夕方も過ぎ、会社はその日の仕事を終えようとしていた。
電話もあまりかかってこなくなってきた事務所は静かである。
キーボードを叩く音だけが鳴り響いていた。
カチャカチャカチャ・・・
カチャカチャカチャ・・・
と、その時・・・
チャララ〜〜ララ〜♪
課長の個人携帯が鳴る。
こんな時間に鳴る電話とはたぶん家族からだろうか。
課長「もしもし・・・」
カチャカチャカチャ・・・
課長「うん。今は平気だよ。」
カチャカチャカチャ・・・
課長「うん。どした?」
会話が事務所に響き渡る。
課長「え?どこで?」
カチャカチャ・・・
課長「そんなところで大丈夫か・・・?」
カチャカチャ・・・
課長「許可取ったのか?え?あっそう・・・」
カチャカチャカチャ・・・
課長「何人で?6人?ふうん。」
・・どうも会話の内容からすると電話の主は息子のようだ。
確か大学生で東京に1人暮らししていたはずだ。
夏休みで帰ってきていて地元の仲間と遊んでいるのだろう。
課長「火の始末だけはちゃんとやれよ。」
仲間とバーベキューでもやるんだろうか。
今夜は遅くなるの連絡だろうか。
課長「熊に食われるんじゃねえぞ。」
カチャカチャカチャ・・・
課長「ところで・・・」
カチャカチャカチャ・・・
課長「女はいるんか?」
カチャ・・・・・・・・
・・・・。
・・・・。
何を聞いてるんだこの親父は。
皆の手がにわかに止まる。
課長「あっそう・・・。じゃあ気をつけてな。ピッ」
・・・・。
・・・・。
・・・・。
・・・・。
・・・・。
で、
とりあえず気になるんですが。
しゅ「で・・・どうだったんです?」
課長「え?」
しゅ「い、いや、さっき・・・。」
課長「ん?ああ?」
しゅ「女がどーとか・・・?」
課長「ああ〜!いねえって。野郎だけ。」
後輩「本当かな〜?いるんじゃないですか?」
Mさん「居たって内緒にするんじゃないですかー?」
課長「いや〜 そういうことは自慢げに言う奴だからな。」
Mさん「まー俺が親父ならでかしたって思うかな。」
後輩「いやいやいや〜色々ありそうなら内緒でしょー。」
課長「そうかな〜。」
かなり盛り上がる。
しゅ「・・で、課長はそんなこと聞いてどうするんですか?」
課長「いやー・・・女の子いるんならこの後に飛び入り参加しようと思ってさ。」
どんな親子関係やねーん。
ほほえましい課長親子であった。
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