shunchiの極楽日記


act 96 パッシング

車の運転の動作にパッシングという行為がある。
右のウインカーのレバーを手前に引き、ライトをペッカペッカとまばたきさせる動作である。

教習所では暗い見渡しの悪い交差点で「道を通りますよ〜」と合図するときに使うと習った。(記憶おぼろげ)
しかし実際の用途は相手に合図をする時が多い。
例えば、横道から侵入したがってる車に向かってパッシングをし、「どうぞお入り下さい。」と合図を送るのである。

他の用途として挨拶をするときにも使われる。
道を譲ってもらった時のお礼や、友人なんかと車同士で別れる時などにも使われる。
車に乗っていて合図をする行為にはクラクションを鳴らすというのもあるが、パッシングは音がしないので比較的ソフトな挨拶といえるだろう。
免許取り立ての頃はかっこよくパッシングするのに憧れたものである。
しかし、左のレバーと右のレバーを間違い、ウォッシャー液がピュッピュッとでてしまうのは誰もが通る道である。

他にパッシングの用途として、相手に警告する場合もある。
普通に道を走っていて、いきなり知らない対向車線の車にパッシングされた時は何か自分に起きているという意味である。

一番多いのが・・・

 ・ライトがつけっぱなし

消し忘れの多いしゅんちはしょっちゅうである。
しかし、最近は事故防止の為昼間でもライトをつけている車が多いので減っては来ているが。

 ・警察がこの先にいる

「スピードを出している」「シートベルトをし忘れている」そんな時はこのパッシングに反応しなくてはならないだろう。
しゅんちも突然、対向車にパッシングされ、反射的に急ブレーキを踏んだところちょうどスピード違反を免れたという事があるのだ。
同じドライバーとしての連帯感を感じずにはいられないパッシングである。

というわけでパッシングは侮れないのである。
パッシングをマスターすれば快適なドライバーライフが送れるというものである。(大げさ)

実生活でもパッシングがあったらいいのになぁとも思ってしまう。
手を使わず、声を掛けずして相手に簡単に合図を送れるのである。
ウインクという手もあるが男がやると気味が悪いので勘弁。

どんな時に使うかとというと、襟が裏返っているとか肩に糸くずが付いているとか簡単に相手に知らせるのである。
パッシングほど簡単ならば、たとえ全く知らない人であったとしても気を使わずに色々知らせてあげることができるのではなかろうか?



ああ・・・



今日みたいな日こそ誰かパッシングしてくれたらよかったのになぁ・・・。

と、昼休みにぼんやり考えながら・・・







股間のチャックを閉めるしゅんち。




どうやら半日開きっぱなしだったらしい。


act 97 スーパー銭湯

いつも通り、車で会社から帰宅する途中なにやら派手な看板に目が付いた。
その看板には

「スーパー銭湯 林檎の湯屋 おぶー 12/10オープン」

と書かれていた。

12/10と言えば今日ではないか!ということで早速、アパートに帰りお風呂セットを準備して「林檎の湯屋 おぶー」に向かうのであった。

地図に書かれていた場所は寂れた住宅街の一角である。
それにしても・・・本当にそんなところにスーパー銭湯なんてあるのか・・・?
道に電灯はほとんど無く、とてもそんな施設が建設されているとは微塵も思えない場所なのである。
更に「おぶー」という名前もなんだかウルトラマンの怪獣みたいでいかがわしい。

・・・ひょっとしたら、スーパー銭湯とは名ばかりで場所が住宅地だけに「小部さん」家の表札にスーパー銭湯とマジックで書かれた張り紙がしてあって、古い家庭のお風呂に案内されるのではないだろうか・・・。←考えすぎ
そんな不安を抱えながらおぶーに向かうのであった。

しゅんち「本当にこんな暗い裏通りなんかにスーパー銭湯なんてありえ・・・

ぎゃあああああああああ!!あったああああああああ!!」

なんと、かなり広い駐車場に加え立派な建物がそびえ立っていた。
さっき通ってきた道からは想像も付かないその施設に、異次元を超えてきたような感覚に陥るしゅんち。

絶叫しながらさっそく弾む足取りで建物に入る。
入り口にはオープンしたてらしくスーツ姿支配人らしき人と数名の店員が挨拶される。
なんだかVIPな待遇に気分が良くなるしゅんち。

