shunchi極楽日記


act 165 キーだけに

しゅんち「支店長!車の鍵貸してもらえませんか?」

仕事に出掛けようとしたら支店長の車が前を塞いでいた。
というわけで支店長から車の鍵を借り、車をどかして営業に出掛けるしゅんち。
その日は予定が厳しく、急いで営業先に向かうのだった。

・・1時間くらい車を走らせ予定通り現地に到着し、更に1時間くらいの商談を済ませ一息つく。
すると携帯電話には着信3件。更に留守電1件。着信履歴を見るとどれも営業所からであった。



はて・・・なにか急用だろうか・・・?



まずは留守電を聞いてみるしゅんち。




「ピー・・・ご苦労様です。えーと・・・支店長の営業車の車の鍵が行方不明ですが知りませんでしょうか・・・?電話下さい。ピー」



しゅんち「鍵・・・?」



おもむろに右ポケットを探ってみるしゅんち。
すると、なにやら触り馴れないジャラジャラとした金属物の感触。







持ってきちゃったよ。





しゅんち「うわっ・・・ど、どうしよう・・・。」

一気に血の気が引くしゅんち。
しゅんちは鍵を持ってきてしまった時の被害を想定してみた。



<被害予想>


支店長の鍵がここにあるという事は支店長は出掛けられないという事である。



更に車を動かす事ができないということは他の営業車も出れないという事である。



ということは営業所に残っていた人は足止めされているという事である。




つまり大惨事。



しゅんちはその場に立ち尽くす。
心臓の鼓動が早くなるのが普通にしていてもわかる。
足元が歪んで見えてきた。

こうしても居られないので、震える手で携帯のボタンを押し営業所に電話してみた。


プルルル・・・


事務員「もしもし・・・あっ しゅんち君?」


しゅんち「も、も、もしもし・・・?」


事務員「支店長の鍵持ってっちゃてない?」


しゅんち「も、も、もってきちゃっちゃってま、ます!!」


事務員「あらぁ〜・・・じゃ、支店長と変わりますね・・・。」


しゅんち「えっ!!?あっ、ちょっちょ・・・まっ・・・」




支店長「もしもし?」



しゅんち「うげっ!!し、支店長!!」


支店長「・・しゅんち君が鍵を持ってっちゃったのか?」


しゅんち「す・・すみません〜〜〜っっ!!」


平謝りのしゅんち。
果たして謝るだけで済むのだろうかこの問題。


支店長「ったく・・・。」


しゅんち「す、すみませんすみません!!」


支店長「・・本当に




キーだけにキー付けて(気を付けて)くれやな。」







・・・。







どうやらスペアキーがあったらしい。


act 164 ご趣味は?

最近同年代の人と仕事をする機会が増えてきた。
以前は年輩のおじさんばかりだったのだ。
恐らくしゅんちの世代が第一線で活躍しはじめているということだろう。

今日もメーカー同行という仕事をすることになったしゅんち。
駅で待ち合わせしていると紺のカラーシャツに真っ赤な太いネクタイ、そしてピカピカに磨かれた靴。
いかにも最近の若者という格好の人がやってきた。

