「地元の名物は?」と聞かれてすぐに答えられるだろうか? 他県の人と仕事をすることが多いしゅんちは結構この質問をされることが多い。 しゅんちの住む場所は長野県だが名物とはなんだろうか?
そば。
りんご。
・・・・。
・・・あとは思いつかない。 実はこれらも名物といえど長野人がそばやりんごを毎日食べているか?と聞かれればそうでもない。 ほとんど食べてないのが実情である。 そばなんて下手すれば年越しと緑のたぬきぐらいしか食べないことだってありえそうなのである。
ある日、山梨県出身の中野さんと話す機会があり地元の名産の話をするのだった。 中野さんは生粋の山梨県人のおじさんである。
中野「長野の名物ってなんですかね?」
しゅんち「う〜〜んそうですねぇ〜。そばとか・・・りんごとかですかね?」
中野「やっぱりそうですか。でも山梨のそばも結構有名なんですよ。」
しゅんち「ああ!なんか雑誌に載ってましたよね。」
中野「そうなんですよね。」
しゅんち「山梨はなんです?やっぱり果物?」
中野「そうですねぇ・・・桃とかぶどうとか・・・でも長野にもあるでしょ?」
しゅんち「全然ありますね。」
中野「ああ、山梨といえばワインとかも有名ですよ。」
しゅんち「う〜〜〜ん。長野県も塩尻ってところがワインが有名で信濃ワインとかCMバンバンやってて有名なんですよねぇ。」 お互いの名物を言い合うがほとんど変わらず。 やはり関西や九州ならまだしも山梨県といえば長野県のすぐ隣。 同じ甲信越地方では大した違いはないのだろうか。
しゅんち「山梨って割と遊びにいくんですよね・・・。あとなんだっけか?」
中野「う〜〜〜ん。山梨県の名物ですよねぇ・・・。なんだろ?」
しゅんち「う〜〜〜ん・・・・。」
しばらく記憶を辿るしゅんち。
しゅんち「あ!そうだ!「ほうとう」が名物でしたよね?」
中野「え?」
「ほうとう」とは太いうどんのような、すいとんのような麺とかぼちゃやごぼうなどの野菜を一緒に味噌仕立てのスープで煮込んだ山梨の郷土料理である。
しゅんち「山梨のうまい店教えて下さいよ!」
中野「いやぁ〜〜ほうとうなんかわざわざ食べに行きませんよ。」
しゅんち「あれ・・・?そうなんですか?」
中野「私は一回も外で食べたことないんですよね。」
しゅんち「そうですか・・・。」
やはり名物とは実際のところあまり食べられないものなのだろうか。
中野「いつも家で食べますね。」
しゅんち「え?」
いつも家で・・・?
しゅんち「そ、そんなにいつも家で食べるんですか?」
中野「いやぁ昨日の夕飯もそうでしたけど・・・あれ?家で食べませんか?」
しゅんち「い、いや普通食べませんね・・・。」
中野「えええええ!?」
来た異文化の匂い。
どうやら山梨県ではほうとうは普通に食べているらしい。 こっちで言うとうどん並みの頻度なのだろう。 中野さんにとってはあまりにも日常的な事だったのであえて言わなかったが改めて質問されようやく気付くのだった。
・・・ということは長野県にもそういうようなことがあるのだろうか?
しゅんち「中野さん・・・。天ぷらには何をつけます?」
中野「え?そりゃ天つゆでしょ?」
しゅんち「・・・長野じゃしょう油かける人がほとんどですよ。」
中野「えええええ!?」
しゅんち「漬物というと普通なにを思い浮かべます?」
中野「たくあん・・・ですか?」
しゅんち「・・・長野じゃ野沢菜ですよ。」
中野「えええええ!?野沢菜なんてほとんど食べませんよ!」
しゅんち「えええええ!?本当ですか!?」
中野「いやぁ・・・。」
しゅんち「かんてんぱぱって知ってます?」
中野「なんですかそれは?」
しゅんち「えええええ!?知らないんですか!?」
地元の名物とは・・・
案外自分では気付いていない物がそうかもしれないと気付くしゅんちであった。
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