shunchi極楽日記



act 313
「免停」

しゅんちは人身事故を起こし、免許停止処分になってしまった。
人身事故をすると「刑事」「行政」「民事」の3つの処分が下される。
今回の免停は「行政処分」に該当するのである。

しゅんちの自宅に免許停止のお知らせハガキが届いた。
今回の処分は短期(30日)免停だった。
そのハガキには日時が書かれており、その日に交通安全センターに出頭しなくてはならないのである。
日程を選べない辺りが罪人扱いのような感じがして気が重くなるしゅんちであった。

・・当日。
有給を取ったしゅんちは交通安全センターに向かった。

ハガキを片手に案内を見ながら集合場所を目指すしゅんち。
待合室に到着すると負のオーラを放つ人々が吹き溜まっていた。
ヒップホップ風の若者、スーツ姿の中年おばさん、お婆さん、トラック野郎風のおじさん・・・
さて・・・この人達は一体どんな悪事を働いたのだろうか・・・。

教官「えーみなさん。お集まりいただいたでしょうか?」

しばらくイスに座り待っていると教官が部屋にやってきた。
一人一人名前を呼ばれ、自分のやってしまった罪を確認し、免許を預けていく。


この瞬間から免停である。


聞き耳立てているとスピード違反で一発免停が一番多いようだった。

そして、その後講習会の受講の有無を聞かれる。

どうやら、講習会を受けると免停期間を29日間短縮できるらしい。
要するに今日講習会を受ければ明日からまた運転ができるというのだ・・・!
しゅんちは二つ返事で受講すると返事をした。

講習会は座学、ビデオ鑑賞、シュミレーターによる運転診断と行う。
そして最後にテストが行われ、それに合格すれば晴れて無罪放免(?)というわけである

早速、テキストを見ながらの座学に入る。
意外と忘れてる事が多いなぁと思いながら真剣に講義を受けるしゅんち。
ちょいちょいとテストの問題を遠まわしに教えてくれるので見逃せないのである。



講師「えー「ライトは対向車の邪魔になるので常に下げておく」○か×か?」


しゅんちは常にライトは下げておいて、暗いなーと思ったときだけアップしているので


答えは○だ!




講師「はい。答えは×ですね。」



うぇえええええぇえ!?!?


講師「ライトは常にアップしておきましょう。対向車が来た時だけ下げます。」




むぁぁああじぃぃでぇえええ!?



講師「これねぇ・・・意外と間違えている人多いんですよね。」



今まで思いっきり間違えとりました。


・・そして永遠と思われた長い座学もようやく終わり、次にビデオ鑑賞に移った。
悲惨な事故を起こしてしまった人の話で見た者の道徳心煽るという例のビデオである。

講師「えーそれでは、ビデオを2本ほど見てもらいますんでね・・・。」

そういうとリモコンを取り出しモニターの電源を付ける。

講師「あれ?」

モニターには「ビデオ1」と表示されたまま真っ暗である。

講師「う、写らないな・・・。」

ポチポチとあちこちいじっては見るもののなかなか画面が表示されない。
ただ、音声だけは聞こえてくる。

講師「ちょ、ちょっとお待ち下さい・・・。」

講師の方はかなり年配である。
恐らく機械は苦手なのだろう。

講師「あ・・・っちょっとこちらのね、テレビで見といて下さいね。」

講師用の小さいモニターを強引にこちらに向けとりあえずビデオを鑑賞は続けられた。
小さい画面とは裏腹に音だけは大きくスピーカーから流れている。

しかし・・・



ごめん。気になってビデオなんか見れないわ。



講師「ん〜・・・どういうことだ・・・?」

講師は内線電話で誰かを呼んだ。
機械に詳しい人を呼んだのだろうか?

老講師「あーどうしたんかね?」

しばらく来たのは同じく老講師。

講師「どうやっても写らんのだよ。」

老講師「ん〜〜?ビデオって表示になっているのにねぇ?」


戦力になっておりません。


講師「でしょ?なんだかおかしいんだよ?」

しゅんちは気付いてしまった。

なぜモニターが写らないのか・・・。

テレビには入力切替というのがある。
ビデオやDVDやゲーム機をテレビに接続した時にそれぞれの入力を切り替えて画面に表示させるというものである。
で、ここのテレビは


テレビ→ビデオ1→ビデオ2→ビデオ3→ライン1→ライン2


と切り替わっていくようだ。
昔はビデオ1で写っていたのだろう。
しかしデジタル化が進む昨今、ビデオからDVDに切り替えたのだろうか。
DVDをライン1か2に接続しているので、写らないのではないかと推理できた。

