shunchi極楽日記


act 294「二択の注文」

コータの結婚披露宴も終わり、親戚一同が集まって近くの喫茶店でお茶をすることになった。
しゅんちはコータの弟のヨーゾーと同じ席に座り、近況報告をしあうのだった。

ヨーゾー。
彼は関西に住むしゅんちの3つ下の社会人。サッカーやジムで体を鍛えることが好きである。
好きな食べ物は焼肉、好きな飲み物はフルーツジュース。

ヨーゾーは日本人離れした鼻筋の通ったシャープな顔立ちのイケメンである。
結婚式での衣装は最近流行のスリムスーツ。
髪はちょっと茶色に染めた長めの無造作ヘア。
磨かれた靴はピカピカしながら尖っている。
足を組み、煙草をふかしている。
その姿は



まさにホスト。



この後、そのまま夜の街に出掛けて行きそうな雰囲気である。


ヨーゾーは灰皿に煙草を押し付けると話し始める。

ヨーゾー「せやせや、しゅんちゃんそろそろやんけ?」

しゅんち「ん?ああ、来月だね。」

ヨーゾー「やっぱり買いか?」

しゅんち「いやいや、まだ様子見だね。」

ヨーゾー「やっぱりしゅんちゃんの読みはそうか!俺もそう思ってたわ!」

しゅんち「ほら、焦せるとさ・・・」

ヨーゾー「どうせ値崩れするしな!」

しゅんち「そうそう、まだ買いじゃないよ。」



ヨーゾー「せやな!まだ買いやないなプレステ3は!」



タカコ「あっははははは!」

ヨーゾー「ど、どしたん?急に?」

タカコ「い、いや、いい大人がそんなに真剣に「買い」とか「読み」とかじゃなくてゲーム機でしょ?面白くて!あははは」

ヨーゾー「そやな!確かに知らん人が聞いたらおもろいわな!わはは」


中身は優しい青年である。


しゅんち「おお!いけねいけね。注文しなくちゃ。」

ヨーゾー「おお!せやったせやった。何にしよ?」

こうしてメニューを選ぶ3人。

しゅんち「ん〜〜〜迷うなぁ・・・どっちにしよう?」

タカコ「何と何を迷ってるの?」



しゅんち「「炭焼きコーヒー」と「コーヒーフロート」。」



タカコ「あっそ・・・。」

しゅんち「アイスクリームは太るけど・・・うまいんだよなこれって。でも「炭焼き」って響きがグッと来るんだよなぁ。」

悩ましくうなり声を上げるしゅんち。

しゅんち「・・・よし!思い切って炭焼きコーヒーにしよう!」

ヨーゾー「ん”〜〜〜こらマジで迷うなぁ〜〜〜。」

しゅんち「ん?何と何を迷ってるの?」



ヨーゾー「「フルーツミックスジュース」と「バナナマンゴースムージー」。」



タカコ「・・・。」

しゅんち「・・ヨーゾーはフルーツジュース好きじゃん。そっちでいいじゃん。」

ヨーゾー「確かにそうなんやけどさ・・・それがなぁ・・・」

しゅんち「なんで?」

ヨーゾー「俺ってな、バナナも好きやし、マンゴーも好きで、スムージーも好きなんや。」

しゅんち「・・それなら、好きなの3つもあるなら完全にそっちでいいじゃん。」

ヨーゾー「いや・・・違うんや・・・。」

しゅんち「違う?」





ヨーゾー「1+1+1の答えが3とは限らへんのや。」




ば・・・





バカかっこいい・・・。



結局悩んだ末、バナナマンゴースムージーを頼むヨーゾーであった。


ヨーゾーは本当にいい人である。


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