そして下駄箱で靴を預け、入場券を買い早速風呂に向かう。
オープン当日ということでかなりのお客さんの数だった。

しゅんちは、はやる気持ちでトレーナーとシャツを一緒に脱ぎ、ズボンとパンツを一緒に脱ぐ。
そして脱いだ形のままロッカーに衣服を放り込み小タオルを手に銭湯へ。

室内には泡風呂電気風呂そしてハーブ湯寝風呂と充実していた。
しゅんちはつまみ食・・・いや、つまみ入りをしながら色々なお風呂を堪能した。

興味を引いたのがジェット風呂。

<説明>
痩せたい部分にお湯を当てて下さい。


やっぱりお腹に当ててみた。

・・・そして室内の風呂で暖まった後、露天風呂に向かった。

すると、想像以上に広く驚かされる。
岩風呂に加え、寝風呂、絹の湯、壺の湯と色々あり目移りしてしまう。
しゅんちは壺の湯に入ってみた。
なぜこんな広い銭湯に来ておいて、こんな狭いところに入りたがるのか人間の心理とは不思議なものである。
それにしても・・・壺と言うより茶碗だなこりゃ。
気分はすっかり目玉の親父。おい鬼太郎っ!

ちょっとぬるめのお湯につかり、仰向けで夜空を眺めるしゅんち。
立ち上がる湯気と共に、年末の激務で溜まったストレスが夜空に溶けていくようだった。

・・そしてしゅんちは次ぎにサウナに行ってみた。
サウナは2種類あって、普通のサウナとスチームサウナがあった。
スチームサウナというと学校の下駄箱のような臭いがする為、好きではなかったのだが、まだ新しいので臭わないんじゃないかと行ってみることにした。

・・・案の定臭くはなく、しゅんちは心地よいスチームに包まれるのであった。
しばらくまったりしていると小さい男の子を連れた親子が入ってきた。

お父さん「よーし、ケン。パパの膝の上にお座り。」

子供「ねえねえ パパ。すごい煙で前が見えないねぇ。」

お父さん「これは煙じゃなくて霧なんだよ。それにしてもあんまり熱くなくて気持ちがいいな。」

子供「うん。あんまり熱くないねぇ。ちょうどこたつに入っていたママがボクのお布団に入ってきた時くらいだね。」

素晴らしい表現力。
子供のかわいらしい話しに体だけでなく心まで癒されるのだった。

そしてすっかりお風呂を堪能したしゅんちは頭を洗うことにした。

しゅんち「(うんうん ここは最高だ!お風呂もいいが、値段も500円というところが更にいい。)」

頭を濡らしながらブツブツと評論家のごとくつぶやくしゅんち。

しゅんち「(でもまてよ・・・林檎湯屋って書いてあったのに林檎なんてどこにも出てこなかったよなぁ・・・。)」

そしてシャンプーを手に取る。

しゅんち「あっ これか。」

シャンプーりんご味。

そしてお風呂から上がり、生ビールと夕飯にコロッケ定食を食べすっかり満足のしゅんちであった。
それにしてもよい施設が近所にできたものだ。


act 98 不意に大根

営業から帰り会社に戻ると机の上に大根が一本置いてあった。

しゅんち「うへっ!なんですかこれは?」

支店長「大根に決まってるじゃねぇか。

しゅんち「そ・・・そんなんわかってますけど・・・。」

支店長「家で採れ過ぎちゃって、余っちゃったんだよね。しゅんち君もらってってくれや。」

しゅんち「い・・・いや、独り暮らしの男が大根一本もらってどうしろってんですか?

支店長「おろしてもよし、煮込んでもよし、なんでもできるだろ。じゃ、帰るわ。お先。」

そう言い残すと支店長は帰ってしまった。

りんごやみかんならまだしも、大根一本はしゅんちにとって難度高すぎである。
大根を握りしめ呆然とその場に立ち尽くすしゅんち。

そこへ面白がって見ていた課長が寄ってきた。

課長「しゅんち君いいものもらっちゃったねぇ〜。」

しゅんち「い・・・いや、大根もらっても困りますってっ!」

課長「おでんでも作ってみたらどうだい?」

しゅんち「おでん・・・・。」

しゅんちはダシの食べ物は好物である。
しかし、おでんはまだ一度も作った事がない。
ひょっとして、おでんの神様がしゅんちへ自分で作ってみろと試練を与えたのではなかろうか?
そう思うと沸々と調理意欲が沸き出すのであった。

