shunchi極楽日記


act 231「献血」

献血が行われた。
毎年、他の企業も一緒に近所の集会所で一斉に行われるのである

しゅんちは高校生の頃に献血をした事があり、それ以来やっていなかったのである。
なぜなら献血をした時に一回具合が悪ったことがあって、なんとなく不安だったからである。
しかし今は当時に比べ体重も増え、ある意味健康的になったので再び挑戦してみることにしたのだった。

・・その日は課長と一緒に仕事をする事になって、献血に一緒に行ってから現場に向かうことにしたのだった。
会場に着くと白衣を来たやたら腰の低い人たちが迎えてくれた。
恐らく日本赤十字の社員だろう。

社員「やや!どうもどうもお忙しい所ありがとうございます。」

その腰の低さは旅館の番頭並みである。

社員「献血手帳をお持ちですか?」

しゅんち「あ・・・いや、ないです。」

社員「ややっ!それはそれは!じゃあ初めてってことですね〜?」

しゅんち「ん・・・まあ、そんなようなものですかね。」

社員「ありがとうございます!それではこちらでこの用紙にご記入いただけますか?お手数ですねぇ〜。」

その用紙には名前住所さらに生年月日など書く欄があった。
血液型を書く欄がないのが不思議だった。

社員「・・・はいっ!ありがとうございます。それでは次にこちらで端末の入力を行いますのでお並び下さいっ!」

イスに座ると先ほどの社員の方が近寄ってきた。

社員「大変申し訳ございませんねぇ・・・。失礼だとわかってはいるのですが・・・」

何やら物々しく話しかけてくる社員のおじさん。

社員「実はですねぇ・・・身元が分かるものを確認せよと達しがありましてねぇ・・・。」

しゅんち「・・・は、はぁ。」

社員「いやいや失礼だって事はわかってるんですよ?ですがね、厚生省がどーっしても確認しろとうるさくてですねぇ。」

しゅんち「・・・はぁ。はい。免許書です。」

社員「失礼しますっ!・・・・はい結構です!」

社員のおじさんに圧倒されっぱなしのしゅんち。
端末の入力も終わり、次は事前調査の用紙を渡された。
過去に大きな病気をしたとか臓器移植をした経験があるとかそういう質問形式の用紙である。

用紙を書く場所に課長がいた。

課長「色々書くものが多くて大変だね。」

しゅんち「そうですねぇ・・・。」

課長「ところでしゅんち君この質問読んでみ?」

しゅんち「え・・・?なになに・・・。」


男性の方に質問です。




1年以内に男性同士で関係を持ちましたか?



しゅんち「ぶっ!なんですかこれ・・・?」

課長「正直に答えないとだめだよ。ぷぷ」


さっきの免許なんかよりよっぽど失礼じゃないかと?


課長「大事なことなんだよ。」

しゅんち「そ・・・そうですか。」

こうして質問に面食らいながらも書き終えたしゅんちはいよいよ採血に向かう。

医師「ではまず用紙を見せて下さいね。」

しゅんち「お願いします・・・。」

医師「大きな病気や常飲している薬はないですね?」

しゅんち「は、はい。」

医師「おや・・・?」

しゅんち「え?」

医師「むむむむ・・・・」

急に顔色が変わる医師。


あれ・・・?


もしや・・・


さっきの質問の書き間違えたとか!??


医師「しゅんちさんいつ歯医者に行かれました?」

しゅんち「え・・・あ・・・昨日行きました。」

実は前日に歯の治療をしたのだった。

医師「注射とかしました?」

しゅんち「いえいえ、歯石を取っただけです。」

医師「歯石!?むむむむ・・・・」

しゅんち「ごくり・・・。」

医師「今日はダメですね。」

しゅんち「あれ?ダメなんですか?」

医師「口の中というのは細菌がいっぱいいましてね、歯石を取る時に菌が血液に入りこむ可能性があるんですよ。」

しゅんち「そ、そうなんですか・・・?」

医師「申し訳ないですが献血はまた次回お願いします。」



見事面接で落ちた。



課長「あれ?しゅんちくんどうした?献血出来ないのか!?」

しゅんち「はい、さっきの用紙で引っ掛かっちゃいました・・・。」

課長「え!?さっきの用紙!?」

しゅんち「はぁ。なんかダメみたいですね。」



課長「ま、まさか・・・そっちか・・・?



とんでもない大誤解。



しゅんち「ち、違いますよぉぉおお!!」


こうして今回も献血することが出来なかった。
どうも献血に縁のないしゅんちであった・・・。


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