PM 3:20〜
一行がフェリーに乗り込んだ後、しばらくして出港時間が訪れる。
そして緩やかに船は旋回し小浜島に向けて出発。
今日から2日間は到着先の小浜島で過ごす事になるのだ。
「小浜島」。
人口約500人。さとうきび畑の広がる自然の島。
昨年、NHKの朝ドラ「ちゅらさん」の舞台になった島ということで注目されたらしい。
しかし、しゅんち「ちゅらさん」知らず。価値知らず。
フェリーはどんどん加速し、石垣島から離れていく。
・・・ところで、フェリーって
「もの凄い水しぶき」
こんなに激しかったけ?
もの凄い水しぶきと爆音を上げて海の上を猛スピードで疾走するフェリー。
フェリーとはのんびり進むものだと思ってた一行。
フェリーの常識を覆すのだった。ひょっとして沖縄式か?
PM 3:40〜
フェリー(?)は約30分程で小浜島に到着。
港にはホテルの専属バスが迎えに来ていた。
一行はそれに乗り込みホテルに向かう。
そして10分ほどでホテルに到着するのだった。
「ヤマハリゾートはいむるぶし」
今回泊まるホテルは「ヤマハリゾートはいむるぶし」。
残りの2日間はこのホテルで過ごすことになる。
小浜島の5分の1を占める沖縄最大級を誇る敷地を持つリゾートホテルでその広さは東京ドーム40個分になるらしい。驚き!
植物園のような敷地にコテージ風の宿舎が点在している。施設もかなり充実していて、ホテルのビーチではマリンスポーツからフィールドスポーツまで楽しめる。さらにはゴルフ場までオープンしたといういたれりつくせりの充実ぶり。
一生暮らせそう。
バスを降りた後、父と母がホテルのチェックインの手続きに向かう。
その間、しゅんちと兄は玄関でぶらぶらとしていた。
ロビーの玄関にはシーサーの置物があった。
沖縄の建物の玄関には必ず「魔除けのシーサーが飾ってある」というタクシーのおばちゃんの話を思い出すのだった。
しゅんち「あっ・・・そうだー。おもしろい事考えたーっと。」
そう言うとしゅんちはデジカメを構える。
しゅんち「よっと・・・ あら・・・だめだ。角度が悪い・・・もう一回。」
再びデジカメを構えるしゅんち。
しゅんち「う〜ん イマイチだな・・・もう一回・・・。」
兄「おまえなにやってんの?」
弟の熱心な姿が気になった兄がしゅんちに駆け寄る。
しゅんち「よし!これだ!」
しゅんちは気合いを入れてカメラのシャッターを押す。
パシャ・・・
しゅんち「がぶっ あいたたたたたた」
兄「・・・・・・・・・。」
兄沈黙・・・
兄「・・・おまえ・・・
それ楽しいのか?」
しゅんち「うん・・・なんとなく・・・」
その時の兄の目は不自然な程にやさしかった・・・・。
・・・こうしてる間にチェックインが済み、一行は部屋に向かう。
はいむるぶしは敷地が広いのでランドカーというちょうどゴルフのキャディカーの様な乗り物を運転し、移動することになる。
部屋はロビーのあるメインの建物から離れてる為、ランドカーで部屋に向かう。
一番やりたがりのおこちゃまなしゅんちが運転をつとめる。
気分は遊園地のゴーカート。
ランドカーが走る道路の脇には芝生が広がっていて、植物園のようになっていた。
はいむるぶしの広大な敷地に皆、改めて驚く。
そしてランドカーは一行が泊まるコテージに到着。
部屋の番号を確かめ、一行は部屋に荷物を運び込む。
そして、各自自分の荷物を片づけたりした。
父と兄は昨日の夜からしっかり寝てないということもあり、夕飯の時刻まで寝る事にしたらしく、早々にベットに突っ伏した。
しゅんちは自分の荷物を放り投げた後、シャワーを浴びた。
睡眠は足りているので、シャワーから出たらはいむるぶしを散歩してみようと計画をする。
