shunchiの極楽日記


act 150 田舎の酒屋

仕事の途中に支店長から電話がかかってきた。

支店長「もしもし?あのさ〜。業者へのご祝儀のビールを買ってきてほしいんだけど。」

しゅんち「え?発泡酒じゃなくてビールですか?」

支店長「そりゃ経費節減とはいえビールじゃなきゃ格好つかないだろう。ビール500mlを6本な。よろしく。」

というわけで、酒屋に向かう事にした。
ちょうどしゅんちの居た場所はど田舎。スーパーなどはもちろんない。
しばらく車で徘徊していると古びた酒屋さんを発見し、早速店先に車を停め店内へ。

ガラガラ・・・



・・・



しゅんち「あれ?」


思わず発した第一声。

店内は薄暗く、あちこちに段ボールが散雑に積まれ、店の真ん中には白い棚が一つ。
その棚に無造作に置かれた洋酒ボトル。
そして奥では子供達が遊んでいる。

男の子「・・・・。」

女の子「・・・・。」

しゅんちの存在に気付き、固まったまま無言でしゅんちを見つめる子供達。
すると女の子がようやく事態をのみこんだらしく、店の奥へ走っていった。

女の子「おばーちゃーーん。誰か来た!


・・しばらくするとおばちゃんが面倒臭そうに店内にやってきた。

おばちゃん「はい・・・。いらっしゃい。」


一応、この店やってるらしい。


しゅんちは不審に思いながらも冷蔵ショーケースにビールを取りに行く。
しかし、ケース内を見て驚愕。

なんと同じ銘柄も全部バラバラに置かれている。
これではしゅんちアパートの冷蔵庫といい勝負である。

女の子「こら!ユウちゃん!お客さんがいるんだから静かにしなさい!」

急に男の子がキャッキャッと騒ぎ出した。しゅんちもその声に反応し、彼を見ると




パンツ脱いでた。


久々の来客に興奮したのだろうか。
彼は跳びはね、まだまだかわいい彼のソレをプルプル振り回している。
ちょうどガソリンスタンドで来客を歓迎しているのチェッカーフラッグを振り回す人形のように。

軽く眩暈がしたしゅんちはめげずに缶ビールを抱えレジに向かう。
ところがレジの上には子供達の漢字の書き取り帳が広げられている。
なかなかうまい字だ。いや、そんなことを言ってる場合ではない。

おばちゃん「これ。おまえ達あっちにいってなさい。」

そしておばちゃんはレジを打ち始める。

女の子「ユウちゃん早くしまいなさい!」

男の子「キャッキャッキャ」

レジの表示は1764円を示していた。
確か財布には細かいお金が結構あったはずだ。
しゅんちは端数の64円を取り出そうとした。





おばちゃん「1700円ね。」



しゅんち「え・・・。」





端数切り捨てた。


レジ打った意味あったのだろうか・・・。
何とも適当な感じに不信感を抱くしゅんち。

しゅんち「(一体なんなんだこの店は・・・!何もかもひどすぎる!ここはすぱっとお金を払っていち早く脱出を・・・!)」









・・・。





札が一枚も無い。

しゅんち「す・・・すみません。お、お金足りなくて・・・。ちょっと銀行でお金をおろしてきます・・・。」

おばちゃん「・・・・。(ムスッ)」


あまり人の事が言えないしゅんちであった。


act 149 ボトルキャップ

数年前からボトルキャップが流行っている。
ボトルキャップとは500mlのペットボトルのおまけに付いてくるマスコットフィギュアである。

何年か前、はじめてコンビニで見かけたのがペプシコーラのペプシマンボトルキャップ。
当時のしゅんちはそれが欲しいが為に毎日のようにペプシコーラを飲んでいた。
しかし、喉が乾けばコーラ。食事のお供にコーラ。風呂上がりにコーラ。スポーツの後もコーラ。とコーラ責めはかなりきつく、途中で挫折。
結局全種類集められずに終わったのだった。
普段飲まない飲み物のおまけについてくるボトルキャップを集めるのはかなり至難であった。

しかし先日、セブンイレブンに行くとDAKARAのおまけにボトルキャップが付いていた。
どうもセブンイレブン限定のおまけらしい。
DAKARAといえばしゅんち御用達の常飲ドリンクである。
いつも買う物におまけがついていれば集める気がなくても集まるというものである。
しかし肝心のそのおまけのキャラクターは





