父「ところで、おまえ車どうするんだ?」
事故で大破したしゅんちの愛車。act 237記念メーター参照
かなり気に入ってたものの、走行距離はすでに10万km近くである。
更にもともと中古車ということもあり、修理をするのは考えものである。
しゅんち「ん〜・・・保険で直せるとは思うんだけどね。」
父「は?それは無理だろ。」
しゅんち「え・・・なんで?」
父「いや、だって今回おまえが原因で事故したんだろ?」
事故をした場合、相手に原因があった場合は相手の保険で修理をする。
今回の事故はしゅんちに原因がある。
ということは相手の保険は関係ないので「保険で直す」というのは普通は無理なのである。
しゅんち「いや〜・・・保険屋さんが50万円以内だったら保険で直せるって言ってたんだけどなぁ・・・。」
父「え〜本当かそれ?」
母「あんたまさか・・・車両保険入ってるの?」
しゅんち「う、うん・・たぶん。」
父「う、嘘だろ〜!?普通入らないぞ。」
しゅんち「そ、そうなの・・・?」
母「私のイメージだと、高級車に乗ってるような人しか入らない保険なのよ・・・。」
しゅんち「ま、マジで?」
ちょうど1年前に結婚を機に自動車保険を見直したのだった。
元々、タカコが入っていた保険に2人で入りなおしたのだが、よくわからずデラックスな保険に入っていたらしい。
母「た、タカコちゃんが入ってたの・・・?」
タカコ「は・・はい。私、保険の事よくわかんないから「何でもいいです。」って言ってたんです・・・。」
父「うわっはははは!お前のボロ車に保険かけてたんか!」
しゅんち「う〜ん・・・そ、そうなのかな?」
購入額39万円の車に
50万円の保険をかけておりました。
父「おい!こりゃ、保険金を頭金にして新車でも買っちまえ!うわはははは!」
母「転んでもタダで起きないわね!あははは」
思わぬ収入があったしゅんち。
これを機に思い切って新車を買うことに決めたのだった。
しゅんちの新車購入の構想としてはこうである。
・トヨタ車に乗りたい
しゅんちは日産に縁があるらしく、営業車も含め今まで日産しか乗った事がなかった。
しかし、世間の噂では「トヨタが一番」と聞くし、一度はトヨタ車に乗ってみたかったのだ。
・将来家族が増えることを考える
一応、結婚した身である。これから家族が増えることもあるだろう。
そこで、ある程度大き目の車に乗りたいところである。
しゅんちはこれらの事を考え、車種を
「カローラフィールダー」に決定した。
決してキムタクを意識したわけではない。
日本国民が一番乗っている車がカローラである。
そのシリーズで大きめのファミリーカーといえばカローラフィールダー。
この選択がベストだと思われたのだ。
決してキムタクを意識したわけではない。(2回目)
人生で数度しかない大きい買い物である。ここはなるべく慎重に事を進めたい。
既に買う事も欲しい車も決まっているのに、「ちょっと見に来ただけです。」風な面持ちでトヨタ店に行くしゅんちであった。
店員「いらっしゃいませ〜。」
しゅんち「あーどうも・・・」
警戒心丸出しのしゅんち。
まさか、今すぐにでも欲しいなんて気持ちは微塵も見せてはならないのである。
相手に手の内を探られてはならないのだ。
店員「今日はどんな車をお探しですか?」
しゅんち「そ、そうですねぇ・・・か、カローラフィールダーなんか良さそうかな〜と・・・。」
店員「あっじゃあ、ちょっと運転席にどうぞ!」
店員の言うがままに運転席に座るしゅんち。
店員「どうですか?」
しゅんち「・・な、なかなかいいですね。」
恐らく近日中に毎日乗ることになるだろう運転席である。
新しいくてかっこいい内装に感動を覚えるしゅんちであった。
店員「じゃあ、ちょっとこちらでお茶でもどうぞ!」
全く落ち着かぬままコーヒーをすするしゅんち。
店員「じゃあ、参考までに見積もりお作りしましょうか。」
しゅんち「ええ・・・じゃあ、参考までに・・・。」
店員「いつ頃ご検討なんでしょうか?」
しゅんち「いやぁ・・・まだ構想段階っていうか・・・」
本当は即納希望です。
店員「そうですかー・・・。では、具体的になりましたら是非連絡下さい。」
下調べも済み、カタログと参考見積もりを手に入れ一旦家へと帰るしゅんち。
・・・
タカコ「なんですぐ決めなかったの?」
しゅんち「い、いやさぁ・・・勢いで決められる買い物じゃないしさぁ・・・。」
タカコ「ふうん・・・。」
しゅんち「値引きとかもなるべくしてもらいたいじゃん・・・?」
タカコ「そうなの?」
しゅんち「なんとなく手の内を見せられないってかさ・・・。」
タカコ「よくわかんないや。」
しゅんちはコタツであぐらをかき、貰ってきたカタログと見積書を穴が開くほどにじっくりと読む。
燃費を考えると、排気量は低めがいいな。
特に走りにこだわりはないので、排気量は低くて充分だ。
1500CCでいこう・・・。
雪国なので4WDにこだわろうかと思ったけど、さっきの営業さんはほとんどがFFの2WDだって言ってたよな・・・。
確かに1回あるかないかの雪山道の為に4WDが必要だろうか?
