shunchi極楽日記


act 352「タクシーでの会話」 

新年会が終わり、家路に着こうと思うしゅんち。
いつもなら千鳥足のまま歩いて帰るところだが今日はやけに冷え込んでいた。

酔うとどうも免疫力が低下するような気がする。
なぜなら、こうして酔っ払って歩いて帰った次の日に風邪をひく確率が高いからである。
もう我が家には赤ちゃんがいるわけだし、変な菌を手土産にするわけにはいかない。

・・ということで、今日は贅沢にタクシーで帰る事にしたのだった。

タクシーは正直、乗り慣れてない。
なんとなく緊張してしまうしゅんちであった。

しゅんちが手を上げると路肩にハザードを点灯させ停車するタクシー。
停車と同時にドアがスッと開く。


運転手「どちらまでですか?」


タクシーに乗ったときにまず困るのがこの質問である。
運転手はどこまで場所に詳しいものなのかがイマイチ不明である。
目的地に側に有名な施設や建物が近くにあればいいのだが・・・
仮に近所にあるものがちょっとしたお店しかないような場合はどうするのだろうか?
「山崎商店の側まで」とか個人商店なんかでも通じるもんなのだろうか。
とにかく、近所に有名な建物や施設がない場所に住んでいると説明が面倒なのである。

幸いしゅんちの家のそばには学校があるのでそこを指定してみることにした。

しゅ「あ・・・えーと、○○学校の辺りまでお願いします。」

さて通じるのだろうか・・・。

運「はい。わかりました。」

しゅんちの心配をよそにスムーズにタクシーはスタートした。
どうやら○○学校側で通じたようだった。
こうしてタクシーは自分が運転したら通るだろうルートをなぞるように走り出したのだった。

・・・タクシーというのはある意味個室である。
個室におじさんと二人きりなのである。
なんとなくそれだけで妙な緊張感がある。


運「・・今日は新年会ですか?」


やはり話しかけてきたか!


緊張感を破るようにおもむろに話しかけてくる運転手。
どうやら話し好きの厄介な相手であるらしい。

しゅんちは床屋やタクシーなどで話しかけられるのは苦手なタイプである。
大して話したい相手でもないし、話題が合うのかもわからない。
更に、妙に営業的なスイッチが入ってしまい話しを盛り上げようとやたらと気を遣ってしまうのである。

しかし、しゅんちはもう中年に近い大人の(おっさんの)サラリーマンである。
タクシーの運転手と世間話もできないようでは貫禄は養われないというものである。
しゅんちは頭の営業スイッチをONしてその問いに答えるのだった。

しゅ「そうなんだよねー。今日は多かったんじゃない?忙しかったでしょ?」

なんとなくタメ口で話すのが大人(おっさん)ぽい。

運「まぁ〜今日はそれなりだけどねー。この不景気でしょ?来週からはめっきりだと思うねぇ。」

どうやら運転手は不景気の話をしたいらしい。

しゅ「あーやっぱりそう。不景気の煽り受けてんのね。」

運「ニュース見ても大変でしょ?」

しゅ「あー派遣切りとか円高とかで騒がれてるねー。」

時節ネタをちょいちょい織り込んでいくのが大人(おっさん)のコツである。

運「本当、大変っすよ。これじゃ飲みに行く人も減るじゃんね。こっちにも乗る人減るでしょ?」

今度はタクシー業についての愚痴をこぼしたいらしい。

運「私もね、いつクビになっちまうかわからん時代になっちまってさ。」

しゅ「運転手さんも大変だねぇ〜。」

運「まあ私らは弱い立場だからね。一番弱い職業。」

しゅ「そうなの?」



運「お客に背中見せてるでしょ?襲われたらなにも抵抗もできんしね。」




ここは戦場か?




敵に背後を取られるな・・と、どこかの映画で見たような台詞を思い出したしゅんち。
弱い立場というのはそういう意味だったのだろうか・・・。

・・そして、タクシーは右にウインカーを出し、マニアックな裏路地を入っていった。


しゅ「あっ!この道知ってるんだ!」



運「え?」

しゅ「いや〜この道は一番近道なんだよね。自分しか知らないと思ってたんだけど・・・」


はっ・・・!


・・・・し、しまった!


調子に乗りすぎて失礼な事を言ってしまった・・・!


タクシーの運転手に「道知ってるんだ」は寿司職人に向かって「ちゃんと握れるんだ」というくらい失礼な事である。

運「わははは!いやーこの道かなーっと思ったんだよね。わはは」

しゅ「・・・わ、わはは!さすが!」

運「私もね一番近いんじゃないかなーって思ったのよ!」

しゅ「さ、さすがプロだね!プロ!」

運「そうかい!?わはは!」



大丈夫だったみたい。



こうしてタクシーは家に辿り着いた。
料金メーターを見ると1100円を示していた。

しゅんちは財布から2000円を取り出し運転手に渡す。


運「ああ、いいよいいよ。1000円で。」



褒めてみるものである。



タクシーとの会話も大事なことかもしれない。
・・・と、またひとつ大人(おっさん)になったしゅんちであった。

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