ピンクレディー。



微妙に世代がずれてる。

ピンクレディーはしゅんちが生まれた’77年頃に流行ったアイドルコンビである。
懐かしのテレビでよく見るが生で見たことは無かった。

しゅんち「微妙だな・・・。」

しゅんちにはイマイチ価値を感じられなかった。
そう思いながらDAKARAをしぶしぶ飲むしゅんち。
すると、ボトルキャップと一緒に紙切れが入っていた。
それを開いてみると・・・





「当たり」




何かが当たった。
詳しく読んでみるとこれをセブンへ持って行くと音が出るボトルキャップがもらえるらしい。

しゅんち「う〜〜む。こんなの貰ってもうれしくないよなぁ・・・。どうせならモー娘とかにすりゃあいいのにねぇ。セブンイレブンももうちょっと考えればいいんじゃないかねぇ・・・。」

と思いながらも折角使った運がもったいないのでセブンへ交換しに行くことにした。

当たり券を店員に渡しピンクレディーのフィギュアを交換する事は微妙に恥ずかしかった。

店員は当たり用景品の詰まった箱を取り出ししゅんちの前に置く。
とりあえず知ってる曲の「UFO」をチョイスすることにした。

しゅんち「う〜〜ん。誰か欲しい人にでもあげようかなあ・・・。」

と言いながらボトルキャップ底のスイッチを押してみた。




ファ〜〜ファ〜〜ファ〜〜ファ〜〜ファ〜〜♪







UFO!


デデデ デンデンデン デデデ デンデンデン♪



しゅんち「・・・・。」


もう一回押す。



ファ〜〜ファ〜〜ファ〜〜ファ〜〜ファ〜〜♪






UFO!



デデデ デンデンデン デデデ デンデンデン♪


更に押す。


ファ〜〜ファ〜〜ファ〜〜ファ〜〜ファ〜〜♪







UFO!



デデデ デンデンデン デデデ デンデンデン♪





・・・・。





・・・・。





しゅんち「よし。全種類集めよう。」




見事にはまった。



新しい目覚めであった・・・。

こうしてセブンイレブンの戦略に見事にはまっていくしゅんちであった。


act 148 課長宅にご宿泊

課長「今夜は家に泊まっていけば?」

忘年会の2次会が終わり、課長がしゅんちに声を掛ける。
夜も遅くなり酒もかなり飲んでいるので心配してくれたのだろう。
せっかくの好意なのでその夜は課長の家に泊めてもらうことにした。


「上司が飲み会の帰りに部下を家に泊める」


ドラマやマンガでよく見るシチュエーションである。

〜妄想中〜

上司「まあ田中君楽にしてくれたまえ。」

部下「すみません課長。」

上司「がはは 田中君うちの女房美人だろ?」

奥さん「あなたいやだわ。田中さんの前で。うふふ」

部下「いやいや、奥さんお綺麗ですよ。わはは」

奥さん「あら田中さんお上手。ビール一本つけちゃおうかしら。おほほ」

上司「がはは」

部下「わはは」


こんな妄想が止まらない。


課長「着いたぞ〜。」

課長宅に向かうタクシーの中でこんな妄想を膨らましているうちにどうやら到着したらしい。

課長「まあ、しゅんち君ゆっくりしていってよ。」

しゅんち「お、お邪魔します。」

玄関を開けると早速課長の奥さんが玄関に出迎える。

奥さん「こんばんわ〜。いらっしゃいませ〜。」

しゅんち「どうも遅くにすみません・・・。」

奥さん「いえいえ、散らかってるけどごめんね。あっ コート預かるわね。」

そう言うと奥さんはしゅんちのコートをハンガーに掛けてくれた。





違う。






明らかに違う。

今まで色んな家に泊めてもらったことがあるがこんな待遇ははじめてである。
確かに今まで泊まったところは親戚、友人宅、親の友達宅、そんなところだが今回は仕事関係の家なのである。
しゅんちへの対応も接待っぽいのだろう。

奥さん「じゃあ、しゅんちさんお風呂が沸いてるから、このバスタオル使って下さい。着替えは息子のなんだけどごめんなさいね。じゃ、ごゆっくり。」


全然違う。


徐々にテンションが高ぶるしゅんち。
急に大人になった事を自覚するのであった。

・・風呂もそこそこに頭を拭きつつ風呂場から出ていくと、次ぎに奥さんは客間に案内してくれた。

奥さん「それじゃここで寝て下さいね。明日は朝ゆっくりで構わないですから。それじゃ、おやすみなさい。」

しゅんちはキョロキョロと辺りを見回しながら布団をかぶる。
布団からは嗅ぎ慣れない家庭の匂いがした。
よその家に来るとその家庭独特の匂いがするものである。
なんとなく落ち着かないしゅんち。
・・果たして今夜は緊張して眠れるのかどうか心配で






