ」

父「あはは・・・いやいや・・・素敵なお嬢さん達で わはは・・・」

母「ほんと ほんと おほほ・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シーン。





父「・・・あっあ、そうそう、実は今長野は田中県知事の話題で盛り上がってましてねぇ〜。」

彼女父「あ、ああ!そうでしたな〜 田中知事は長野で話題でしたなぁ〜 わっはは」

彼女母「あらそうでしたわねぇ〜。」

父「そうなんです、そうなんです。あっはは・・・」

しゅんち「あはは・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シーン。



しゅんち「え、え、えっと、今日はどこを予約してるんだっけ?」

母「あ、そうね。今日は長野っぽい料亭みたいな所を予約してあるのよ〜。」

しゅんち「んと、予約は7時って言ったっけ?」

母「そうそう・・・」

しゅんち「そかそか・・・うんうん・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シーン。



その雰囲気はまるで・・

漕ぐのをやめたら消えてしまう
自転車のランプのごとし。


恐らく、この席にいる全員の頭の中は「話題」の2文字で埋め尽くされていたであろう・・・。

そんな中、当事者の兄・・・

しゅんち「そ、そういえば、あ、兄貴達は何時頃に着いたの?」

兄「5時くらい。」(あっさり)

しゅんち「あっそう・・・・。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シーン。



少し漕げよ兄。

・・・こうして、なんとか緊迫の初顔見せのお茶会は終了し、場所は料理屋へ移動することに。
この席ではお酒が入ったからなのか打ち解けたからなのか、先ほどとは違いかなりリラックスしたムードであった。
しゅんちも酒が入ったおかげでテンションが上がり、皆を盛り上げたのだった。

・・・そして会も後半を迎える頃、兄は彼女となにやら目で合図をすると一枚の紙切れと小さな箱を取り出した。
それは「婚姻届」と「婚約指輪」であった。

しゅんち「おいおい!ここで書くって演出か!?すげーーなすげーーな!」

兄「えっと、お義父さんも保証人ということでこの欄に書いて下さい。」

彼女父「今私も書かなきゃいけないのか!?」

父「ということは俺も書くのか!? 」

母「これはある意味結婚式ね!素敵だわ!」

こうして、酔っぱらった勢い(?)で二人の父は婚姻届にペンを走らせた。

しゅんち「いやいや!おめでとう!お二人さん!」

母「うふふ これでもう二人とも逃げられないわね。」

彼女父「わはは それに二人とも家族も顔合わせしちゃったし、ここで破局したら大変だぞこりゃ。わっはははは!」

しゅんち「いやいや、お義父さん安心して下さいよ〜。破局したら俺が貰いますんで。

それ、笑えない。

・・こうして、兄の家族面談は大成功で幕を閉じるのだった。
我ながら良い仕事をしたなぁ〜・・・と自画自賛のしゅんちであった・・・。


act 88 ヤクルト400

しゅんちの会社に週に一度ヤクルトのおばちゃんがやってくる。
そのおばちゃんは元々しゅんちの会社で働いていた事があり、皆顔見知りで友達感覚なのである。
会社の皆は近況を話しながらヤクルトを買いまくるのでしゅんちもその皆の勢いにつられよく買ってしまう。

最近のお気に入りは伊東四郎がCMしている「タフマン」。
150円という安い健康ドリンクで本当に効くかよくわからないのだが、なんとなく仕事のやる気が増える気がするので忙しい時には飲む癖がついていたのだった。150円でタフマンになれれば安いものである。

毎回タフマンばかり買っているしゅんちであるが、その日ヤクルトのおばちゃんは「ヤクルト夏休みパック」という色々入って安いお買い得なセットを持ってきた。
しゅんちは迷ったが、セットの袋の絵がハゲかつらをかぶった加藤茶の絵だったので購入を決断。
セットの内容はヤクルト、ジョア、ヨーグルト各種のセットであった。

しゅんちはヤクルトを飲む機会が少ないのだが、早速購入したヤクルトを一本飲んでみる。
ヤクルトはどうも量が少なく、物足りなさを感じそうだったので今まで飲まないでいたのだった。

しゅんちの飲んだ銘柄は「ヤクルト400」。
人気バンドの「モンゴル800」に似ているがたぶん関係ないだろう。

・・実際飲んでみるとお手軽でおいしく結構気に入ったのだった。
こうしてたくさんのヤクルトを買ったしゅんちは胃腸の悪玉菌をこのお買い得セットで一掃出来そうな期待感を感じるのだった。