しかし、画面に表示されている「ビデオ」という文字に惑わされているようだ。

講師「ここのさ・・・入力を押せばいいって聞いたんだけどよ。」

老講師「ふむ?」



ポチッ



ビデオ1・・・



ポチッ



ビデオ2・・・



ポチッ



ビデオ3・・・



講師「な、ビデオで写らんのだよ。」

老講師「ほんとだねぇ・・・。」



あと1回押せばいいんだよぉぉぉおぉぉおぉおぉ。



講師「線がはずれてるんじゃないんかねぇ?」

老講師「えーそうかね?ちょっとはしご持ってくるわ。」



どうやら大事になってきた。



講師「あーみなさんすみませんねぇ。小さいけど我慢してみて下さいね。」



見れるわけねえ。



はしごを持ってきた講師は天井から吊るされているテレビの配線をいじりだした。

講師「はずれている様子はねえなぁ・・・。」

老講師「おかしいなぁ・・・」

再び入力切替を押す老講師。


ポチッ


ビデオ1・・・


ポチッ


ビデオ2・・・


ポチッ


ビデオ3・・・


老講師「やっぱだめだなぁ。」


あと1回ぃぃいいいぃいぃぃい〜〜〜〜!!


若講師「あっ・・・どうされました?」

大騒ぎしているのが気になったのか若い講師が部屋にやってきた。

講師「いやさ、これビデオが全然写んないだわ。」

若講師「え?昨日は使えてましたけどね。」

老講師「いっくらやってもダメなんだ。」

若講師「えーちょっとリモコンいいですか?」


ポチッ


ビデオ1・・・


ポチッ


ビデオ2・・・


ポチッ


ビデオ3・・・


ポチッ


ライン1・・・


パッ


講師「あ・・・写った。」

若講師「で、では・・・」

そそくさと帰る若講師・・・いそいそとはしごを片付ける老講師。



ごめん、ほとんどビデオ見れなかったわ。


こうして、ビデオ鑑賞会が終わり、次は問題のテストである。
チェックシートで正解を選んでいくタイプである。
先ほどの座学で学んだ内容がほとんどで、イージーミスさえしなければ大丈夫そうだ。

・・テストも無事終わり、あとはシュミレーターで運転適性検査を受けたあとすべて終了である。
実に1日仕事であった。

最後に再び受講者が部屋に集められた。

講師「えーこれで、全ての講習が終わりました。皆さん、またこの講習を受けることないように今後の運転に気をつけ、運転を楽しみましょうね。」

講師の暖かい激励が心に染みたしゅんちであった。

こうして無事免許が返された。
心配していた免停問題もこれで解決というわけである。

残る処分は「刑事」と「民事」である。
民事処分とは被害者に対する慰謝料や休業補償などを支払う義務である。
これは保険で解決された。

そして刑事処分とは被害者に危害を加えた事に対しての刑罰である。
今回の状況から、悪質な行為ではなかったという点と反省態度、被害者の意向が考慮され、




不起訴になったのだった。



そして3ヶ月後・・・

全てが解決し、前川さんに最後のお詫びの電話をするしゅんち。

しゅ「あっ・・・もしもし?」

前「あーしゅんちさん?どうもどうも〜」

しゅ「色々本当すみませんでした!」

前「あーあーもういいよ。気にしないで。」

しゅ「ほんとにありがとうございました!すみませんでした!」

前「まーこれからは気をつけような。」

しゅ「はい!ありがとうございます!すみません!」

前「じゃあ・・・」

しゅ「えー・・・あー・・・」


最後の言葉・・・。


「すみません」も「ありがとうございました」も既に言い尽くしてしまっている。
これ以上言うのもなんだかしつこい。



「お元気で」・・・



これはなんとなく変である。



「さようなら・・・」


これじゃ、別れ際の恋人である。


はて・・・こういうときはなんと言うのが正解なんだろうか?




しゅ「ま、また宜しくお願いします。」




変なこと言っちゃったよぉぉおおおおお〜〜〜!!




・・・こうして、全ての事が解決したしゅんち。
改めて事故を起こすということの重大さ、他人への迷惑は計り知れないということ。
今回の事で身に染みて理解できたのであった。


本当に事故には気をつけよう。


と、今一度自分を戒めるしゅんちであった。


おわり


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