課長「うちのおでんはうまいよぉ〜!じゅーって味が染み込んでねぇ。」

しゅんち「ほぉ・・・・。」

課長「やっぱりなんといっても大根なんか最高だねぇ。」

うまそうなおでんを想像し、よだれが出てきそうになるしゅんち。

しゅんち「んで、そのおでんってどうやって作るんですか?」

課長「俺が知るわけないだろ。」


おいしいのはわかったから作り方を教えてくれ。


課長「醤油で煮込めばいいんじゃねえか?」


ダシの存在を知らない発言。
課長にだけはみそ汁を作らせてはいけないと感じるしゅんち。

課長「酒とかみりんとか入れればうまいんじゃないか?」

しゅんち「酒・・・うちにはビールしかないですよ。」

課長「おおっ 案外おいしいかもよ。」

課長はあてにならないと察したしゅんちは早速ネットでおでんの作り方を検索してみた。

〜おでんの作り方〜

まず、牛すじをぶつ切りにし熱湯で茹でた後流水で洗い、再度鍋に熱湯を沸かしコンソメの素、ローリエ、くず野菜、牛筋肉をじっくり・・・

無理。

どうも検索した内容はしゅんちの料理偏差値では到底及ぶ代物ではなさそうだ。

しゅんち「う〜〜ん、どうしようかなぁ・・・」

課長「しゅんち君はいつもコンビニに行くだろう?だったら、コンビニに大根持ち込んで一緒に煮てもらえ。


それは名案。(おい)


かなりの名案ではあるが(?)そこまで頼めるほどの勇気もないので、結局、スーパーに「おでんの素」があるだろうと踏み、しゅんちは会社帰りにスーパーに向かうのだった。

スーパーに行くと案の定、おでんの素を発見し、早速裏面の作り方をチェック。
どうやら、素を水に溶かし後は具材を入れるだけと非常に簡単そうだ。
しゅんちは意を決し、おでんの素をカゴに放り込むと、他の具材を選びはじめた。
ちょうど100円均一祭をやっているようで、おでんの具が全品100円。
しゅんちは欲望のままにカゴに次々に放り込む。

決まった具材は、玉子、ちくわ、厚揚げ、餅入りきんちゃく、さつま揚げ、そして今日もらった大根。
しゅんちがセブンイレブンでよく頼みそうなメンツである。

・・・そして、アパートに帰り早速調理に取りかかる。
先ほど買ってきたおでんの素の裏面を読んでみるしゅんち。

〜おいしいおでんの作り方〜

大根は10cm程度に輪切りにした後、十字に切れ目を入れます。

ふむふむ・・・

そして面取りをした後

面取り・・・?なんじゃそれ?
細かいことは無視だな。

大根を鍋に入れ、弱火で煮て下さい。

それにしても・・・大根だけで鍋がいっぱい。
他の具材が入る余地がなさそうである。

仕方がないのでめんつゆを取り出し、練り物は別の鍋で作ることに。
そしてダブル鍋でおでんを作り始めた。

そして、しばらく煮込んでいると・・・
練り物鍋溢れる。

買ってきた具材の半分しか入れてないのに、汁を含み膨張してしまうちくわ達。
あまりの膨張ぶりに鍋のフタを持ち上げた。

どうしようもないので大きいパスタ鍋に全部移し返す。
そして買ってきた具材を強引に全部ぶち込んだ。
そして、しばらく弱火で煮込み、ついに完成。

てか、作りすぎ。

しゅんちは早速茶碗に盛り、ハフハフ言いながら食べてみる。
調理行程に多少強引さはあったものの、なかなかの出来であった。
反省点はあるが予想以上の結果に大満足なしゅんち。
しかし、作りすぎた鍋を眺めうんざりするのであった・・・。

・・・そして次の日。

しゅんち「おはようございます〜!あっ 支店長、大根おでんにしておいしくいただきました!」

支店長「ほお 自分で作ったのか?そりゃ大したもんだ。」

しゅんち「いやーなかなか楽しい体験でしたよ〜。」


支店長「じゃあ、今日も持ってくか?」

しゅんち「いりません。」


act 99 マッキー

最近マッキー(槇原敬之)にはまっている。
部屋掃除をしていたところ、高校生の頃買ったCDをたまたま手に取り聴いてみたところ妙にはまった。
今日も中古ショップへ行き、CDを買い漁ったのだった。
最近まで「Dragon Ash」を狂ったように聴いていたくせにいきなり「槇原敬之」
もの凄いギャップである。