そして、シャワーを浴び終え、頭を拭き、パンツを履いてちょっとだけベットに寝転がるつもりが・・・
そのまま寝そべり寝。(横になってそのまま寝てしまうこと)
散歩計画も即中止。
隙さえあれば眠くなってしまうしゅんち。
こうしてこのままあまり寝てない兄や父以上に寝てしまうのであった・・・。
PM 7:00〜
どうやら時刻は夕飯の時間になったらしい。
母は呆れながら、特に寝る必要がなかったしゅんちを叩き起こす。
夕飯はビーチの見えるオープンレストランでバーベキューの予定。
皆、眠そうな顔をして、ビーチ行きの送迎バスに乗り込みオープンレストランに向かうのだった。
「ビーチを眺めながらバーベキュー」
オープンレストランに到着。
予約した為、すでに食器が並べられてあった。
本当にビーチがすぐそこにあり、眺めが最高だった。一行は最高のロケーションに感動の声を上げるのだった。
日が長いのかPM7:00を過ぎても少し明るかった。
席に座ると皆、声を揃えてオリオンビールを頼む。
ビールが運ばれ、海を背に沖縄の夜に乾杯をした。
バーベキューは牛肉を中心に海老などのシーフードもあった。
鍋奉行・・・いや鉄板奉行の父に焼きの担当を完全に任せ、バクバクと食べまくり、がぶがぶとビールを呑むのだった。
こうして徐々に日も落ちビーチは夜の雰囲気になっていった。
PM 8:30〜
・・・食事も後半に差し掛かった頃、兄の携帯電話が鳴る。
兄はその電話に反応し電話を取ると会話をしながら暗くなったビーチの方へと歩いていった。
しゅんち「ん?彼女からかな?」
やじうま顔でビールを一口呑むしゅんち。
兄はつい先日、6年間付き合った彼女と婚約発表をしたばかりだった。
母「うん。たぶん彼女からじゃない?いつも夜になると必ず電話してるみたいだしね。」
しゅんち「そういえばそうだよなー。結構兄貴ってあーみえてマメなんだな。ぷぷ」
母「いやね・・・前聞いたんだけど、どうも夜に電話をするのは理由があるらしいのよ。」
しゅんち「ん・・・理由?」
しゅんちはのけぞって座っていた体を興味深げに起こす。
「兄が夜になると彼女に電話をする理由・・・」
彼女は駅から家まで徒歩で通っているという。
どうやらその駅と家までの道のりで、ある地点に差し掛かる時に二人は電話をしているらしい。
ある地点とは人通りも明かりも少ない寂しい道で、家に行くにはどうしても歩かなきゃいけない道ということ。
しかし女性一人で歩くような道ではないらしい。
そこで兄は毎晩、彼女がその道を歩く時間に、防犯の為、そして彼女を怖がらせない為に、「電話しよう」という事を二人で決めたらしい。
そして二人は6年間彼女がその道を歩く時間に電話をしあってるということらしいのだ。
しゅんち「へぇ・・・そんな理由があったんだ・・・。なんかいい話しだねぇ・・・。」
その時「兄貴・・・結婚本当におめでとう・・・」とやさしい気持ちがしゅんちの胸に沸き上がった。
しゅんちは再び体をイスにのけぞらせ感慨にふけるのだった。
・・・しばらくして、兄は電話を終え席に戻ってくる。
しゅんち「あぁ・・・兄貴。おかえり。・・んで彼女なんつってたんよ?」
やさしい眼差しで兄に語りかけるしゅんち。
兄「彼女・・・?
ああ、さっきのは仕事の電話だ。」
しゅんち「・・・・。」
やさしい気持ちもどっちらけ。
・・・そして食事を終えた一行は、帰りのバスが迎えに来るまでの間、夜のビーチを歩いてみることにした。
目の前の暗い海の遙か彼方に見える水平線を境に星空の絨毯が一気に遙か頭上に広がっていた。
今にもこぼれ落ちそうな無数の星達は手がすぐそこに届きそうなほど近くに感じ、鮮やかに瞬いている。。
一行は360度に広がる満天の星空を見上げ感動し、立ち尽くす。
未だかつてこんな綺麗な星空があっただろうか?
