shunchi極楽日記


act 355「芸能人!?」 

ある日、ソースカツ丼の有名店に行った。
長野県の南に位置する伊那谷はソースカツ丼が名物なのである。

「ソースカツ丼」とはご飯の上にキャベツを敷き詰め、揚げたてのカツを乗せ甘辛いさらっとした秘伝のソースをかけたご当地カツ丼である。
この地方の人に「カツ丼」というと卵とじではなく、このソースカツ丼になるのだ。
珍しいのでしゅんちは伊那谷に来たときにはよく東京のメーカーの人をよく連れてくるのであった。

店内に入るとかなり混雑していた。
やはり評判のお店である。行列知らずの田舎とはいえさすがに混んでいる。
しゅんち達は2人だったので大テーブルの端っこに案内された。

おしぼりで手を拭きながらお茶を飲むしゅんち。
ふと目の前を見ると妙におしゃれな2人組がいた。

1人は黒革のジャケットにレザーパンツ。
尖がったブーツに鎖状のネックレス。
そして、サングラスに黒のおしゃれハット。

横にいる連れは太目だがどぎついカラーのシャツにラフなカーゴパンツ。
頭にはバンダナを巻き、ど派手なピアスに顔にはヒゲをはやしていた。
まさにヒップホッパーな雰囲気で「悪そな奴等は大体友達」という面構えである。

まさに田舎のカツ丼屋には似つかわしくない二人である。
ただならぬ雰囲気にどうしても気になってしまうしゅんちであった。



・・・こんなところになんでこんな二人が?



・・・ま、まさか



・・地方の人気店のうわさを聞きつけて食べにきた




・・・げ、芸能人か!?



しゅんちはチラチラと二人の顔を見てみる。
しかし、顔は見たことは無い。
でもしゅんちの知らないイマドキの筋の人たちかもしれない・・・。



ど、どこでライブだ・・・?



こんな田舎で会場あったっけ・・・?



まさか・・・お忍びか!?



しゅんちは一気にテンションが上がり、気になって仕方がない。
かすかに二人の会話が聞こえてきた。


A「しかしさー明日面倒だな〜。」

B「そうだよなぁ〜・・・。」

A「明日のシフトってどんなんだっけ?」

B「ああ、俺は遅番だから今日は大丈夫。」

A「えーマジかよ。俺は早晩だぜ。」



・・・。






芸能じゃあ・・・ねえな。




明らかに工場勤めの会話である。

それにしても最近の若者のファッションは芸能界と一般人の区別がつかないものである。
芸能人的な人にめっぽう弱いしゅんちであった。


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