shunchi極楽日記


act 291「親孝行」

母「しゅんちお願いがあるのよ!」

しゅんち「ん?何?」

母「私のカメラなんだけどね・・・」

しゅんち母はデジカメを持っている。
ただ、その型は古くどうも使いにくいらしい。

母「それでさ、あんたに選んで欲しいのよ!」

母はいつもしゅんちにダメだしする割には何かと頼りにしてくる。
ただし、



態度が横柄である。



恐らく、しゅんちがだらしなく怒りまくっていた時代の記憶が鮮明らしく、どうしてもそのイメージから抜け出せないらしい。

しゅんち「・・・で、どんなのがいいのよ?」

母「今のカメラはね、とにかく液晶が小さいのよ!使いにくいのよ!」



まるでしゅんちのせいみたいである。



母「もうね、私の老眼じゃ見にくくて今じゃ画面なんてあっても無いようなものなのっ!目をつぶって撮ってるようなものよ!」

しゅんち「ふむ。確かにあれは小さいはなぁ・・・。」

母「本当に困っちゃうの!」


本当にしゅんちのせいみたいである。



しゅんち「まあ、今のデジカメは大体、液晶画面が大きいからなんでもいいんじゃない?」

母「・・で、もう一つ条件があるのよ!」

しゅんち「条件?」

母「私ら山に行くでしょ?」

しゅんち「うん。」

母「電池切れたら充電なんかできないでしょ?」

しゅんち「ああ・・・まあ、そうだね。」

母「だ・か・ら・・・乾電池が使えるタイプがいいと思うのよ!ねっ!いいでしょ!?」



何かを発明したような口っぷりである。



しゅんち「いやぁ〜今時、乾電池が使えるタイプなんてあんまり無いよ?」

母「なんでよ!私らみたいに思っている人いっっっっぱいいると思うわ!」

しゅんち「最近はさ、充電池も発達してきて結構持つしさ。」

母「だめよ!私なんか充電することすら忘れるもの。」

しゅんち「・・更に言うとさぁ、乾電池って場所とるからデザインもあんまり良いのもないんだよねぇ・・・。」

母「デザインなんかいいのよ!とにかく乾電池が使えるのが絶対条件よ!」

しゅんち「ん〜〜・・・わかったよ・・・乾電池タイプを探しとけばいいのね。」

母「本当お願いね!」

しゅんち「う、うん。」

母「いや・・・」

しゅんち「ん?」

母「あんたに頼んでもどうせサボるから頼まない!タカコちゃんに頼むわ!」





なんなんだ一体。




・・こうしてイマイチ納得いかないまま、タカコに背中を押され電気屋に行ってみるしゅんちであった。

早速、カメラ売り場に足を運んでみる。
とりあえず乾電池のタイプがあるかどうか探してみる事にした。

母にえらそうに講釈を垂れてみたが、やはり思った通り最近のタイプはほとんど充電タイプであった。
最近の機種はコンパクトで高性能。
液晶も大きくどれもこれも魅力的である。
しかし、しゅんち的に欲しいものは全て充電タイプである。

そして、乾電池タイプもなんとか発見。
主役の機種の脇でひっそりと存在していた。



しゅんち「う〜〜〜〜〜む。」


タカコ「どうなの?」

しゅんち「いや〜〜〜どう考えても充電タイプの方がいいよなぁ・・・。」

タカコ「でも、乾電池が絶対条件でしょ?」

しゅんち「だよねぇ・・・。」


・・こうして、とりあえず機種を選び出したしゅんち。

液晶も大きく、乾電池タイプ。

そして、メニュー画面がアイコンでわかりやすく文字も大きい。
どうやら初心者向けか。

例えるなら・・


らくらくホン(DoCoMo)みたい。


しゅんち「これかな・・・。」

タカコ「おお〜!私もいいと思うよ。」

しゅんち「条件を揃えるならこれだよね。」

タカコ「うん。そうだね。」

しゅんち「じゃあ、今度教えてやるか・・・。」


タカコ「・・・たまには買ってあげたら?」


しゅんち「うえ!?」


・・・確かに、この機種を教えたところですぐに買うとは思えない。
それに今買わなくてはこの機種もそのうちに無くなってしまうかもしれない。

そう思ったしゅんちはまたもやタカコに背中を押されカメラを購入することにした。
ただ、自分が欲しい物を買わずに、まず自分には買わないだろう物を買うことはなんだか悔しかった。

しゅんち「すみませーん・・・。」

店員「あっ!はい!何かお探しですか?」

しゅんち「えっと・・・この機種が欲しいんですが・・・。」

店員「あっ・・・こちらですね。」

しゅんち「はい。」

店員「こちらは乾電池タイプになっておりますが・・・。」

しゅんち「・・ええ。これでいいです。」

店員「充電じゃなくてよろしいんですか?」

しゅんち「・・・は、はい。」

店員「いや〜〜最近の機種は充電地も発達してきまして、どちらかというと充電タイプの方が・・・」




そんな事は百も承知なんだよぉぉおおお〜〜!



しゅんち「い、いやぁ・・・母へのプレゼントなんですがね、どうしても乾電池がいいって言うんですよ。中高年は山に行くでしょ?それでなんですけどね。まあ、僕的には充電の方が・・・」


言い訳がましいしゅんちであった。


数日後・・・

しゅんち「母ちゃんさ、あれからカメラ自分で買ったりしてないよね?」

母「え?カメラ?そんな暇なんかないわよ!あたしが今日までどれほど忙しかったか!」

しゅんち「はい。プレゼント。」


母「え・・・」


しゅんち「この前言ってたリクエストに答えといたよ。」

母「しゅ・・・しゅんち・・・・。」



あまりに唐突なプレゼントに感動したのか少々固まる母。




が、



母「タカコちゃんのおかげねっ!後でお礼言わなきゃ!」





何なんだ一体。





・・その日の夜。

居間でくつろいでいると思いついたようにカメラをカバンから取り出す母。
嬉しそうな顔つきで、カメラをいじっていた。
それから大きい液晶画面を嬉しそうに拭く。
そして1枚試し撮りをした後、大事そうにカバンにしまうのだった。


買ってあげてよかったな・・・。


親孝行もたまにはいいものである。


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