最近のマッキーと言えば麻薬事件やホモ疑惑やら不祥事的な話題に事欠かないが、改めて曲を聴いてみるとやはり良い物は良いと思ってしまうのだった。

マッキーの曲はクリスマスが近づいて来ると聴きたくなってくる。
しゅんちが買ったCDもクリスマスの曲が入っており、今聴くのにはちょうどいい。
冬になると聴きたくなるのは恐らくマッキーが夏みると暑苦しいから冬が似合うからであろう。

マッキーの魅力について語ってみよう。
マッキーのメロディーは優しい感じでとても聴きやすい。
心に染みわたってくる癒し系の声とメロディー。
メロディーはもちろんの事、特に歌詞に注目してもらいたい。

一般的に曲の歌詞というとキーワードをちりばめたような感じが多く、断片的である。
しかし、マッキーの歌詞はなにかの文章、又はしゃべっている事にそのまま曲をつけてしまったような歌詞なので感情表現豊かなのである。
そしてマッキーの曲は彼女にフラれていじけている曲や、彼女と大喧嘩をして枕と目覚まし時計をぶち壊される曲などかなり弱っちい。

代表曲に「もう恋なんてしない」という曲がある。言わずと知れた大ヒット曲である。
題名できっぱりと「もう恋なんてしない」と断言しておきながら、サビで「もう恋なんてしないなんていわないよ絶対」と、かなり回りくどい言い方で本当はどっちなのかよくわからない。
かなりの優柔不断さも伺える。
しかし、しゅんちはそんなマッキーのへなちょこぶりにかなり共感してしまうのだった。

さらにマッキーの歌詞はストーリー性が強い。
一番衝撃的だった曲が「SPY」
曲の内容はこうである。

・・彼女にデートを断られがっかりして街を歩いていたら偶然彼女を見かけてしまう。
彼女は変装に近い格好で歩いている。
少し怪しいと思ったので跡をつけてみよう。
しかし、サビは「だけど信じてる」と連呼する曲なのである。
ここまでだと彼女を好きで結局信じてるというラブラブな感じ。
ところが2番の歌詞・・・


高そうな車の横で君は急に立ち止まる〜♪

運転席の男が軽く手を挙げた
〜♪


しゅんち「(ぐはっ・・・やっぱり男か・・・いや、友達かもしれないぞ・・・)」


ボクの胸が急スピードで高鳴る〜♪


しゅんち「(ドキドキ・・・どうなるんだろ・・・?)」



君は周りを気にしながら奴とキスをした〜♪



しゅんち「(ぶへっ・・・次は・・・サビ・・・。それでも信じると歌うのか・・・?実際シャレになんないぞ!?)」





シャレになんないよ なんないよ〜♪




やっぱりな。

そして曲はラストへ・・・




だけど信じてる 信じてる どうか信じさせて〜〜♪




いや、無理だろ。現行犯だし。

それにしても変装までしたのに道ばたでキスをしてしまう彼女も結構マヌケである。

・・・というように歌詞一つ一つにいちいち注目してしまうのだ。
それにしてもこれらが実体験ではないのだとしたら、妄想癖のしゅんちは親近感を憶えてしまう。

強烈な妄想といえば「HOME WORK」という曲がある。
しょっぱなの歌詞から・・・




今電話を切ったばかりの君が またかけてきた

「(言うの)忘れたごめんね 大好き

そんなのわかってるよ







ブボッ

ごめん、鼻血でた。
初っぱなから大振りストレートをカウンターで食らい早速しゅんちダウン。



そしてサビ・・・



目覚まし時計かけずにベットに潜り込んだ 夜は

どっちが先に目を覚ますかランチを賭けてもいいよ




しゅんち「(ぐはっ・・・なんて、ハチミツとコンデンスミルクを混ぜたような甘い賭けをしてるんだこいつらー!)」




眠そうな返事が だんだん聞こえなくなってきても

君をずっとみつめてる ボクがきっと負けるから




ぜ・・・

絶対この人ラリってる。(いや実際そうだったし・・・)

凄まじいまでの妄想力に脱帽。
こうなったら師匠と呼ばせてほしい・・・。

マッキーを愛してやまないしゅんちなのであった。


act 100 雪の結婚式

しゅんちの一つ上の兄が結婚することになった。
相手は6年半付き合った「アコちゃん」。
そんな二人からしゅんちへの依頼があった。

「結婚披露宴の司会をしてほしい。」

結婚披露宴の司会と言うと重要な役割である。
大体、知人や友達に頼むというのが多いが、身内の、更に弟に頼むというのも珍しい。

そんなことよりも、結婚式の司会といえば学級長や生徒会長などを務めた人が似合うポジションである。
しゅんちは学生時代は文化祭実行委員会の副委員長というかなり中途半端な役職しか体験したことがない。
しゅんちに司会を任せるということは野球で例えるならライトで8番を打っていた男にいきなり4番でピッチャーを任せるようなものである。
しかし、兄の期待に応えるべくしゅんちは司会を快く引き受けたのだった。


