shunchi極楽日記


act 345「ゴルフデビュー」 -ゴルフシリーズB 完結-



練習場10回




ショートコース2回



これが父の出したコース出場条件である。

しゅんちはその後もますます練習に励み、特訓を重ねた。
手の皮は何度もズル剥け、マメはつぶれ、それでもテーピングで凌いだ。

・・そして約束の練習場10回、ショートコース2回をクリアしいよいよコースデビューとなったのだった。

今回のコースは「妙高パインバレー」。
強烈なインパクトおばさんの顔でおなじみのアパグループの経営するゴルフ場である。

行きの道中にしゅんちは父に色々と質問をした。

しゅ「ところで今回っていくらかかるの?」

ゴルフで心配なのは一番はお金である。

父「まあ、食事付きで大体1万円くらいかな。」

しゅ「1万円!?」


驚いてみたものの




実は、高いのか安いのかはよくわからない。



父「まあ・・・一日遊んでさ、食事して、お風呂も入ってくると思えばそんなもんじゃないか?」

しゅ「お風呂もあるの!?」

父「あるさ〜。今日行くところは結構良い露天風呂じゃなかったっけかな?」

しゅ「へぇ〜なんだか豪華だね・・・。」

父「一応、昔は格式高いゴルフ場だったんだよな。」

しゅ「そうなんだ。」

バブルがはじけ、格式高かったゴルフ場も大衆レベルに下がったところが多いらしい。

父「まあ〜昔から比べたら遥かに安い遊びになってきたと思うよ。」

ゴルフというとどうしても金持ちのスポーツのような気がしていた。
ゴルフ会員権に数百万円掛け、1回コースに出るのに数万円かかる。そんなイメージである。

父「バブルの時代はさ、金持ちがそういうことしたんだよな。」

しゅ「え・・・今日行くところは会員になってるの?」

父「いやいや、無くてもいけるところなんだよ。」

しゅ「あっそうなの?」

父「実際は会員制じゃないゴルフ場が増えたよな。今回のもそうだしな。」

しゅ「へぇ〜・・・そうなんだ。」

2人の話が面白かったのか、母が話しに加わる。

母「今は石川遼くんとか宮里藍ちゃんとか若くて人気のゴルファーもいっぱいでしょ。イメージ変わったわよね。」

父「そうだな〜。そういった意味でいけば、ゴルフって昔からずいぶんイメージ変わってきたかもな。」

しゅ「そうかぁ・・・。」

・・そんな話をしているうちにいよいよゴルフ場に到着。

入り口にはウエイターが待ち構え、到着と同時にゴルフクラブをスッと持っていってくれる。
そして、カウンターでチェックインをすると専用ロッカーキーを渡される。
なんだかVIP待遇である。

そして、更衣室で着替えをし、いよいよコースへと出発である。

しゅ「き、キャディーとかはいるの?」

父「いやいや、無人カートだよ。」

しゅ「ほっ・・・。」

キャディのおばさんがいたら逆に気を遣ってしまい大変である。
このゴルフ場は全てセルフだというから安心である。

・・ゲートを出ると目の前にはしゅんち達のバッグが詰まれたカートが停めてあった。
カートにはクラブは使いやすいように口を空けた状態で設置され、ドライバーの帽子も外されてた。
そして汚れた時にクラブを拭くタオルやブラシ。
雨が降った時の傘など色々と装備されていた。
まさに至れりつくせりの状態である。

皆はカートに乗り込む。

しゅ「よし、じゃあ俺がカートを運転するわ。」

父「いやいや、このボタン押すだけだよ。」

しゅ「え?」

母「走行する場所は自動で認識して進むのよ。」

しゅ「マジで!?」

父「離れてもこのリモコンで呼び寄せられるしな。」

しゅ「ふぇえ〜〜!すげえな!」

何もかも新鮮であった。

しゅんちは早速スタートボタンを押してみる。
するとカートは自動的にパインコース1番ホールへと走り出した。

カートはちょうど坂を登り始めた。
まるで何かのアトラクションのようである。この高揚感もそれに似ている。
そして坂を登ると徐々に目の前に素晴らしい景色が広がっていく。

