しゅんちはジムに行くとサウナによく入る。 疲れた体でサウナに行くと、脱力感も相まって落ち着いてよい感じなのである。 しゅんちはサウナはあまり得意ではないので大体5分くらい入るのだった。
いつものようにサウナに行くと、おじさんが1人上の段に座っていた。 しゅんちは上級者ではないので下の段に座る。 しゅんちは入り口上部に掲げてある12分計を眺める。 長針が秒針になっているあの時計である。
今が6だから11のところまでかな・・・。
ふーっと1回ため息を付き、体から染み出てくる汗を見ながらじっと座るしゅんち。 時計の針が8を指す頃にもう1人おじさんがサウナに入ってきた。
おじさんA「やや!どうもどうも!」
おじさんB「おお!こりゃこりゃどうも。」
どうやら、先にいたおじさんと知り合いだったらしく世間話を始めるのだった。
おじさんA「最近どうですか?結構来てます?」
おじさんB「そうねぇ〜最近は週に2、3回くらいかねぇ。」
おじさんA「おお!?そりゃがんばってますね。」
おじさんB「ほら、ここへ来て飲み会増えるでしょう?この時がんばってないと来ちゃうんだよね。」
するとおじさんBは腹をつまんで見せた。 一瞬しゅんちも自分の事を振り返り、身につまされる思いであった。
週一のペースで大丈夫だろうか・・・。
おじさんA「仕事の方は?忙しいでしょ?」
おじさんB「いやー本当最近忙しいよ〜。今日も大変だった大変だった。」
おじさんA「どんな?」
おじさんB「今日他の予定があったのによー今から来てくれって大騒ぎでさ・・・」
おじさんA「あ〜そりゃ困るねえ。」
おじさんB「他の予定キャンセルして飛んでったってのに今度は遅い遅いって文句いいやがって。」
おじさんA「あ〜そりゃタチ悪いわ。でもそちらの仕事だと生活に密着してるからそうかもね。」
生活に密着・・・・?
おじさんB「ああ、まあ水が止まったとかが一番騒がれるわな。電気とかは昼間ならまだましだけど・・・」
おじさんA「水止まりゃあトイレも使えんくなるからね。」
あーあ・・・そうか。
どうやら、住宅関係の仕事の人なんだなぁ・・・。
会話の端々から推理をめぐらせるしゅんち。
おじさんB「ま〜水が一番うるさいわ。」
おじさんA「そうなんだねぇ〜・・・。」
どこの業界も色々大変なんだなぁ〜・・・。
おじさん達の話を聞かぬフリをして思いっきり聞いているしゅんち。 サウナ室は狭いので余計に聞こえるのである。
おじさん達の世間話で暇を潰していると時計の針は10を通過した。 あと少しである。
おっと・・・11になった!
時間が来たので立ち上がろうとするしゅんち。
おじさんB「でもよー・・・一個だけ壊れても怒られない所があるんよ。」
おじさんA「え?壊れても文句言われないところ?」
え・・・?
立ち上がろうとするが興味が引かれたので立ち上がれないしゅんち。 もう既に汗だくである。
おじさんB「いや〜色んなところ行ったけど、ココだけは文句言われないなぁ〜。」
おじさんA「そんなところあるんかい?」
あ・・・
あ、暑ぢぃぃいぃいぃぃい・・・。
出ようと思ってたところで出られないのはかなりきつい。 例えるなら、マラソンでゴールしたはずなのにもう一周して下さいと言われるようなものである。
おじさんB「まー怒られるどころか逆に喜ばれたりなんかしてね。」
あじさんA「わっははは そんな所あるんかい?」
は、早く教えてくれ・・・。
おじさんA「で、どこなの?」
おじさんB「キッチンだよ。」
キッチン!?
な、なぜ・・・?
おじさんB「えー・・・そりゃ料理できなくて困るじゃねえかい?」
おじさんA「まーお父さん方は困るけどな、お母さんは料理しなくて済むって喜んじまってさ。」
おじさんB「あ〜あ・・・なるほど。」
おじさんA「そりゃ、公的な理由で外食ができ
脱出。
サウナというのは意外に面白い世間話が聞けるものである。
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