shunchi極楽旅行記


PM 7:00〜

・・極上の海鮮てんこ盛りを堪能した一行は満足そうにくつろいでいた。
だんだん混む時間帯なのか徐々に他のお客が増えてきたようだ。
母がお茶を飲みながらキョロキョロと周りを眺めていた。

母「ねえねえ、それにしてもさ〜外国人観光客が多いわね。」

しゅんちは後ろ向きだったのでわからなかったので振り返ってみる。
すると外国人観光客が妙に目立っていた。
ファミリーで来ているのかおじいちゃんおばあちゃんから子供まで大所帯である。
北海道へ家族全員でスキー旅行といったところだろうか。
それにしても家族フル出場って辺りが外国っぽい。

父「なんか倶知安町ってところは観光で町興ししてるらしいな。」

しゅんち「へ〜そうなんだ。」

・・父の説明からすると、オーストラリアから北海道への直通便が出ているらしい。
今オーストラリアでは「北海道スキー」というのがブームになっているらしいのだ。
その理由が


「パウダースノー」「食事が美味しい」「治安が良い」


この三拍子が見事に揃っているという訳である。

しゅんち「なるほどねぇ・・・。てか、北海道は日本人にとっても最高の場所だもんね。」

飛行機一本で来れちゃうならそりゃ外国人にもそりゃウケるだろうな〜と妙に納得するしゅんち。

父「そうそう、昨日もさ、ホテルのお風呂で参っちゃってさ〜。」

しゅんち「風呂?・・ああ、ホテルのね。結構良いよね〜!」

ニセコプリンスはお風呂がなかなか凝っているのである。
お湯はちゃんと温泉で透明度の高いなかなかの泉質で、広い内風呂の他に露天風呂まであるのだ。
更に露天風呂の向かいは大きな池になっていて仕切りの淵をまたいですぐ池が眺められる設計になっているのだ。
ということは露天風呂に入りながら目の前の池の鯉を眺められるという寸法である。
そんななかなかのお風呂なので父は気に入って何度も入っていたのだった。

父「俺が入った時ちょうど誰もいなかったんだよな。」

しゅんち「へー空いてたんだ。」

父「そしたら外国人が3人くらい入ってきたんだよ。」

しゅんち「ほう。」

父「広いお風呂だったのにその外国人達がなんだか知らないけど・・・」




父「3人とも俺の真横に来るんだよ。」



しゅんち「げっ」

父「全然空いてるのに3人に囲まれちゃってさ。

しゅんち「うはっ!」

父「いや・・・俺もそっち系かと思っちゃって。」


とんだオヤジ趣味だ。


父「いや、さすがに俺も気持ち悪くて露天風呂に逃げたんだよ。」

しゅんち「そ、それで・・・?」

父「そしたら違う外国人が入って来て・・・」

しゅんち「ほう・・・」


父「また俺の真横に座るんだよ。」



モテモテだなオヤジ。


外国ではお風呂をみんなで入るという文化がないのだろう。
露天風呂というのも珍しかったに違いない。

しゅんち「もしかしたら並んで入るもんだと思ったのかな?」

父「ああそうか。詰めて入るもんだと勘違いしたんか。」

さすがに仮に外国人のそっちの方だったとしても還暦を過ぎたオヤジには興味ないだろうという意見に落ち着いた。
確かに個室シャワーしか知らない外国人にとっては広いお風呂というものが理解できなかったのだろう。
異文化とは本当に面白いものである。

