しゅんち「ない！？ない！？なくなった！！」

タカコ「どうしたの？」

しゅんち「どこにもないんだよ！」

タカコ「な、何が？」







しゅんち「ニンテンドーＤＳがっ！！」






ニンテンドーＤＳ行方不明。



最近、ニンテンドーＤＳの「テトリスＤＳ」にはまっている。
普通のテトリスなのだが色々とアレンジしてあってかなり面白いのだ。
寝る前にワンプレイするのが日課になっていたのである。
そのニンテンドーＤＳが急に消えた。

しゅんち「お、落ち着け・・・。記憶を辿ってみよう。」


・・昨日は飲みに行き、帰ってきてテレビを見ているうちにいつの間にか寝てしまった。
ニンテンドーＤＳは見かけていない。
最後にプレイしたと思われる場所はおとといの寝室である。

しゅんち「よし！寝室だ！！」

こうして、寝室を一斉捜索する２人。
ベットの下を覗き込み、布団をバッサバッサ。
ベットの脇、机の下、棚の下、更にベットを持ち上げ・・・・



ない。


どうやら寝室にはないらしい。
一番可能性が高いと思われた場所に無く、焦りを感じるしゅんち。

しゅんち「お、落ち着け・・・あらゆる可能性を考えてみよう。」


ＤＳをこの部屋から持ち出すケースは・・・


＜ケース１＞

トイレに行きたくなり、ただあまりに夢中になってしまってるため手に持ったままトイレに行く。
そして、トイレで気付いてトイレの棚の上に・・・


しゅんち「よし！トイレだ！！」



ない。


＜ケース２＞

服を着替えようとしてタンスの引き出しを開けるが夢中の為手に持ったまま服を取り出す。
そのまま服の上に置いたままタンスを閉める。


しゅんち「よし！タンスだ！！」



ない。


＜ケース３＞

風呂に入ろうとして手に持ったまま風呂場へ。
そのままバスタオル置き場にそっとＤＳを・・・


しゅんち「ふ、風呂場だ！！」



ない。



しゅんちが色々推理をめぐらせてる間、タカコは普通に居間や台所を探していたがやはり見つからない。
そんなに簡単にどこかに紛れるほど小さな物ではないのだ。
無くなるって事自体珍しいと思えてしまう。


こうなってくると・・・



もしや・・・



ど、泥棒！？


タカコ「え・・・ほ、ホントに？」

そういうとタカコは慌てて貴重品をチェックする。
しかし、貴重品は無事・・・犯行の動機は金目当てではないらしい。

と、すると・・・


犯人は・・・


ゲームマニア！？


ニンテンドーＤＳといえば今や空前のブームを迎えている。
大脳トレーニングで右脳や左脳を鍛える老若男女にひっぱりだこのゲーム機である。
手に入れたくてもどこにも売っていないまさにレアアイテムである。


盗られても不思議はない。


タカコ「け、警察に言ったほうがいいかな・・・。」

しゅんち「そうだなぁ・・・」


〜想像中〜

警察「戸締りはしてました？」

しゅんち「は、はい。ちゃんとしてたと思いますが・・・。」

警察「家を空けたのは昨日の夜だけですね。」

しゅんち「はい・・・。」

警察「貴重品は？」

しゅんち「無事です・・・。」

警察「で、なにを盗られたんですか？」


しゅんち「に、ニンテンドーＤＳです。」


警察「え・・・？ほ、他には？」

しゅんち「それだけです・・・。」

警察「・・・。」

〜想像終了〜


しゅんち「いやいやいやいやいや、警察は無理無理無理。」

タカコ「そ、それもそうだよね・・・。」

それにしてもニンテンドーＤＳだけを盗っていくなんておかしな話である。
もししゅんちが犯人ならばそこらに転がってるプレステのゲームや、ＤＳの他のソフトも一緒に持っていってもいいのではと思うのだが。
とにかくニンテンドーＤＳの本体だけが欲しかったのだろうか。
少し知能の低い犯人だと思われる。


知能が低い・・・




こ、子供か！？



確かに今一番ＤＳを欲しいのは子供である。
しかし、背の低い子供がこの壁をよじ登って忍び込むなんて難しいだろう。
第一、この家にＤＳがある事を知ってる事自体不自然だ。

しゅんち「ん・・・？」


この家の事を・・・


知ってる・・・


この家の事を知ってる人物・・・？


・・・


内部犯行か！？


この家の事情を良く知っていて、計画的に犯行に及んだ。


ニンテンドーＤＳを盗るために。


そんなアホな知り合いがいるわけないと思いつつも推理を進めるしゅんち。

最近家に来た人って誰だ・・・？





父と母。




ありえない。


ゲームをアレルギー的に嫌っている２人がＤＳを持ち出し、家でこっそり大脳トレーニングをする姿など微塵も想像できない。
事件はまさに迷宮入りである。

しゅんちはもう一度最初から推理してみる。
この部屋からＤＳを持ち出す理由・・・。

いや、


この部屋から何かを持ち出す場面とは。



洗濯をするために服を持ち出す・・・。



布団を干す為に布団を持ち出す・・・



ゴミを捨てる為にゴミを持ち出す・・・



ゴミ・・・！？


しゅんち「わかった！！ゴミ箱に落ちてゴミと一緒に捨てちゃったんだ！」

タカコ「えー！？そういえば私昨日ゴミ出しちゃったよ！」

しゅんち「まあ、盗られたわけじゃないならいいか・・・。」

タカコ「あ。」


フト、タカコは寝室のゴミ箱を漁りだす。

がさごそがさごそ・・・・







発見。







普通に発見。






＜探し物の極意＞


誰かを疑う前にまず自分を疑え。