そして、ビーチに備え付けてあったビーチチェアに寝転がり、星空を眺めながらゆったりと沖縄の夜空を満喫したのだった。
PM 9:30〜
一行は送迎バスでロビーに戻る。
そして、ロビー建物横にあるプールサイドバーに向かいカクテルを呑むことにした。
「カクテルが壮観」
色々呑んでみたいと各々が違うカクテルを注文することにした。
兄は「ちゅら海」という沖縄らしいカクテルを頼む。このバーのオリジナルらしい。
どうやら「ちゅら」とは「美」の意味で、「ちゅらさん」というと「美しい」という形容詞になるらしい。
「ちゅら海」とは「美しい海」ということになる。
青くて結構きつめのカクテルだった。(左から二つ目)
親二人は沖縄の現地フルーツをふんだんに使ったであろうトロピカルなカクテルを注文。
そしてしゅんちは沖縄に来たくせに「ブルーハワイ」。
しゅんち非国民。
プールサイドで呑むカクテルはとてもリッチな気分だった。
皆は今日の出来事をカクテルを呑みながら話し込む。
こうして、カクテルを楽しんだ後、一行は芝生の広がる植物園を歩きながら少し遠回りしながら部屋に戻る。
部屋に戻ったあと、しばらくしてしゅんちは再び外に出掛ける。
プールバーの横にあったハンモックで寝てみたかったからである。
しゅんちは心地よく酔った体をフラフラさせながらハンモックに辿り着く。
南国の夜にハンモックに寝そべるのはとても気分がよかった。
ハンモックに揺られながらぼんやりと夜空を眺める。
プールバーから聴こえてくる曲は「stedy&co.」。
心地よいギターサウンドと語りかける歌声。音楽に混じって時折きこえる楽しそうな笑い声。
揺れるハンモック。そして、星空。
しゅんちはハンモックに揺られながらぼんやりとまどろむのだった。
こうして、しゅんちの沖縄の1日目の夜はゆっくりと更けていくのだった・・・。
PM 11:00〜
ハンモックでうたた寝をした後、軽く園内を散歩し、部屋に戻るしゅんち。
部屋に戻ると兄がタラだかイカだかのくんせいをかじりながらビールを仕事のように呑んでいた。
もっとうまそうに呑め兄。
親二人は既に爆睡中の様子。
しゅんち「いや〜外良かったよ! すんげー気持ち良かった!」
兄に感動を伝えるしゅんち。
兄「むむ・・・・?そんなに良かった?」
鼻にずり落ちたメガネをクイッと上げしゅんちの言葉に反応する兄。
兄「ねぇねぇ しゅんちゃん。散歩一緒に行こうよ〜。」
兄はしゅんちに頼み事をする時は必ず「ちゃん」付けなのである。
しゅんち「えー・・・帰ったばっかりなんだけど・・・まぁいいか。じゃあ行ってみるかっ!」
こうして二人は夜のはいむるぶしに散歩に出掛けるのだった。
二人はまずは自分たちの泊まってるコテージの裏の道へ歩いて行ってみることにした。
しばらく歩くと早速兄が弱音を吐く。
兄「・・・ねぇ・・・ちょっと暗くない・・・?」
昔から暗い場所が怖かった兄。
ちょっと及び腰。
しゅんち「大丈夫大丈夫!だってここはホテルの敷地なんだぜ?変なものなんているわけ・・・」
その時・・・
ミヤーゴ ミヤーゴ ミヤーゴ
暗闇から突然響き渡る聞いたことのないなにかの鳴き声・・・
猫・・・
いやいや猫にしては声が大きすぎる・・・。
その音はまるで何かの悲鳴のようにさえきこえた。
兄「・・・しゅ・・・しゅ・・・しゅんちゃん・・・今の何?」
完全に足がすくみ立ち止まる二人。
しゅんち「・・・さ・・・さぁ?」
さっきまで意気込んでいたしゅんち急に黙り込む。
・・・・・・・・。
しゅんち「か・・・帰ろうか?はは・・・」
兄「そ、そうだね。ははは・・・」
散歩終了。チーン
なかなか腰抜けな兄弟であった・・・。
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