コータの結婚披露宴も終わり、親戚一同が集まって近くの喫茶店でお茶をすることになった。 しゅんちはコータの弟のヨーゾーと同じ席に座り、近況報告をしあうのだった。
ヨーゾー。 彼は関西に住むしゅんちの3つ下の社会人。サッカーやジムで体を鍛えることが好きである。 好きな食べ物は焼肉、好きな飲み物はフルーツジュース。
ヨーゾーは日本人離れした鼻筋の通ったシャープな顔立ちのイケメンである。 結婚式での衣装は最近流行のスリムスーツ。 髪はちょっと茶色に染めた長めの無造作ヘア。 磨かれた靴はピカピカしながら尖っている。 足を組み、煙草をふかしている。 その姿は
まさにホスト。
この後、そのまま夜の街に出掛けて行きそうな雰囲気である。
ヨーゾーは灰皿に煙草を押し付けると話し始める。
ヨーゾー「せやせや、しゅんちゃんそろそろやんけ?」
しゅんち「ん?ああ、来月だね。」
ヨーゾー「やっぱり買いか?」
しゅんち「いやいや、まだ様子見だね。」
ヨーゾー「やっぱりしゅんちゃんの読みはそうか!俺もそう思ってたわ!」
しゅんち「ほら、焦せるとさ・・・」
ヨーゾー「どうせ値崩れするしな!」
しゅんち「そうそう、まだ買いじゃないよ。」
ヨーゾー「せやな!まだ買いやないなプレステ3は!」
タカコ「あっははははは!」
ヨーゾー「ど、どしたん?急に?」
タカコ「い、いや、いい大人がそんなに真剣に「買い」とか「読み」とか株じゃなくてゲーム機でしょ?面白くて!あははは」
ヨーゾー「そやな!確かに知らん人が聞いたらおもろいわな!わはは」
中身は優しい青年である。
しゅんち「おお!いけねいけね。注文しなくちゃ。」
ヨーゾー「おお!せやったせやった。何にしよ?」
こうしてメニューを選ぶ3人。
しゅんち「ん〜〜〜迷うなぁ・・・どっちにしよう?」
タカコ「何と何を迷ってるの?」
しゅんち「「炭焼きコーヒー」と「コーヒーフロート」。」
タカコ「あっそ・・・。」
しゅんち「アイスクリームは太るけど・・・うまいんだよなこれって。でも「炭焼き」って響きがグッと来るんだよなぁ。」
悩ましくうなり声を上げるしゅんち。
しゅんち「・・・よし!思い切って炭焼きコーヒーにしよう!」
ヨーゾー「ん”〜〜〜こらマジで迷うなぁ〜〜〜。」
しゅんち「ん?何と何を迷ってるの?」
ヨーゾー「「フルーツミックスジュース」と「バナナマンゴースムージー」。」
タカコ「・・・。」
しゅんち「・・ヨーゾーはフルーツジュース好きじゃん。そっちでいいじゃん。」
ヨーゾー「確かにそうなんやけどさ・・・それがなぁ・・・」
しゅんち「なんで?」
ヨーゾー「俺ってな、バナナも好きやし、マンゴーも好きで、スムージーも好きなんや。」
しゅんち「・・それなら、好きなの3つもあるなら完全にそっちでいいじゃん。」
ヨーゾー「いや・・・違うんや・・・。」
しゅんち「違う?」
ヨーゾー「1+1+1の答えが3とは限らへんのや。」
ば・・・
バカかっこいい・・・。
結局悩んだ末、バナナマンゴースムージーを頼むヨーゾーであった。
ヨーゾーは本当にいい人である。
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