松田「あっ どうも○○工業の松田です。」

しゅんち「あー××社のしゅんちです。宜しくお願いします。」

軽く名刺交換を済ませ車に乗り込む二人。ここまではいつもの展開である。

松田「いやー長野って今年は雪なかったですねー。」

しゅんち「あーそうですね。今年は暖冬でしたからねぇ。」

大概、会話のスタートは天候もしくは地域ネタから入る。
ここでしゅんちはお決まりの質問を投げかける。

しゅんち「長野ってプライベートなんかでよく来るんですか?」

もし相手がおじさんならば、観光で来ただとかもしくは登山で来たなどと言う。
そして相手がどんな趣味なのか探りだし、会話の糸口を掴むのである。

松田「あー今年はあんまり来てないですね。スノボーやるんですけどね。」

しゅんち「へ〜スノボーやるんですか!」

松田「昨年は20回くらい来たんだけどなぁ。」

しゅんち「に、20回!?す、すごいですねぇ・・・。」

松田「でも、もう歳でしょ?あんまりできないですよ。今年も5回しか来てないし。」



しゅんちは地元なのに今年4回しかスキーをしていない。



しゅんち「へ、へぇ・・・松田さんってすごいんですね。」

松田「えっと・・・失礼ですがしゅんちさんはおいくつですか?僕、29です。」

しゅんち「あっ、俺27です。」

松田「あー、若いッスねーいいですねー。あっ そうだ。」

そういうと松田さんはカバンの中をいじりだした。

松田「あのー僕バンドやってるんですよ。

しゅんち「え・・・?バンド?」

松田「今度CD出すんです。まぁ、自主制作ですけど。」

そういいながら松田さんはCDのチラシを出した。

松田「来月はね、ライブもやるんですよ。」

しゅんち「す、すごいっスね・・・?」

あまりに派手な趣味の持ち主松田さんに気後れを感じ始めるしゅんち。

松田「まぁ、昔は色々やりましたけどね。体があんまり動かないんでね。」

しゅんち「そ、そうですか・・・。」


松田「ところで・・・」


しゅんち「はい?」





松田「しゅんちさんの趣味ってなんですか?」








困った。




自分の趣味ってなんだ・・・。








人に言えるやつで。





ゲーム・・・?マンガ・・・?




い、言えない。



とても言えやしない。




松田「車かなんかッスか?」


しゅんちの車は財布に優しい低燃費車です。


松田「車は昔凝ってたんもんですけどね、金かかるッスからやめた方が賢明っすよね。で、なんなんです?」


言葉に詰まるしゅんち。


な、なにかないのか・・・?




人に言えるやつで。



そして苦し紛れに・・・


しゅんち「え・・・っと、りょ、旅行とか行きますね。」

松田「へーそうですか。いいっすねぇ!」




切り抜けた。




松田「それじゃ休みなんかは結構出掛けたりしてるんですか?」

しゅんち「ま、まぁ連休なんかはよく出掛けたりしますよ。あはは・・・」

松田「ふうーん。なるほど。」

我ながらうまい言い訳だったと思うしゅんち。


松田「それじゃあ・・・」


しゅんち「はい?」





松田「いつもはなにしてるんです?」










人に言いやすい趣味を持とうと思った。


act 163 行列の価値

どうしてもケンタッキーのチキンが食べたくなったので会社帰りにお店に向かう事にした。
店に着くと行列ができていた。今まで何度も来たことがあるが行列ができていたのは初めてであった。

はて・・・?なんで混んでるんだろ?

行列ができるには様々な理由があると思う。
しゅんちは行列を見ると思わずその原因を探ってしまうのである。


なんで今日は混んでるんだ・・・?


しゅんちは行列の価値を見定める為様々な考えを巡らせる。
いつもそんなに混んでるわけじゃないのに並ぶ価値あるのだろうか?




今ブームなのかケンタッキー?




それとも実は今日はチキンの日とか・・・?




ひょっとしてケンタッキーが健康に良いとみのもんたが紹介したか・・・?




あ。



待てよ・・・



そういえば新聞で鳥インフルエンザ騒動でケンタッキーの売り上げが6割減だったと書いてあったな・・・。




でも、最近終息宣言したって聞いたよなぁ・・・。




ぴこり〜ん♪




そうか!!


鳥が安全だと思ったお客がケンタッキーを一斉に食べたくなったのか!


これは間違いない。


そう思うとますます食べたくなってきたぞ!


希少価値を見いだしたしゅんちは意気込んで行列に並ぶ。


・・・そしてようやく順番待ちがやってきた。


店員「ご注文をどうぞ〜。」


しゅんち「えっと〜チキンを3ピースと・・・」




店員「申し訳ございません。チキンは今ちょうど揚げてる最中でして、皆様には15分程お待ちいただいておりますが。」






・・・。






15分後に来ればよかった。


act162 母の買い物

ある日実家に帰るとリビングに大きな段ボールが置いてあった。
不審に思ったしゅんちはその段ボールに近づき見てみる。
すると箱には見慣れた文字が書かれていた。








「ジャパネットたかた」



しゅんち「か、か、か、母ちゃ〜〜ん!!」

二階で洗濯物を片づけている母にうろたえながら駆けつけるしゅんち。

母「どうしたのよ。慌てて?」

しゅんち「か、か、母ちゃん一体何買ったの!?」

母「あっ そうなのよ〜!私ねパソコン買っちゃった!