Zzz・・・






寝た。



・・・そして翌朝。

激しい尿意に襲われ早朝に目を覚ますしゅんち。
時刻を確認すると午前6時。まだ外は薄暗い。
トイレに行こうとした時、頭を触ってみるとかつて無い程の寝ぐせ爆裂。
ここで迂闊にトイレに行き、家の人にバッタリ廊下で鉢合わせしたのなら第一印象はドラゴンボールの悟空である。
かめはめ波をせがまれてもおかしくない状態。

しゅんちは激しい尿意に絶えつつ耳をすましてみる。
2階から足音が聞こえてくる。
恐らく高校2年の長女がクラブの朝練に行くための準備をしているのだろう。

・・しばらくしてようやく足音が鳴りやむ。

今がチャンスだ!

しゅんちはとっさに布団を飛び出し廊下をつま先でこそ泥のごとく小走りでトイレに駆け込む。
とりあえずは成功。

・・無事放尿を終え、水道で手を洗い、その水で寝ぐせを直しにかかった。
しかし、水だけではそうそう直る寝ぐせではなかった。
しゅんちは部屋に戻り必死に手ぐしで髪をとかす。

・・ようやく髪も人並みに落ち着いた後、次は起きるタイミングである。

よくよく考えたら課長の家族とは面識があまりない。
起きていくタイミングが悪いといきなり寝起き顔で初対面の気まずい雰囲気を味合わなくてはならないのである。

再び耳をすませ居間の様子を伺う。
しかしどうにも聞こえない。果たして誰が起きているのだろうか・・・。
もしここで起きていき、早起きのおばあちゃんと初対面で二人きりになった場合、この寝ぐせでどんな会話を弾ませたらいいのだろうか・・・。
しばらく考えた末、一般的に7:30頃に起きていくのがちょうどいいかと思ったので布団の中で時間までウトウトすることにした。

そして7:30。

恐る恐る居間の扉を開けるしゅんち。

しゅんち「あっ・・・おはようございます。」

すると、家族のほとんどが起きてきたようでタイミング的にはバッチリであった。
しゅんちは、たった今起きました寝坊してすみません的な表情を作り居間に入る。

課長「おう。おはよう。朝飯食べてけよ。」

奥さん「ささ、しゅんちさん座って下さいね。」

しゅんち「あ・・はい。」

家庭にはそれぞれにルールがある。
お父さんは上座に座り、奥さんは台所に近い席。おばあちゃんは奥の席。そしてその横に子供達。
新聞はお父さんが先に読み、次ぎにおばあちゃんに回す。
主食はお父さんとお母さんはご飯。子供達はパンでおばあちゃんもパン。
飲み物は最初からコーヒーとお茶が出され、コーヒーはクリープではなく牛乳。

用意されていた朝食はご飯、みそ汁、目玉焼き、ハム、煮物であった。
課長は読んでいた新聞をテーブルに置くとそれがいただきますの合図。
しゅんちもそれに合わせ食べはじめる。郷にいれば郷に従えである。
皆はそれぞれに今日の予定を確認しながら朝食を食べていた。
しゅんちもなんだか家族の一員になった気分である。

そしてしゅんちは目玉焼きにしょう油をかけた。

しかし・・・



お父さんは塩。



お母さんも塩。



子供達も塩。



おばあちゃんも塩。



しゅんちのみしょう油。




文化の違いを見せつけてやった。


・・こうして、朝食をおいしくいただき家族の皆さんに挨拶し課長家を後にするしゅんちであった。
次回来るときは次の日何時に起きるかくらいは聞いておこうと思うのだった・・・。


act 147 幹事のお仕事

年末年始は忘年会、新年会と飲み会が多い。そこで色々と大変なのが幹事







しゅんちの事である。

いつまで経っても下っ端なしゅんちはいつまで経っても幹事である。
一体いつになったら交代してもらえるのか先行きが全く見えない状態なのである。
こうなったら開き直って幹事という仕事を楽しんでしまおうと思い始めて







