shunchi極楽日記


act 343「ゴルフのお誘い」 -ゴルフシリーズ@-

コータ「しゅんちゃんゴルフはやらへんの?」

ヨーゾー「そうやで。一緒にやろうや。」

仲の良い従兄弟の2人にゴルフに誘われるしゅんち。
しゅんちにとってはもっとも縁の遠そうな大人のスポーツである。

しゅ「ん〜・・・なんかやる気が起きないんだよね。」

コータ「下手でもなんでもええで。」

ヨーゾー「せやせや。」

コータ「しゅんちゃんがもしゴルフ始めたらやねん。」

しゅ「ラク?」

コータ「ゴルフってそれだけで旅行として成立してるんやな。」

しゅ「ふむ?」

・・コータ曰く、ゴルフというのは旅の目的としてはそれだけで成立しているという。
例えばスキー旅行で「スキーをやる」という目的さえあればどこのスキー場でも旅行になる。
それと同じで「ゴルフをやる」という目的さえあればどこへでも旅行できるという。

コータ「しゅんちゃん旅行とか好きやろ?計画とか得意やろ?」

しゅ「ま、まあ・・・。そうかな。」

コータ「しゅんちゃんが旅行の計画してくれるから俺ら楽になるねん。」

しゅ「あ、あぁ・・・。」


納得したような納得できないような・・・。


コータ「しゅんちゃんが計画してくれたら絶対参加するから。」

ヨーゾー「そや!絶対楽しいに決まっとる。」

コータ「頼むからゴルフ始めてくれや。」

しゅ「んー・・・んー・・・」

ヨーゾー「そやで。とりあえずプレイできるぐらいにはなってや。」

コータ「打てなくてもええわ。投げてでもええから一緒にコース回ろうや。」



そこまでして旅行したいのか?



仲の良い2人にここまで詰め寄られてしまった。
今後のより充実した人生を考えれば始めた方がいいのかもしれない。

しゅ「わ、わかった!徐々に始めてみるよ!」




それから3年後。



一向にゴルフを始める気配の無いしゅんちであった。



期待を裏切らないぐうたらさである。


・・ゴルフと聞くと、どうも敷居が高いように思ってしまう。
金銭的にもそうだが、特にイメージである。
例えるなら「サーフィンをしよう」くらい遠い存在である。
真っ黒に日焼けして筋肉ムキムキの人に「一緒にやろうよ」と言われたら間違いなく引くだろう。
今の心境はそんな感じなのである。
3年間約束を放置しても仕方が無いと思われるのだった。

そんなある日・・・

両親がゴルフを始めた。
というよりも、元々やっていたのだがしばらくやっていなかったらしい。
どうやら老後のスポーツということを考えると運動量がほどほどなゴルフがちょうどよかったらしいのだ。

父「しゅんちは結局ゴルフ始めないのか?」

しゅ「え?んー・・・なんかイメージ沸かないってか、きっかけが無いってか」

父「まあな。おまえみたいな落ち着きない奴が出来るスポーツじゃないしな。」

しゅ「でしょ。」

軽く罵られたのにもかかわらず、あっさり同意するしゅんち。
これは相当やる気がない証拠である。

母「でも、あんたが始めたら楽しいと思うんだけどなぁ。」

しゅ「えー?そう?」

母「今、私たち2人で行くしかないでしょ?行けるコースも限られるのよ。」

しゅ「そういうもんなの?」

父「まあ、どうせやらないんだろ?えぇ!?」

父の威圧的な問いかけは昔から変わっていない。

しゅ「じゃあ・・・父ちゃんクラブ新しく買いなよ。」

父「え〜?」

しゅ「古いクラブ貰ったら始めるよ。」

母「ああ!確かにお父さん今のクラブだと調子悪いって言ってたわよね。」

父「あー・・・確かに今のクラブってイマイチ合ってないと思ってるんだよな。」

母「そうよ。買えばいいじゃない。」

父「いや〜・・・どうかな。」

しゅ「じゃあ、父ちゃんがクラブ買ったら始めるってことで。」

父「う〜む。」

始めるきっかけを父に押し付けるしゅんちであった。


・・・数日後。



父「しゅんち。ついにゴルフを始める日が来たな!」


しゅ「え?どしたの?」

母「お父さんね。ゴルフクラブ買ったのよ。」

しゅ「うわっ!マジで!?」


本当に買ったのか・・・。


父「だけどな・・・どうも新しいクラブの方がむしろ合わないんだわ。」

母「なんかダメなのよ。」

しゅ「せ、折角買ったのに?」



父「だから、新しいゴルフセットおまえに譲るわ。




新品クラブセットゲット。



そしてピカピカのバッグを渡されるしゅんち。
メーカーは「ウィルソン」。
黒のツルツルした今風のデザイン。
中を開けると全く汚れの無い光り輝くアイアンが数本顔を覗かせている。
そしてフカフカの帽子をかぶせられたドライバーが3本。

父「パターはだけは俺のお古だけどな。」

パターだけは父のお下がりだが後は完全な新品である。

こうしてゴルフを始めざるを得ない状況になったしゅんち。
今の心境はサーフィンをする気もないのに、新しいボードを買ってもらったような気分である。

・・こうして新品クラブの試し打ちを兼ねて有無も言わさず練習場へ行く事になった。
心なしか両親は張り切っている様子だった。

練習場に着き、早速打席に立つ。
最初は7番アイアンで基本的なフォームを練習するのが定石らしい。


ポイントは「力を抜く」。


野球のように力任せに振るのではなく、クラブの重さを利用し、遠心力で打つというのが基本であるらしい。
ゴルフは遠くに飛ばすスポーツではなく、機械のように毎回同じ力で打てるかどうかが問題なのだという。

しゅんちは言われるとおり次々に球を打っていく。
空振りやチョロ打ちはあるものの、何球かに1回くらいそこそこの当たりも出る。



パキーン・・・



父「ほほう。なかなかやるな。」

しゅ「・・・。」



パキーン・・・



母「良い感じに力抜けてるわね。」

しゅ「・・・。」



パキーン・・・



父「最初は普通そんなにうまく打てないぞ!?」

しゅ「・・・。」



パキーン



母「あんたひょっとしたら向いてるかもよ!」

しゅ「・・・・。」




褒め殺しか?


褒められて伸びるタイプのしゅんち。
完全に2人の術中にはまってゆくのであった。

そして7番アイアンでひたすらに打ち続けた。
気が付けばカウンターは200球ほどに達していた。


何か心に熱いものを感じ始めたのであった・・・。


つづく・・・


NEXT≫
≪BACK
INDEX

アクセス解析

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送