shunchi四国漫遊記


第5日目最終日 AM 8:00〜


「控えめにしたつもりが割と多めに取ってしまうバイキング」

今日は最終日である。
昨日、佐賀関から再び香川県に戻った一行は、坂出にある「坂出グランドホテル」に泊まったのだった。

今日の予定としては午前中にもう一度「讃岐うどん」を食べてから、長野県に帰るというスケジュールである。
朝食バイキングを食べながら打ち合わせをする一行であった。

父「・・で、しゅんち。店はもう決めたのか?」

しゅ「うん。昨日調べたら山下うどんってところが良さそうだったのよ。」

父「近いのか?」

タカ「はい。ここからだと車で15分くらいだと思います。」

地理的な話はタカコにお任せなしゅんち。



母「・・私は部屋で寝ててもいいかしら?」



昨日、焼きたての素敵なパン屋を堪能し、故郷にも行ってきた母の旅は既に終了を迎えているようだ。
前回と同じやる気ない発言をするのであった。

仕方ない・・・また説得を・・・



父「ぁあ!?じゃあ、おまえどうすんだ?あぁ!?」



前回は非協力的な発言をしていた父。
しかし讃岐うどんの凄まじさを肌で感じ、一気にしゅんちの味方についた。
敵に回すと恐ろしい男だが、味方にするとなんとも頼もしい

母「朝食食べた後にうどんなんて・・・私入らないわよ。」

父「じゃあ、うどん屋行ったら迎えに来いっていうのか?あぁ?

母「それに私、あんまりうどん好きってわけでもないし・・・。」

父「じゃあ、車で寝てるか?あぁ?みんな行くんだぞ?ぁあ!?

母「う〜ん。」

父は母を威嚇しながら朝食を食べていたが、フト箸を止める。

父「おいしゅんち・・・。おまえうどん食べたか?」

朝食バイキングにうどんが置いてあったのだが、しゅんちは取らなかったのだった。
なぜなら、大体こういうところに置いてあるうどんは名物を意識してお飾りで普通のうどんである場合が多いからだ。

しゅんちは慌ててうどんを取りに行く。


「ぶっかけ温玉ミニうどん」

温泉タマゴと冷やっこエリアに置いてあったネギを使いミニぶっかけ風うどんを作った。
そして、かき混ぜた後一気に食す。


ズバッ ズババババ〜〜


しゅ「こ・・・これは・・・。」

父「かなりうまいな。わはは」

麺のコシ、うどんの味わいが絶品である。
これほどまでの逸品を朝食バイキングでさりげなく出すのである。
香川県のうどんレベルの高さは本当に凄まじい

しゅ「そういえばさ・・・製麺所ってすぐ営業時間終わるでしょ?」

父「ああ・・・谷川なんとかっていうところも営業時間短いんだろ?」

しゅ「製麺所ってのは基本的に仕出しが本業らしいんだわ。」

父「そうか・・・。」

しゅ「この坂出にも2時間くらいで閉店しちゃう日の出製麺所っていう超プレミア製麺所があるんよ。」

父「ほほう・・・。」

しゅ「まあ、とにかくこういうところに有名店が普通に仕出ししてる場合が多いのよ。」

父「なるほどな。」

しゅ「映画のUDONでは日の出製麺所の麺が食べたくて、仕出し先の病院に食べに行くシーンもあったよ。」

しゅんちと父が熱くうどん談義をしていると母が一言。



母「おいしいうどん食べれたから今日はもうこれでいいじゃない。」



父「ぁあ!?じゃ、おまえどうすんだ!?」


AM10:00〜


「土手沿いの田舎道」

・・結局、父の威嚇攻撃により強引に母も連れてこられた。


「田舎のおばあちゃん家に着いたよ〜(嘘)」

一行は「山下うどん」に到着。
ここは土手沿いの民家の中にぽつんとあった。
ここは、映画「UDON」のロケ地にもなったらしい。


「うどん屋にはとても見えません」

まるで町の小さな自動車修理工場のようであった。
人もさほどおらず、10分程度の待ち時間で中に入れた。
父はすっかりこの雰囲気に面白さを感じたらしく、ニヤニヤしながら辺りを見回していた。