・・・10月上旬。
しゅんちは結婚式の打ち合わせの為、兄の住む東京に行ったのだった。

兄「じゃあしゅんち。この進行表を見てくれ。」

しゅんち「ふむふむ。まず二人が入場ね。そんで・・・二人の紹介ってのは誰がやるの?」

兄「おまえ。

しゅんち「そっかー両親にやってもらうって案は却下になったのね。んで・・・この祝電は誰が?」

兄「おまえ。

しゅんち「やっぱ俺か。よし、わかった。んで、この二人の半生を振り返るスライドってのは?」

兄「おまえ。

しゅんち「また俺・・・んで、この余興ってのは?」

兄「おまえ。

全部かよ。
なんて弟任せな兄。

しゅんち「ちょ・・・ちょっと俺出番多すぎねぇか!?誰か他にいないのかよ!」

兄「おまえにはさぁ・・・「華」があるんだよ。」

しゅんち「華・・・?」

兄「なんていうか、人を引きつけるこう・・・力ってか魅力ってか くどくどくどくど

すっかり乗せられるしゅんち。
こうしてしゅんちは全部まとめて引き受ける事にしたのだった。

その後、打ち合わせを順調に行い、当日を待つばかりとなったのだった。


・・・11月上旬。
ついに当日の朝がやって来た。
場所は軽井沢。
信州の自然に囲まれて式を挙げるというコンセプトの元、この地が選ばれたのだった。

しゅんちは兄を車に乗せ式場に向かっていた。

しゅんち「兄ちゃん・・・ついに歴史的な朝が来ちゃったね。」

兄「・・・おう。」

しゅんち「緊張してる?」

兄「・・・かなりやばい。」

しゅんち「俺もかなり緊張してきてるけど、気合いをいれようぜ!」

兄「・・・よし!がんばろう!!」

しゅんち「俺は幼稚園の頃の苦い思い出を払拭させる!」

幼稚園の頃の思い出・・・
しゅんちはクリスマス会の最後の挨拶を任された。
しかし、本番になって舞台の上で泣き出してしまい、会場中に「しゅんちゃんがんばれ」コールをされたにも関わらずとうとう言えなかったという苦い思い出があるのだった。

兄「・・・今日は幼稚園の時とは違うよなおまえ?」

しゅんち「・・あ、当たり前だろ・・・だ、大丈夫だって。」

自信なし。

二人はお互いを励まし合い気合いを入れて式場に向かうのだった。

しゅんち「・・・あれ?兄ちゃんここどこ?

道間違える。
さい先不安なスタートである・・・。

なんとか式場に到着。
しゅんちも式用のスーツに着替え色々と式場のチェックをし始めるのだった。
そうしていると、続々と親戚や友人関係が集まりだした。

従兄弟「ぶははははは!!」

仲の良い従兄弟二人が大爆笑でしゅんちに歩み寄ってきた。
落ち着かずウロウロしているしゅんちがかなりおもしろかったらしい。

しゅんち「なんだよ・・・。」

従兄弟「ぶっははははは めっちゃ緊張してるやんけ!まぁちょっと座りいや。」

しゅんち「ふー・・・マジで緊張してきたよ。」

従兄弟「んで?今日はどんなことしてくれるん?」

しゅんち「どんなこと?」

従兄弟「初っぱなで声が裏返るとか、新郎と新婦を呼び間違えるとか。」

勘弁してくれよ。
不吉な予感を連想させる従兄弟だった・・・。

・・・そして時間が訪れ、式が始まった。

優しい感じの神父さんの前に兄が立っている。
やがて新婦は父親と共に入場。そして新郎に新婦の手を優しく渡すお義父さん。
二人は神父の元で誓いの言葉、指輪の交換。そしてキス。
ちょうどその時、正面のガラスの向こうでは天気が良いというのに雪がやさしく降りはじめていた。

しゅんち母は隣で滝のような鼻水と涙を流し、しゅんち父は阪神が優勝した時以来の涙をにじませていた。

おめでとう!
皆が二人を祝福したのだった。

・・・式も終わりいよいよ披露宴の時が訪れた。
しゅんちは一足先に会場に行き、マイクチェックを行った。
すると皆は続々と披露宴会場に集まってきた。

しゅんちの発声の元、いよいよ披露宴開始である!

