会社で健康診断が行われた。 毎年、他の企業も一緒に行うため近所の集会所で一斉に行われるのである。
朝出勤すると早速集会所に向かうしゅんち。 現地に着くとすでにかなりの人だかりができていた。
検査員「すみませ〜ん。まずは尿検査で〜す。」
受付のお姉さんにコップを渡されるしゅんち。 まずは尿検査と身長体重測定である。 しゅんちはトイレに行き、いそいそと紙コップに尿採取。 そして紙コップを持ちながら行列に並ぶ。
数十人が自分の尿片手に大行列。
よく考えると異常な光景である。
・・尿検査、身長体重を測定した後、次はレントゲン撮影である。 レントゲン機材を積んだバスに乗り込み服を脱ぐしゅんち。
検査員「はい息を吸ってください。」
ス〜〜〜〜ッ・・・
検査員「そのまま止めて下さいね。」
そしてバタンと扉を閉める。 この瞬間がたまらなく緊張する。
X線を浴びて身体に影響はないだろうか・・・?
確か生殖機能に異常をきたすという噂を聞いたこともあるよなぁ・・・。
まてよハゲるって聞いた事もあるような・・・。
などと毎回無駄な心配をしつつ一瞬で検査終了。
検査員「はい。いいですよー。次は中で検査受けてください。」
次は視力検査と血圧検査である。
課長「やあやあ、後何が残ってるんだい?」
順番待ちの場所に課長がいた。
しゅんち「あと、視力と血圧と問診で終わりですね。」
課長「あれ?それだけ?」
しゅんち「え?課長は他になにかあるんですか?」
課長「俺はあと血液検査と聴力と心電図もあるし・・・」
おじさんは検査多数らしい。
しゅんち「た、大変ですね・・・。」
課長「ん〜若いっていいね楽で。」
しゅんち「本当は血液検査くらいしたいんですけどね・・・。」
課長「血液検査するなら献血でもすりゃいいんだよ。」
しゅんち「いやぁ、献血すると貧血になっちゃいそうなんですよね。」
課長「また弱々しいしいこと言ってんなーあはは」
・・などと会話しているうちに順番が来た。
検査員「じゃあ、血圧測りますので右手を出して下さい。」
しゅんち「は、はい。」
右手にベルトを巻かれシュポシュポと圧力をかけていく。 しゅんちは実は血圧は結構低めである。
検査員「・・・あれ?」
しゅんち「ん?」
検査員「・・・もう一回測りますね。」
しゅんち「は、はい・・・。」
シュポシュポシュポ・・・
検査員「んんん・・・?」
しゅんち「ど、どうかしました?」
検査員「おかしいなぁ・・・。」
しゅんち「お、おかしい?」
検査員「何か具合悪いところありますか?」
しゅんち「い、いや特には・・・。」
検査員「ん・・・はい。じゃあいいですよ。」
しゅんち「え?本当にいいんですか?」
検査員「はい大丈夫ですよ。」
何がどう大丈夫なのだろうか・・・?
なんとなく拭いきれない不安感を持ったまま検査終了。 あと残るは問診である。 問診とは今日の結果から今後の生活のアドバイスを医者から受けるのである。
医者「次の方どうぞ。」
しゅんち「お、お願いします。」
結構年配のおじいちゃんのような医者であった。 医者と見ると緊張するしゅんち。
医者「じゃあ胸みせてね。」
軽く震えた手でゆっくりと聴診器を当ててくおじいちゃん医者。 ひんやりとした感触がぞくぞくする。
医者「えっと・・・しゅんちさんは特に問題ないかな・・・?」
診察表を見ながら話しかけてくる医者。
医者「体重がちょっと足りませんね。」
しゅんち「え?本当ですか?」
医者「大体ね身長の半分くらいなくちゃいけないんだよ。」
しゅんち「し、身長の半分??」
頭の中で計算するしゅんち。
177÷2=85kg チーン
しゅんち「そ、そんなに太っていいんですか!?」
医者「太らないとね免疫力が低下するんだよ。」
しゅんち「はぁ・・・。免疫力が低下するとどうなるんですか?」
医者「結核になるかもね。」
しゅんち「け、け、結核!?」
すっかり落ち込み会社に帰るしゅんち。 しばらくすると他の人たちも帰ってきた。
しゅんち「皆さんどうでした・・・?」
M「まぁ、毎年変わらないね。」
しゅんち「俺・・・結核になるかもって言われたんですけど。」
M「え?わっははははなんだそれ!」
S「いやぁ私も結構言われましたね。」
しゅんち「え?Sさんはなんて言われたんですか?」
S「脳梗塞でそのうち倒れるって。」
しゅんち「え・・・。」
課長「俺なんて心臓発作で死ぬって。」
しゅんちはだいぶマシだったらしい。
それにしてもとんでもない医者に捕まったものである。 驚く顔を見て楽しむことが老後の楽しみだったのだろうか・・・?
健康診断とは心臓に悪い行事である。
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