shunchi極楽日記


act 227「夏の恒例行事」

しゅんちの会社の夏の恒例行事といえば「大掃除」である。
草刈りからはじまり、床のワックスがけや建物の補修などの作業を真夏の炎天下の中行うというキチガイのような行事である。

今年も見事な快晴で誰か倒れてもおかしくないコンディションである。
しゅんちは火に飛び込むかの意気込みでタオルを頭に巻き鎌を握り締め駐車場脇の土手の草刈をはじめるのだった。

実のところしゅんちはあまり草刈は慣れていない。
小さい頃に母に手伝わされたのが数回あるくらいでよくわからないのである。
しゅんちは適当に鎌を振り回し、草を刈ってみる。
本当にこれでいいのかわからないが申し訳なさ程度に草が減っているようにみえたのでよしとした。

さすがにこの炎天下での作業なのでちょっと作業しただけで汗が額や背中からにじみ出てきた。
大した成果を上げているわけではないが、見た目にはかなりの重労働しているように見えるかも・・・なんてことを考えながら鎌を振り回した。

T「しゅんち君。休み休みやれな。倒れちまうぞ。」

先輩Tさんがしゅんちにねぎらいの言葉を掛けてきた。
Tさんはなにやらビニール袋をぶら下げていた。

しゅんち「Tさんその袋はなんです?」

T「え?ああ。これはオイルだよ。」

しゅんち「オイル・・・?」

T「課長に頼まれてさっき買ってきたんだ。」

すると倉庫の方から物物しい機械を首から提げた課長登場。
課長はオイルを受け取り機械の蓋を開けとくとくと注ぐ。
そしてヒモのような物を勢いよく引っ張る。




ブロン!ブロロロロロロ!!




どうやら課長の持ってきた機械は自動草刈機。
なんだか課長はいつもより生き生きして見えるのは気のせいだろうか・・・?

しゅんち「な、なんでそんなもん持ってるんですか・・・?」

課長「家から持ってきたんだ。」

課長の家は農業を少しやっていて自前で持っているらしいのだ。
課長は機械を草に向けると手際よく一気に草を刈っていく。
その姿は様になっていた。



ブロン!ブィィィイイイイイイイイイン



けたたましい音と共に草が次々に駆られていく。
まさに大木をもなぎ倒すんじゃないかという勢いである。

そしてしゅんちが15分掛けてやった場所は





10秒で完了。




課長「しゅんちくんはフェンスに絡まったツタでも取っていてくれ。」

こうして、担当現場を近代兵器に乗っ取られたしゅんちは持ち場をフェンスへと移す。

S「課長!例の機械は持ってきました?」

土手で作業している課長にSさんがなにやら呼びかける。

課長「えー?ああ!それなら倉庫に置いてあるよ!」

S「はいわかりました!」

もう一台あるのか・・・?

そういうとSさんは倉庫からチェンソーのような機械を持ってきた。
そして植木へと向かう。


ウイィィイイン カタカタカタタ・・・


装置は音を立てながら植木を剪定していく。




うちの会社は何屋なのだ・・・?



・・どうもうちの会社の社員は農家生まれが多く、小さい頃から田植え稲刈りやらと農作業をやらされたりしてたらしい。
その人たちにかかれば草刈など朝飯前なのだろう。

T「課長!そろそろ休憩にしましょう!」

課長「ああ!もうちょっとで終わるから先休んでてくれ。」

ということで、しゅんちとTさんは日陰で先に休憩を取った。

しゅんち「それにしてもみんなすごいですよね・・・。」

T「え?ああ。みんな慣れてるからね。」

しゅんち「手際がめちゃいいですよ。」

T「わはは そうだね。」

しゅんち「隣の会社とかの人たちもみんな手際がいいのかな・・・?」

しゅんちはフト疑問に思い隣の会社の土手を見てみる。
すると不思議な現象を目の当たりにする。

しゅんち「あれ・・・?」

T「ん?どした?」


しゅんち「草が一本も生えてない・・・?」




T「ああ。除草剤撒いてるだろ。」




じょ、除草剤ぃぃいい!??



しゅんち「な、なんでうちは撒かないんですか?」



T「だって撒いちゃうと夏の大掃除やることなくなっちゃうじゃん。」



恒例行事・・・
行事を行うことに意味があるらしい。


こっそり除草剤を撒いとくべきなのかどうなのか葛藤するしゅんちであった・・・。


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