shunchi極楽日記


act 217「遅い注文」

しゅんちは週に一回ジムに行く。
会社帰りにジムに行き、その後、夕飯を食べて帰るのが習慣になっているのだ。

今日もジムで汗を流した後、夕飯を食べるために前から気になっていたラーメン屋に向かうしゅんち。
その店は全国チェーンのお店なのだが、この夏の限定ラーメンが登場したので食べてみたかったのだ。

早速駐車場に車を停める。
もう時刻は深夜前だというのに駐車場は混んでいた。

店内に入ると目の前が食券売り場になっている。
この店は食券を最初に買うシステムなのである。

しゅんちの前に男2人組みが券を買っていた。
順番を待ったあと、新作ラーメンの食券を買いカウンターに座る。
券を店員に渡し、暇つぶしに目の前に置いてある新作ラーメンの紹介が載っているチラシを読みながらラーメンを待つ。


・・・


・・・


・・・


・・・


・・・


あれ?遅いな・・・?


時計を見ると既に15分が経過していた。
読んでいたチラシも2往復したところだった。

まあ、もうすぐ来るだろう・・・。


・・・


・・・


・・・


・・・


・・・


遅い・・・。遅すぎる。

時計の針は入店してから20分が過ぎようとしていた。
不安に思ったしゅんちは店内を見回しお客さんを観察してみた。


<店内の人々>(カッコ内は略称)

・飲み会帰りの酔っ払いサラリーマン4人組。(酔4)

・パチンコ帰りの若者3人組(パ3)

・仕事上がりの大男2人(仕2)

・カウンターに男が1人(カ1)

・しゅんち

そういえば入店した時から人が変わっていないような気がする・・・?
更にしゅんちはテーブルに置かれている物を細かくチェックした。

酔4のテーブルには既に食べ終わったラーメンどんぶりが置かれている。
もう既に食事は終わったらしく日本経済の話だか会社の経営に対する不満やら話し込んでいる。

パ3のテーブルは何か楽しい話題で盛り上がってるようだがテーブルの上に乗っているのは水だけ

仕2のテーブルには生ビールが置かれ二人とも一杯目が終わろうとしていた。
確か、この二人がしゅんちの前に入店した人たちだった。

カ1はしゅんちの後に入店してきた人だ。
しゅんちのラーメンが運ばれて来てないのでもちろん彼のラーメンもまだだ。

これらを考えると入店した順序はこうだ。



酔4−パ3−仕2−しゅんち−カ1



現在の状況はパ3のラーメンがまだ出ていない。



何やってんだこの店。


入店して既に20分経つが、しゅんちのラーメンは全くの手付かず。
20分かけてもパ3のラーメンすら出来上がってないらしい。

しゅんちのイライラメーターが上昇し始める。

誰かこの怠慢な店に怒りを示す勇者はいないのか・・・!?


既に戦い終えたサラリーマン4人。


話に夢中な若者3人。


酒で盛り上がる2人。


おとなしそうな男1人。


そしてしゅんち。


頼りなさ過ぎだ。


・・結局心の中で文句を言いながらおとなしく待つしゅんちであった。


・・・一体なにやってんだ。


・・・なんちゅー怠慢な店だ。


・・・ラーメン作りながら寝てんのか?


・・・もしかして今麺を打ってるとこなのか?


・・・ひょっとして今からスープの仕込みしてるとか?


・・・それとも今まさに豚を捕まえに行ってるのか?


そんな事を考えているとようやくパ3にラーメンが運ばれていた。
パ3は話に夢中なのか別段遅くなったのに気になってない様子だった。
かなり待たされているのに無抵抗な3人を見て悔しいしゅんち。

・・・どうしたんだ最近の若者は!?

しゅんちは文句こそ言えないがせめてもの抵抗である不満オーラを出してみる。
効果があるのかは微妙だが。

横のカウンターの男をみるとそわそわしはじめた。
恐らくしゅんちと同じ心境なのだろう。
多分こう思ってるに違いない。


「誰か文句を言ってくれ。」


2人の願い虚しく、暇そうな店員おばちゃんが店内をただただブラブラしていた。


・・・一体誰が作ってるんだこんちくしょう。


しゅんちは厨房を覗いてみた。
すると奥のほうで実にやる気のなさそうなおじさんがラーメンをのんびり作っていた。
まさに会社をリストラされ女房に逃げられたという感じの覇気のない痩せたメガネのおじさん。
その動作たるや実にスローリー。


・・・なんだその動きは?


・・・チャーシューを乗せるだけなのにどうしてそんなにゆっくりなんだ!?


・・・料理はスピードも大事なんだ!ねんど細工じゃねーんだよ!


・・・なぜ一度に二つの事ができないんだ!?


・・・ああ!!もう!!


・・・こんな店二度と来てやるもんか!!


怒りメーターが8から9に切り替わった時、ようやくしゅんちのラーメンが運ばれてきた。
時間は40分が過ぎようとしていた。


・・・くっそ!全部残して帰ってやりたいとこだぜ!


・・・まあ、背に腹は変えられないか・・・。


・・・ああムカつく!


ズルズル〜


・・・むむ。


ほう・・・。なるほど・・・。


ズルズルズルズルズルズ〜〜〜〜


・・・こりゃなかなかだな!


・・・こういう味もあるのか!ふむふむ。


ゴクゴク・・・プハー


・・・うまかった!


・・・今度はこっちのを食べに来るかな〜♪



喉もと過ぎれば遅さ忘れるしゅんちであった。


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