なんという開放感・・・

普段は閉塞感のある練習場ばかりだったが
今日はなんと贅沢な広さだろうか。
見事に整備された芝、木々、池。
人口とはいえ見事なロケーションである。
贅沢極まりないとはまさにこのこと。
ドキドキ感とワクワク感で興奮せずにはいられないのであった。

そしてカートは興奮冷めやらぬまま記念すべき「パインコース1番ホール」に到着した。

父「じゃあ、クジ引けよ。」

最初に打つ順番を決めるのはクジである。
鉄の棒に線が書いてあり、線の数で打順が決まるシステムである。

父「あ・・・俺が一番か。」

しゅ「ほっ・・・。」




第一打席・・・




父。



皆が見守る中緊張の第一打・・・



さすがの父も緊張した面持ち・・・



父「じゃあ、いくわ。」



いつもよりも緊張した雰囲気で打席に立つ父。



ゆっくり振りかぶり・・・



・・・



パキーンッ!!


しゅ「おぉおおぉおっ!!」

母「ナイスショットォ〜〜!」

父の球は勢いよく青空に向かって伸びて行った。
そして小気味よく芝生を弾み、その勢いのまま中央フェアウェイに転がっていった。

しゅ「す、すげー!!すげー!!すげーーーっ!!」

父「ま、こんなもんかな。」

もの凄いプレッシャーの中でよくあのショットが出たものである。
こんなにかっこいい父をみたのはいつ振りだっただろうか。
思わず尊敬の眼差しで父の背中を見つめるしゅんちであった。

いよいよしゅんちの出番・・・



心臓の音が聞こえるぐらいにドキドキしていた・・・



ドキドキ・・・



この4ヶ月間の練習を思い出せ・・・



皆の教えを思い出せ・・・



打てるはずだ・・・



練習どおりに・・・



しゅんちはティーアップされたボールだけに集中した。



リズムだ・・・






いーーち・・・






ゆっくり振りかぶり・・・






にーーい・・・








左腕をまっすぐに伸ばしながら右手はむしろ添えるだけで正三角形をキープするようにしてダウンスイングで左ひじは常に下向きにしながらグリップは軽く握りながら遠心力を感じつつそして左脇を締めることを忘れずにたて回転で振るようにして力まず一緒にクラブも飛んでいくようなイメージで頭が上下に動かないように気をつけながらインパクトで手がヘッドを追い越さないように注意してインパクトでは右人差し指を引っ掛けて押し出すようなイメージでちょうどピストルを撃つような感覚を忘れずにフォロースルーは右肩で目標方向を押し出すようなイメージで




うわああああ〜〜〜!!








ペチーン(カス当たり)






しゅ「ああーーーっ!!」



考えすぎた。


しゅんちの今後のゴルフ人生を占う第一打であった。
そして、ところどころ大叩きもしながら楽しくプレイしたのだった。


本日の結果・・・


パインコース  62
シーダーコース 68

合計  130


まずまずの結果である!



こうして、しゅんちの初コースは無事終了した。

しゅんちは風呂に入りながら今日の出来事を振り返えった。


人生でまだこんなに楽しい事があったなんて・・・。


充実感を感じながら、露天風呂から空を眺めるのであった。
本当に皆に感謝である。
やはり運命を決めたのが父がくれたあのクラブセットだろう。


あ・・そうだ。


しゅんちは横に座る父に話しかける。


しゅ「そ、そういえばさ、父ちゃん。」

父「んん?」

しゅ「何であのクラブ買ったの?」

父「え?いやぁ別に。」

しゅ「コータがさ、あのクラブは柔らかいクラブだって言ってたんだよね。」

父「へー。」

しゅ「しょ、初心者向けだったらしいじゃん・・・。」


父「んん?・・・そうなの?


あれ?


しゅ「し、知らなかったの?」

父「いやあ、クラブの硬さとかよくわかんねえしな。」


え。


父「母ちゃんがさ、特売品の広告持ってきてさ・・・」

しゅ「・・・。」

父「ブランド品が大特価だったんだよな。」

しゅ「・・・。」

父「ちょうどウィルソンのおまえのが広告の品でさ!」

しゅ「・・・・。」





どっちらけ。




あんまり深いイイ話ではありませんでしたとさ。



おわり


NEXT≫
≪BACK
INDEX

アクセス解析

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送