しゅんち「うぇええええ〜〜!!マジで!?」

母「なんかねラジオ聞いてて繋がる訳ないな〜と思って電話したのよ。」

しゅんち「そ、それで?」

母「そしたら一発で繋がっちゃって!」

しゅんち「ふむ・・・。」


母「買います!って。」







究極の衝動買いここにあり。




優柔不断のしゅんちの母とは思えない程の思い切りのよさであった。
よく検討もせず、良く知らないのに即決で購入を決めた母。

改めてテレホンショッピングの威力を思い知らされたしゅんちであった・・・。


act 161 アンテナの行方

朝起きてフト気が付いた。







携帯アンテナが無い。

あるべき物があるべき場所にないという状況。
例えるなら前歯の抜けた小学生だろうか。
なんとも間抜けで頼りない携帯に愕然とするしゅんち。

はて・・・いつどこで落としたんだろう。

一応、部屋の中を探してみたが見つからずもう会社に行く時間になってしまったのでそのまま会社に向かったのだった。

アンテナは無いとはいえ、一応電波は3本しっかり立っていた。
最近の携帯は高感度なのでアンテナなんていらないのだろうか・・・?

会社に着き、事務仕事を片づけ営業に出掛けるしゅんち。
アンテナの抜けた間抜けな携帯を胸ポケットに入れ営業車に乗り込む。
そして、担当地区に向かい車を走らせた。

しゅんちの担当地域は田舎である。


ピリリリリ!


担当地区に着いた頃、突然携帯が鳴り出す。
仕事の電話は緊張感を出すために着メロは使わず通常着信音にしている。
しゅんちは心を引き締め電話に出た。

「あっ もしもし?あーどうもどうも!昨日の件ですか?その件な・・ガガガッ・・・ブッブ・・・ブツッ」


あっ切れた。


ピリリリリ!

すぐさまリダイヤルしてきた相手。

「あっ!もしもしすみません!なんか途中で切れちゃ・・ガガッ・・・ブツッ」


また切れた。


ピリリリリ!


「ああ!何度もすみまっ・・・ブツッ」





こりゃ深刻だ。


さっきまで三本立っていた電波も今は1本も立っていない。
どうやら、電波の弱い地区だとピンチらしい。


田舎ピンチだ。


事の重大さに気付いたしゅんちはすぐさま携帯ショップに向かったのだった。

お姉さん「いらっしゃいませ〜。」

しゅんち「あ・・・すみません。携帯のアンテナって売ってますか?無くしちゃって・・・。」

お姉さん「すみません携帯のアンテナはここじゃ売ってないんです。」

しゅんち「ありゃ、そうですか・・・。」

お姉さん「あの・・・もし中古でよろしければ探しましょうか?」


中古?


そういうとお姉さんはガサガサと部品の入った箱を取り出し探し始めた。

お姉さん「あーありましたよ!じゃあ、取り付けしますね。」

そういうとお姉さんは手際よくアンテナを取り付けた。

しゅんち「えっと・・・料金は?」

お姉さん「中古なので無料で結構ですよ。」



マジで?


まるでお姉さんが女神様のように思えたしゅんち。

・・こうして、失われたアンテナを取り戻し、見事復活を遂げた携帯。
これで田舎でも心おきなく電話がかけられるというものである。

しゅんちはいつものようにアンテナを口で伸ばす。



・・・ん?



まてよ。



アンテナって結構口で伸ばす人多いよな・・・。



これは中古アンテナ使用済み・・・



・・・。




・・・・。




知らないあなたと間接キス?



アンテナは手で伸ばすことにしたしゅんちであった。


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