・・話が盛り上がった頃に、いつものようにしゅんちは尿意をもよおしトイレへと。
そして用を済ませ席に戻ろうとした時、とんでもない状況が発覚した。

しゅんち「ちょ、ちょ、ちょっと!!大変な事になってるぞ!!」

母「え・・・どうしたのよ?」

しゅんち「よく周りを見てみ・・・。」

一同はさりげなく周りを見渡す。

母「・・・!」

父「こ、これは・・・!」

タカコ「すごっ・・・」

しゅんち「ちょ、ちょっと母ちゃん!俺を撮るふりして後ろを撮影してくれ。」

しゅんちはこの凄さをHPを載せるために写真撮影を試みた。

母「わ、わかった・・・じゃあ撮るわよ・・・。」

興奮しながらカメラを構えシャッターを押す母。


パシャッ



母「ど、どう?」

しゅんち「ちょっと!!なんで俺がセンターにいるんだよ!後ろを撮るの!」

母「ああそうか・・・ごめん。じゃあ、こう・・・?」



パシャ



しゅんち「だぁ〜〜!!俺の顔半分がモロ写ってる!」

母「んもぅっ難しいわ!」

しゅんち「じゃあ、俺が撮る。代わって代わって!」

しゅんちは母と席を入れ替わり、母を撮るフリをして後ろを撮影。



パシャッ






他のお客全員外国人。



しゅんち「ぷひゃひゃひゃひ!!囲まれちゃったぞ!」

父「うわはははは!!こりゃまさに外国旅行だな!」

タカコ「あははは!ありえない!」

なんとしゅんち達意外は全て外国人観光客。
みんなありえない状況に抱腹絶倒涙目である。

しゅんち「な、なんかさ、こうなってくるとむしろこっちがよそ者だよなぁ。ぎゃははは」

母「いや、本当すごいわこれ。」

しゅんち「父ちゃん・・・父ちゃん・・・」

父「ん?な、なんだ・・・?」

しゅんち「彼らが何食ってるか見てくれ・・・。」

父「お?ぉお・・・わかった。」

そういうと父と母は後ろの外国人観光客のテーブルをさりげなく覗き込む。

しゅんち「どう?」

父「まずな・・・から揚げだな。」

しゅんち「来た!から揚げ!」

父「後は・・・ステーキか・・・?肉っぽいな」

しゅんち「来た!肉来た!

さすが外国人。
寿司屋に来たところまではよかったが、寿司を頼まないところが外国人文化である。

父「おっ・・・向こうのテーブルは優秀だ。船盛り頼んでるぞ。」

一同「おー!すごい!」

父の実況生中継に大興奮のしゅんち。

母「しかしさ・・・これだけ広い席で日本人私たちだけってのはちょっと異常よね。」

店員「いらっしゃいませー!」

すると新しいお客がやってきた。




外国人3名様ご案内。



父「わっははははは!傑作だ!また外国人だ!」

しゅんち「あと隣の席に外国人が来たらパーフェクトだよ!」

母「本当ね・・・。快挙だわ。」

父「次の客が楽しみだな・・・。」

混む時間帯なので次々に来店する。
固唾を飲んで入り口を見守る一行。

タカコ「あ・・・お客さん来たっぽい。」

おばさん3名様ご来店。
見た感じはアジア系である。

しゅんち「あの真っ黄色のジャンパーが韓国っぽいな・・・。」

タカコ「うん・・・。それっぽい・・・。」

原色の服を着るのは韓国人だというしゅんちの自論である。
おばさん達はごちゃごちゃしゃべっているが、日本語かどうか聞き取れない。


さあ、どっちだ・・・?


パーフェクトゲームなるか!?





おばさん「・・よっこらしょ。」




日本人でした。

「ライトアップが綺麗なひらふスキー場(ちょっとピンボケ)

・・寿司屋を後にし、二次会の場所を探すため町を彷徨う一行。
先ほどの寿司屋の一件を反すうしては大爆笑しながら歩くのだった。

しゅんち「いやさ〜!こんなに外国人に会うってのも珍しいよねぇ。」

父「ニセコで外国旅行しちゃったな!」

観光地で外国人はよく見かけるが、これほど大勢に出会ったのは初めてである。
あちこち旅行に行ってる親2人でさえ驚きの出来事だったのである。

ゲラゲラと笑いながら彷徨っていると、タカコがしゅんちに話しかけてくる。

タカコ「ねえねえ、あれ・・・ちょっと見て・・・」

タカコは前から歩いてくる人々に目配せする。

しゅんち「ん?何?」


前から歩いてくる子供達も外国人。



その次の女の人達も外国人。



更に後ろを陽気にしゃべっている男の人も外国人。


しゅんち「・・・。」

タカコ「なんかおかしいよね・・・ここ。」

先ほどの寿司屋で大勢会ったはずなのにまだまだ大勢いるようだ。
なにかがおかしい・・・。
しゅんちの脳裏にある予感が走る。

しゅんち「ま・・・まてよ・・・。」

タカコ「ん・・・?」

しゅんち「もしかしてさ・・・」

タカコ「な、何?」

しゅんちのただならぬ雰囲気を感じ取ったタカコは心配そうな顔でしゅんちを覗き込む。

しゅんち「じ、実は、面白がっているのは俺たちだけで・・・」

タカコ「?」




しゅんち「むしろ珍しいのは俺たちなんじゃないだろうか?」




もしかしたらしゅんち達は外国人しか居ちゃいけない場所・・・
外国人の為の町に迷い込んでしまったのではないだろうか・・・?

