shunchi極楽日記


act 267「青春ラーメン」

発作的にラーメンが食べたくなったので近所のラーメン屋に行った。
その店は「狼煙」。本格とんこつラーメンの店である。
松本でも5本の指に入る人気店でとんこつを16時間煮込んだという濃厚でクリーミーな味わいがウリである。

土間作りの店内に入ると威勢の良い店員が声をかける。
そしてカウンターに案内されるしゅんち。
早速注文をし、水を飲みながら待っていると新たにカップルが入店してきた。

店員「へい!いっらっしゃいませっ!カウンターへどうぞ!」

やたら気合の入った店員がカップルをしゅんち横のカウンターへと案内する。


男「あ・・・カウンターですね。」

女「え・・・べ、別にいいですよ。」


そんな会話をしながらイスをガタガタッと慌しく座る男。


男「・・きょ、今日は僕おごりますんで な、何でも頼んで下さい。」

女「本当?私は何でもいいですよ。」






ごめん。この店ラーメンしかないんだわ。



店長の代わりに謝っといた。

2人のやりとりを聞いているうちにどうやら状況が掴めて来たしゅんち。
恐らく2人は今日デートで食事に来たに違いない。

年恰好は若そうなので大学生と思われる。
会話が敬語なのを聞くと、まださほど親しい仲ではないのだろう。
男のテンパリぶりからすると女の人と出かけるのは慣れていなそうだ。

一応既婚者であるしゅんちがえらそうに恋愛解説してみよう。

女の人をデートに誘う時によく出るやりとり・・・


男「なに食べたい?」


女「なんでもいいよ。」


この女の人の台詞だが



実は罠である。



男の「なんでもいい」というのは「食えればなんでもいい」である。
どんなに店が汚くても、店員が無愛想でも満足なのだ。

しかし、女の人の「なんでもいい」は違う。
雰囲気の良い店で、落ち着ければ「なんでもいい」なのである。




決して、立ち食いそばやデパートのスナックコーナーまでとは思っていないのである。




どうも女の人の発言からこの店がラーメン専門店だという事に気付いていない。
チェーン店のラーメン屋だったら多少は落ち着けたかもしれないが、人気店というのは食べたらすぐに店を出なくてはいけない雰囲気である。
言うなればこの店はうまいかまずいか刺すか刺されるかの一騎打ちの場である。

彼も最初から「うまいラーメンの店」ということで誘ったならまだしも「デートで行く店」としてはかなり厳しい。

「なんでもいい」の言葉に騙された彼は自分が一番おいしいと思えるお店を選んでしまったのだろう。
男が一度はやってしまいがちな過ちである。
男の気持ちとしてはおいしい物を彼女に食べさせたいということなのだが、彼女にしたら「落ち着かないお店」で片付けられてしまいそうである。
同じ男として痛いほどに気持ちが分かる。



さあ、この後どうなる・・・?


男「な、なんでも頼んでいいですよ。」

女「えっと・・・?」


メニューをいくら見てもラーメンしかない事に困惑する彼女。


男「ど、どうします?」

女「・・・じゃあ、ラーメンで。」



ごめん。本当にラーメンしかないんだわ。(2回目)




男「リッチにチャーシューとか付けちゃいます?あはは・・」

女「あ・・・ああ、上に乗せるトッピングが色々あるって事ですね・・・。」

男「い、いいですよ。なんでも頼んで。」


困惑してる彼女を遠慮していると勘違いする彼。


女「じゃ・・・じゃあ・・・えーっと。」

男「はい。なんですか?」


女「替え玉を1つ。なんちゃって。



男「替え玉はおかわりする時ですよ。」(マジ突っ込み)

女「・・・・。」


男「じゃあ、ど、どうします?」

女「一緒でいいですよ・・・。」

男「えーっ 一緒だと僕の特製トッピングっていうか、ちょっとマニアックかもしれませんよ。」

女「は、はぁ・・・。」

男「じゃあ・・・」

・・・・

・・・



青春っていいな・・・と思いながら隣でのんきにラーメンすするしゅんちであった。


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