燃費を重視すると2WDがベターだろうな・・・。
ぶつぶつ・・・
やはりこだわるというと内装か・・・。
さっき乗った感触が忘れられないよなぁ・・・。
Sエディションというのが内装が豪華なんだな。
お金をかけるというとこういう部分の方がいいかもな・・・。
ぶつぶつ・・・
オートエアコン・・・。
果たして必要な設備だろうか・・・。
ここはもうちょっと考慮するか・・・。
一番問題はナビだな・・・。
これは本当に贅沢品だ・・・。
しかし・・・いつかナビを付けるというのが夢だったし・・・。
ここは・・・思い切って・・・
ナビにはグレードがあって、DVDのタイプとハードディスクのタイプとある。
機能が上なのはハードディスクタイプなのである。
むぅ〜・・・予算を抑えてDVDにしとくか・・・。
いや・・・思い切ってハードディスク?
ぶつぶつ・・・
タカコ「何悩んでるのー?」
しゅんち「え・・・?いや、ナビとエアコンをどうしようかなーと思ってさ・・・。」
タカコ「ふうん。どんな?」
しゅんちはごちゃごちゃと説明をした。
タカコ「よくわかんないけど・・・
全部付ければ?」
姉さんホンマ男前やで。
しゅんち「ま・・・マジで?」
タカコ「だって保険も降りるんでしょ?全部つけちゃえば?」
鶴の一声により、欲しいオプションは全て付けることにした。
こうして、車種も内容も決まったのだった。
後はどこで買うかである。
会社で車を買うと皆に報告すると、皆それぞれにコネを紹介してくれた。
「俺の知り合いのディーラーで買えばいいよ。」
「前、買った店、サービスよかったぞ。」
「いつもの修理工場で手配してもらえよ。」
しゅんちは最後のアドバイスが引っ掛かっていた。
いつも車検や修理を出している行きつけの修理工場があるのだが、そこで買えるというのだ。
その社長はうちの会社とは長年の付き合いで、利益度外視で車を斡旋してくれるらしい。
さらに、購入後も修理も車検も全て任せられるし、これは一石二鳥である。
こうして購入先も決定し、行きつけの修理工場「信平自動車」へ向かうしゅんちであった。
しゅんち「こんにちわー!」
事務員さん「あら、こんにちは。社長呼んできますね。」
行きつけなので既に顔パスである。
社長「まいどー!」
社長といえど、バリバリの作業員である。
青いつなぎを着て、オイルの汚れが顔に付いていた。
さっきまで車の下でも潜っていたのだろうか。
小柄で気さくな感じの良い人である。
社長「どしたぁ?」
しゅんち「いや〜・・・実は車を買おうと思って。」
社長「ほんとぉ?じゃあ、こっちで座って待ってて!」
ちょっとした応接でコーヒーを飲みながら待っていると、社長が手を洗って戻ってきた。
社長「・・で、買う車決まってるの?」
しゅんち「これなんですけど・・・。」
社長「あー・・・トヨタねー。俺、あそこの営業所の所長知り合いだから聞いてみるわ。」
こうして、とんとん拍子に事が進むのであった。
社長「でさ、納車日なんだけど・・・」
しゅんち「はい。実は来週の週末に車で東京に行くんですよね・・・。」
社長「おお!そりゃそれに間に合わせたいわな。」
しゅんち「そうなんですよ。」
社長「じゃあ、ちょっと交渉してみるわ。」
・・・5分後
社長「来週の金曜日ギリギリに間に合うってさ!」
しゅんち「本当ですか!やった!」
社長「じゃあさ、オプションとか色々取り付けとくからさ、また金曜の夕方に取りにおいでよ。」
しゅんち「あ・・・!」
社長「ん?どしたぁ?」
しゅんち「来週の金曜日って・・・本社で会議があるんでした・・・。」
社長「えー本社って長野(市)だったっけ?」
しゅんち「そうなんですよぉ・・・。」
しゅんちの住む松本市から長野市へは高速道路を使って車で1時間の離れた場所である。
田舎での「高速で1時間移動」はかなりの遠距離なのである。
社長「でもさ、会議終わったら取りに来ればいいじゃん?」
しゅんち「いや、会議の後に長野で飲み会もあるんですよ。」
社長「うわぁ〜・・・そりゃ取りに来れねえわな〜!」
頭を悩ませる2人。
社長「じゃあさ・・・会社に届けといてやるよ。」
しゅんち「え・・・?いいんですか?」
社長「しゅんちさんの会社はよく知ってるしさ、鍵をポストかなんかに入れといてさ。」
しゅんち「はいはい!」
社長「次の日、出掛ける時に会社に寄って、新車に乗り換えて行けばいいじゃん。」
しゅんち「おお!なるほど!それはいいですね!」
社長「よし!そうしよう!」
・・というわけで、納車の段取りも済み後は新車が届くのを待つばかりである。
つづく・・・