早3年。

もうしばらく幹事業が続きそうなしゅんちなのであった。

今年も例年のごとく忘年会のシーズンがやってきた。
幹事しゅんちは早速店選びからはじめた。

しゅんちの会社は40〜50歳台と年齢層が高いので洋食中心はタブーである。
間違ってイタリアン料理でワインで乾杯なんてしようものならば

「俺はこんなにハイカラな所は合わないんだよなぁ〜。」

と、死語を使いながらしゃべりだしそれが呼び水となり

「そうだねぇ〜。俺もどっちかっていうと日本酒でキューッとが好きだね。」

「やっぱり飲み会は刺身と日本酒ですよねぇ。わはは」

という話で盛り上がってしまい、おっさん連中の団結力の前に平伏すことになってしまうのである。
ということで、ある程度日本酒が揃っている店をチョイスするのである。


<幹事テクニックその1>


おっさんには日本酒をくれておけ。



今回選んだ店は最近リニューアルオープンした居酒屋「来っ来知っ来」(くっくちっく)。
日本酒や海鮮料理などを取りそろえたオーソドックスな感じの店である。
今回の会費は4000円。
料理は2500円からのコースを頼んであり、飲み物は一人1500円くらいを見込んでいた。
店員には「一人4000円くらいの予算で、オーバーしそうになったら声を掛けてください。」と頼んでおく。
そして、酒が足りなくなった時点で皆に「まだ飲みますか?」と声を掛けお金の徴収をする作戦である。


<幹事テクニックその2>


酒をのませりゃ財布の紐もゆるむ。


席に着くと早速飲み物の注文である。生ビールといきたい所であるが今回予算的に少々厳しいので瓶ビールを注文。


<幹事テクニックその3>


予算ないときゃ瓶ビール。


しゅんち「え〜それでは松本支店の忘年会を始めたいと思います。では支店長一言お願いします。」

支店長「え〜1年間ご苦労様でした。かくかくしかじか・・・というわけで乾杯!」


一同「かんぱーい!」


しかし、なかなか料理が来ない。


上司「おいおい。しゅんち君!料理が遅いよ!どうなってんの?」



料理が遅いのは幹事のせいである。



そして、ようやく料理が運ばれて来る。


上司「おっ これなかなかうまいね!さすがしゅんち君。」



料理がおいしいのは幹事のおかげである。



上司「しゅんち君これはどんな味付けなんだい。」



料理の味付けまで幹事に聞かれるのである。



・・・こうして宴会はなんとか盛り上がり宴もたけなわとなってきた。
今回も無事幹事という仕事をこなせ満足である。

上司「いやいや!さすがしゅんち君!最高の宴会だったよ!」

しゅんち「いや〜そうですか?」

上司「店も料理もなかなかだったよ〜。」

しゅんち「いや〜照れますねぇ〜。あはは」



上司「こりゃ、来年も幹事はしゅんち君で決まりだな!」



<幹事テクニック その4>





幹事をうまくやるのもほどほどに。


act 146 字

しゅんちは字を書くのがヘタである。
字を書くということは歩き方やしゃべり方を直すというくらい難しい事だと思う。
しかし、ヘタなればヘタなりに丁寧に書けばいいものを




ヘタな上に雑。



という救いがたい状況なのである。

言い訳させてもらえば、書きたい内容がすぐに忘れてしまうのでその前に書き留めようとする。
すると体が書きたい気持ちに追いつかないという状態になってしまうのである。
但し、せっかく書き留めておいた内容を本人もが解読不能ということもままある。いやしょっちゅうだな。
こんなしゅんちだが、仕事で大事な書類を書くときぐらいは無い技術を駆使して出来るだけ丁寧に書いているのだった。

そんなある日、仕事で大事な注文書を書くことになった。
かなり大きい物件だったのでいつもよりことさら気合いを入れて書くしゅんち。ヘタなりに。

すると、後ろから支店長がふらりとやってきて書類を覗き込んだ。

支店長「おっ しゅんちくん字綺麗になったじゃないか。

しゅんち「え!本当ですか!」

字を綺麗といわれたことは生まれてはじめての体験である。
やはり数年間社会人をやってきて多少なりとも字が上達したのだろう。
意外な事を誉められウキウキするしゅんち。

しゅんち「いやぁ〜俺も丁寧に書けばそれなりに書けるんですねぇ〜あはは」

支店長「うむ。」

支店長がその場を去る。
すると、先輩がしゅんちに話しかけてきた。

先輩「なあ、しゅんち君・・・。」

しゅんち「え?なんです?」




先輩「さっきのは皮肉だぞ。」




しゅんち「え・・・。」




やっぱりうまくはなってないらしい。


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