しゅんち「それでは皆様。準備の方はよろしいでしょうか?それでは只今より結婚披露宴パーティを開催させて頂きます!」

沸き上がる盛大な拍手。

とにかくおどおどしてはいけない・・・

堂々と堂々と・・・

得意のポーカーフェイスだ・・・がんばれ自分(※act70参照)

しゅんち「えー本日司会を務めさせて頂きます新郎の弟のしゅんちです。二人からアットホームな感じの披露宴にしたいという・・・・」

やばい前が見えなくなってきた。
あまりの緊張状態で目の前が真っ白、五里霧中状態。一寸先は白。
自分はこんなに本番に弱かったのか!
予想以上に緊張してしまう自分に不甲斐なさ感じるしゅんちであった。

しゅんち「・・・というわけで皆様どうか手が腫れ上がるほどの盛大な拍手をお願います!それでは!手新郎新婦の入場です!」

そして、二人は盛大の拍手で迎えられながら入場してきた。
スポットライトが照らされ恥ずかしそうに入場する二人。
皆に暖かい拍手で迎えられながら席まで移動し一礼して着席。

しゅんち「えーここで二人の紹介をしたいと思います。まず新郎ですが昭和50年・・・・」

二人の紹介を読むしゅんち。
震えだす声を必死に押さえ何とか読み続けるが、手の震えは止められず両手でマイクを握りしめる。
新人アイドルのマイクの持ち方である。
しかし皆の視線は新郎新婦に向いているので格好はどうでも良い、とにかく声だけに集中だっ!
続いて、ケーキカット、乾杯と順調に進行し、なんとか一段落できた。

少し時間が空いた隙を見計らって緊張をごまかすためビールを呑みに親戚テーブルに駆けつけるしゅんち。

しゅんち「いやぁ・・・すげー緊張しちゃって前が見え・・・」

親戚「いやあ!しゅんちゃんさすがだったね!堂々としてて全然緊張してなかったね!」

しゅんち「え・・・?」

親戚「プロの完璧な冷たい司会とは違って暖かみがあっていいねえぇ〜。」

どうやらポーカーフェイスは大成功だったらしい。
すっかり誉められしゅんち有頂天。

誉められるとすぐに調子に乗るしゅんちは緊張が一気に吹っ飛ぶ。
ちょうどスターを手に入れたスーパーマリオのごとし。
無敵状態に入ったしゅんちはこの後順調に司会を進行していくのだった。

そして、新婦姉のりねえと二人で「二人の生い立ち」をパソコンで作ったスライドで紹介。
その後、二人のなれそめをHP作成で鍛えた技を駆使し面白おかしく作った「shunchi印特製スライド」を発表。
会場は笑いに包まれ、披露宴は一気にヒートアップしていった。

披露宴は大詰め、新婦アコちゃんの手紙読みに入る。
お涙頂戴シーンである。
新郎新婦の両親は会場後ろに整列。
アコちゃんは泣きながら両親へ姉妹へ感謝の言葉。
そして、新郎側の両親へも感謝への言葉。
更に最後に・・・

アコ「今日は・・・司会を務めてくれたしゅんち君。ありがとう・・・。」

やばい。来た。(涙)

そしてクライマックスは二人が生まれたときの体重で作られたテディベアの贈呈。
新郎父の挨拶。そして兄の感謝の挨拶。
会場は感動に包まれていた。

そしていよいよしゅんちの最後のセリフ。
まさに披露宴は最大の山場を迎えていた。
セリフは大方考えていたが、アドリブの方が感動を誘えるだろうと原稿は作らないでおいたのだった。

司会者として皆へのお礼、更に弟として皆への感謝。
二人をこれからも宜しくとお願い。
色々盛り込み、会場の空気を一気に感動の渦に巻き込むつもりである。


しゅんち「えー本日は皆様のおかげで楽しくて暖かい披露宴が出来ました。えー・・・・・





・・・・・・・・






ありがとうございました。」


すっぽり抜けた。
やっぱり原稿書いておけばよかったよ・・・。

こうして、無事披露宴を終えた。
こんな大舞台に馴れていない弟を信じ、全てを任せてくれた兄。
強い兄弟の絆を感じざるを得ないしゅんちであった

兄貴アコちゃん本当におめでとう!
そして感動をありがとう!


INDEX

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