・・しかし、よく見ると大量に買い込んだヤクルト達であるが賞味期限が10日ほどしかない。

悪玉菌より賞味期限の方が強敵のようである。

しゅんちは恐ろしいペースでこの乳製品群を消費させなければならない使命を背負うことになってしまったのだった。



・・数日後、案の定、全て消費出来ずに賞味期限が過ぎてしまった。
しかし、残りはヤクルト400が2本だったので、しゅんちは立て続けに2本を飲み干す事にした。
ごぽごぽと勢い良くヤクルトを飲むしゅんち。

しゅんち「ふー。なんとか消費できたぞ。でも、こういうのって2本とか飲んで良いのかな?」

なにげに成分表を見てみると・・・





<主成分>










ヤクルト菌400億個




しゅんちの腹の中にはヤクルト菌・・・






400億×2本=800億。チーン。




どんな数だよ。
もはや多いのか少ないのか一般人にはわからない数値である。

ヤクルト菌に体を支配されそうな気がしたしゅんちであった・・・。


act 89 回転寿司リベンジ

しゅんちは先日の出来事のリベンジをしようとしていた。(act 86参照)
それは好きなネタを目一杯食べる事である。
前回行った寿司屋はネタに応じて料金の違うお店だったが、今回しゅんちが向かったお店は全品100円である。
中トロやカンパチも2段ベットにし放題である。
しゅんちは意気込んでお店に向かうのだった。

しゅんちが駐車場に車を止めると、同時にしゅんちの車の横に別の車が止まる。
その車からはOL風の二人組がでてきた。
しゅんちはちょうどその二人の後について行くような形で店内に入る。


店員「いらっしゃいませ〜〜〜!三名様ですか?」


二人で来たはずなのに三名と言われ驚くOL二人組。
揃って後ろを振り返る。

一人ぽつんとしゅんち。



しゅんち「あ・・・えっと・・・こっち一名です・・・。」



驚いた顔で二人のOLに同時に振り返られ、恥ずかしそうにうつむくのだった・・・。

店員「えー では、先に一名の方どうぞ〜!」


しゅんちはOL二人組を追い越し、一人カウンターに座る。

それにしても回転寿司に一人で来るってのはどうなんだろう・・・?
ファミレスに一人で入る時くらいの心構えが必要だったのだろうか・・・。

そんな事を考えながらお茶をすすり、目の前を流れる寿司を見ていると、なにか視線を感じたのだった・・・。
どうも気になり視線の先を見るとその主は待合場で待っているOL二人組である。

しゅんち「(な・・・なんだ?俺を見ながらなにかひそひそ話しをしているぞ・・・。)」


もしや・・・


〜妄想中〜

OL A「ヒソヒソ・・・ねぇ さっき後ろにいたあの人、一人で回転寿司来てるみたいね。」

OL B「ほんとぉ・・・なんか寂し〜」

OL A「さっきさぁー 三名様ですか?って言われてすごい笑っちゃった〜。」

OL B「ほんと ほんと あはは」



しゅんち「(いや・・・まさかそんな事言われてるわけないよな。どうせ視線は気のせいだろう。)」

気を取り直しお茶をすするしゅんち。

しかし、視線が妙に気になる・・・


まさか・・・


〜再び妄想中〜

OL A「ねぇ あの人さ・・・ひょっとして友達とかいないんじゃない?」

OL B「だめだよぉ あんまり見ちゃ なんか悪いじゃん?」

OL A「孤独って言葉 似合いそうだよね」

OL B「言い過ぎよー あはは」




しゅんち「(・・・くっ ほっといてくれよ!俺はどうしても2段ベットにしたかったんだ!)」

心の中で叫ぶしゅんち。
しゅんちはOL二人組がしゅんちを見ながらヒソヒソ話ししてるのを見て見ぬ振りをし、流れる寿司を眺めるのだった。

すると・・・二人は会話を終えたらしく、意を決したようにしゅんちに歩み寄ってくる。

あれ・・・なんでこっちに来るんだ・・・?


もしや・・・!