父「な・・何言ってんだ。ここは日本だ。日本人が居ちゃいけない場所なんてあるか。」

父の言葉とは裏腹にしゅんちの不安は募る一方である。

そして辿り着いた居酒屋は「阿武茶」。
二次会なのでバーっぽい店を探していたのでちょうど良さそうである。
とりあえずここに入る事にした。

「営業中」

なんだ。ちゃんと漢字で看板が書かれているじゃないか。
ここは日本なのだ。なぜ日本人のしゅんちが萎縮しなくちゃならないのさ。

そう思い、勢い良くドアを開ける。



店員「イラッシャイマセー!ナンメイサマデスカ?」



カタカナなんですけど。


見事に店員まで外国人。
店内は見渡す限り外国人。
片言の日本語で「タダイマ マンセキデス スミマセーン」とカタカナで断られた。





間違いありません。







ここはアウェイです。



円が使えるのかどうかが心配になってきた。


すっかり意気消沈のしゅんち。
先ほど爆笑していた自分がなんだか恥ずかしい・・・。

・・そしてしばらく町を彷徨い、良さそうな店を発見。
これ以上歩き回るのも疲れるので覚悟を決めて店に入る事にした。


客「コンバンワー!ドモー」

しゅんち「あ・・・こんばん・・わ・・・。」


店を入ろうとしたらお客がちょうど店内から出てきて陽気に挨拶をしていった。
すっかり圧倒されしょぼしょぼと返事をするしかないしゅんちであった。

そして、みんなから背中を押され先頭で店内へ入るしゅんち。

カランカラン・・・


店員「イラッシャイマセー。ナンメイ?」



カタカナ当たり前です。



しゅんち「え、え・・っと フォー。」



英語使っちゃった。



店員「ヨンメイ?デハ オクヘ。」

楽しそうにディナーを楽しむオーストラリア人を尻目にすごすごと奥のテーブル席へと案内される。
そして英語で書かれた膨大なワインメニューを渡され軽く眩暈が。
すると、アジア系のお姉さん店員が注文を取りにやってきた。


店員「いらっしゃいませ。ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さい。」



うおおお〜〜!!日本人キター!!


もうすでに当たり前のことが当たり前ではなくなってきているしゅんち。
日本人店員の登場に懐かしい故郷にでも帰ってきたような感覚に陥る。
どうやら、この店員が日本人担当らしい。
むしろしゅんち達がスペシャルゲストである。

こうして日本語で注文するしゅんち。
とりあえず英語での注文じゃなくて良かった・・・。

「もちろん後ろの席は外国人の方々」

タカコ「しゅんちゃん・・・ど、どうしたの?」

しゅんち「・・・えっ」

すっかり大人しくなってしまったしゅんち。

しゅんち「ご、ごめん・・・なんか落ち着かなくて。」

母「あんた情けないわね〜!」

しゅんち「う・・・」

母「本当情けないわ!」

母の手痛いお説教に更にしょぼくれるしゅんち。


母「それに・・・あなたもよ!!


父「・・うぇえ?」

他人事のようにワインメニューを眺めていた父がビクッと反応する。

母「あなたはこの間の海外旅行の時も情けなかったわね〜!」

父「・・・。」

母「男ってなんでかしらねーこれだから男は・・・ガミガミガミ」

しゅんち&父「しょぼん・・・」


頼もしいよマザー。


母のお説教によりいっそう萎縮してしまう男性陣であった。

「素敵なイタリアン料理」

「ニセコひらふ」
そこは日本でありながら見事に外国であった。


こうして、美味しい食事もさほど喉を通ることなく(男性のみ)2日目の夜が更けてゆくのだった。


そして最終日・・・

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