「健康ランドでこういう風呂見たことあるよ」

働いている人はおじちゃん、おばちゃん、おばあちゃん。
本当に田舎のおばあちゃん家に遊びに行き、特製うどんを食べさせてもらえるような雰囲気であった。
設備はかなり年季が入っているらしく、歴史を感じさせた。
一体、今までこの場所でどのくらいのうどんを作ってきたのだろうか・・・。

五右衛門風呂のような大きな釜が印象的であった。


「小麦高騰による値上げ!でも安い・・・」

うどんを受け取り、トッピングを取って行く。
支払いはおつりが切れたので急遽後回しになり、なんともアバウト。


「釜揚げと普通 麺の感じが違います」

しゅんちは普通のうどん小と釜揚げ小の2種類を取る。
余計なトッピングは無しである。

しゅんちはぶってしょう油に挑戦。
「しょう油」とはだし汁をかけるのではなく、生醤油を麺にかけるだけの超シンプルな食べ方である。
箸を割り、一気に食す。


ズルッ ズルルッ ズルルルル〜〜


最初いつも食べているようなぶよぶよっと舌触りだったが、芯にはきっちりコシのあるうどん。
まるで二層式になっているようである。
このモチモチっとした感じがおばあちゃんの優しさを感じるようであった。

タカ「私はここのが一番好きかも!」

母「あー私もそうかも!」

女性にはウケが良いらしい。

こうして一行は山下うどんを堪能するのであった。


「瀬戸大橋SAにて休憩」

こうして一行は瀬戸大橋を渡り本土に戻った。


しゅんちは運転しながら考える。


それにしてもうどん文化は想像以上に凄まじかった。
味はもちろんの事、その文化が当たり前というから凄い。
最近の観光は地域活性化が目的で無理矢理に盛り上げているところが多い。
観光だ名物だと大騒ぎしている割に地元の人はあまり馴染みがないというケースもままある。

しかし、香川ではうどんは普通であたりまえ。
夕食にご飯と味噌汁を食べることに等しいくらいに普通なのである。
「なんでいまさらそんな事で驚いてるんだ?」と言われそうなくらいである。

更に値段の安さである。

観光地であれば名物は多少高くてもいいくらいである。
観光によって収益を上げ、地域に還元しなくてはならない。

しかし、香川は全く儲けようという姿勢は無い。
一般市民に根付いているから値段も上げるわけにはいかないのだろう。

これほどの安さで楽しめる名物というのも凄い。


これが「本物の名物」というものなのであろう。


そんな事を考えながら長野へ向けてひたすら車を走らせるしゅんちであった。


後日・・・

しゅんちはお土産に宮武うどんを買ってきたのだった。
宮武うどんとはうどん巡業の時、ちょうど臨時休業で行けなかった店である。
かなり有名店だったらしく帰りのSAで売っていたので飛びつくようにして買ってきた。
そして、冷凍の讃岐うどんと実際に食べ比べてみたかったのだ。

最近の冷凍讃岐うどんはかなりうまい。
初めて鍋にの締めに入れて食べた時は衝撃を受けたものである。
既にうまいと認識していた物と比べ果たしてどれほどの違いがあるのか確かめたかったのだ。

二つのどんぶりにそれぞれのうどんを茹で、シンプルにしょう油で食べてみる。

まずは冷凍讃岐うどんから・・・


ずるっ ずるるずるるる〜〜


確かにコシは本物をかなり再現している。
コシのある麺はあの時のおいしさを髣髴とさせる。
しかし、香りが全然違う。

あの時の小麦の味わいが口に広がる感覚は無い。
例えるなら気の抜けたコーラのような感じ。


そして宮武うどんを食す・・・


ズバッ ズバババッ ズババババ〜


柔らかい舌触りの後に、しっかりとしたコシ。そしてもっちりとした感触。
この「もっちり」というのがなかなか味わえない感覚で凄いのである。
麺の味もかなり再現され、明らかに冷凍物とは違う感覚である。



どんぶりを眺めながら四国旅行を思い出す。




阿波踊り、うどん、ひろめ市場、柑橘王国・・・



以前に沖縄に行ったことがあるが、南の島国というのは気温だけでなく文化も熱い。
同じ日本であって、長野県とは明らかに異質な文化を持った別の国・・・。
熱いソウルを感じ取れた気がしたしゅんちだった。

こうしてしゅんちはうどんをすすりながら四国での思い出を振り返るのだった。


タカ「もう少し(うどん)あるけど茹でる?」



しゅ「うん!もう一杯お願い!」



shunchiの四国漫遊記  完


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