〜さらに妄想中〜

OL A「ねぇねぇ かわいそうだからさ〜 一緒に食べようって誘ってあげない?」

OL B「う〜ん・・・そうだね そうしよっか。」



しゅんち「(ま・・・まさかっ そういうことか!?)」

しゅんち心の中で大絶叫。

OLは徐々にしゅんちに近づいてくる。

しゅんち「(マジかよ!もしそうだとしたらすげえ展開だ!やべっ どうしよう 緊張してきた・・・)」

徐々に歩み寄ってくるOLを見て見ぬ振りで流れる寿司を見るしゅんち。
かなり不自然。

しゅんち「(いやいや・・・わかってるわかってる どうせそのまま俺の横を通り過ぎるってオチでしょ?わかってるって。わかってるって。はいはい俺はそんなめぞん一刻の五代君みたいに妄想ばかりしてるわけじゃないのよ。ホントホントそんなおいしい話しがあるわけないってわかってるって。いやいやそんなおいしい話しは目の前を回ってるお寿司だけで充分充分。そんなことより俺はこの目の前に来たハマチをたべ・・・・・・)」




OL「あのぉ・・・」




マジで来た。

しゅんち「(ほ、ほ、ほ本当にき、来た!!)」

しゅんちは心とは裏腹に平静を装い振り返る。
かなり不自然。

しゅんち「は、はい?なんでしょう?」

OL「あの・・・私達の隣に車止めてた方ですよね?」

しゅんち「え・・・っと はいそうです。」










OL「車のライトつけっぱなしですけど・・・。」




しゅんち車のライト消し忘れ。

一人孤独に駐車場に走るしゅんち。


泣きながら。


どうやら・・・ライトつけっぱなしの車がしゅんちのだろうかということで二人は討論してたらしい・・・。


回転寿司リベンジ・・・・

ある意味できなかったようである・・・。


act 90 新人さん

しゅんちの働く会社は平均年齢がかなり高い。
古い会社で人の入れ替わりも少なく、新人の採用も特に少ない。
よって、いつまで経ってもしゅんちは下っ端なのである。

唯一入れ替わりの多いのが女性事務員。
結婚退職が多く、2〜3年置きくらいで入れ替わりをしている。
しかし、どういうわけか今まで採用する女性は全て年上
どうしたってしゅんちはいつまで経っても下っ端なのである。
毎日年上の人に囲まれて仕事をしていれば、おっさん臭くなってしまうのも無理がないのである。(←かなり言い訳)

そんなある日。
事務員の二人の内の一人、Kさんが電撃入籍し、電撃妊娠し、来月で電撃退職することになった。

そして、Kさんの後任の新人さんを採用するために面接が行われていたのだ。


面接の結果・・・









21歳採用。







しゅんち念願叶う。

そして21歳の新人さんは入社し、事務所で働きだすのだった。
初の年下社員の誕生である。

ふふ・・・会社の先輩として、社会人の先輩として、さらに人生の先輩としての威厳を見せてやる!!

頼りたいか?頼りたいだろう?頼るがいい!


ふははははははは




かなり有頂天のしゅんち。


しかし・・・



上司「しゅんち君!あれどうなっとるんだ!」



しゅんち「は、はいっ すみません・・・」




事務員「しゅんちさん?あの書類まだ提出してくれないんですか?」



しゅんち「あっ・・ごめんなさい。後でやります・・・。」



プルルルル・・・・



しゅんち「あっ もしもし? あっ!あの件ですね?すみません!すぐやります!ごめんなさい!!」



先輩「あっ しゅんち君このポスター貼っておいて。



しゅんち「あ・・・はい。」



先輩「あぁ・・・そこ汚れてたからほうきではいといて。



しゅんち「は・・はい。」




・・・・・・。





先輩としての威厳・・・


どうも無理そう。


しゅんちは事務仕事が長引き、デスクワークが昼過ぎまでかかっていた。
事務員さん達は持ってきた弁当を広げお昼の準備をしているらしい。
すると21歳の新人さんがお茶を入れはじめた。

新人さん「あっ 支店長。お昼お茶飲みますか?」


支店長「あぁ 俺は外で食べてくるからいらないよ。ありがと。」



新人さん「あっ そうですか。 じゃあ しゅんちは?お茶飲む?」



・・・・・。





先輩としての威厳・・・




やっぱり無理だったみたい。



いいんだいいんだっ 若く見えたって事だもんねぇーー あはは あはは はは・・・は・・・ へぐっ(泣))


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