shunchi四国漫遊記


AM 8:30〜

ルネッサンスリゾートをチェックアウトした一行はいざ讃岐うどんの国、香川県高松市に向かっていた。


「さぬきって字に興奮」

・・昨晩の会話

父「しゅんち。明日はどんな風に行くつもりなんだ?」

讃岐うどん巡り計画はしゅんちの担当であった。

しゅ「明日は最低でも3軒以上は行きたいと思う。」

母「え〜・・・3軒も行くの?」

父「明日はその後に高知に行くんだぞ?場所も考慮してるのか?」

母「1軒行けばいいわよぉ・・・。」

父「明日は朝食もちゃんと付いてるしなぁ。せいぜい2軒も行けば充分じゃないか?」

母「私は車で待っててもいいわよ。」

父「次の行程があるしな。時間も考えろよ。」


ブチッ!!


しゅ「なに言ってんだよぉ!!」


父、母「ビクッ!」

しゅ「今回の目的はうどんじゃないの!?場所とか時間なんて関係ない!!」

皆のテンションの低さについにキレるしゅんち。

しゅ「明日の朝は食わなくてもいいくらいだ!俺は最低3軒行く!」

母「え〜・・・・私は素敵な朝食が食べたいわぁ。」

父「確かにいい朝食だと思うんだよな。一流ホテルだしなぁ。」

しゅ「とにかく俺の説明を聞いてくれ!」

・・というわけでしゅんちの讃岐うどんプレゼンテーションが開かれた。


・・香川県は人口100万人の全国で一番小さい県である。
県内にうどん屋と呼ばれる店は県内に900軒あるらしい。
人口1600万人の東京都にあるマクドナルドの数が500店舗。
こう考えるといかに一人当たりのうどん消費率が高いのか知ることができる。
(映画「UDON」より)

基本的な食べ方は大きく分けて4つ。

スタンダードな「かけ」。
冷たいうどんの上にだし汁をかける「ぶっかけ」。
釜揚げのうどんをつゆに付ける「釜揚げ」
シンプルにしょう油だけをかける「しょうゆ」
これに加え、最近流行りの釜揚げうどんに溶き卵としょうゆをまぶした「かまたま」。

更に麺を冷たくするか、熱いのか、ダシを冷たいのにするか、熱いのにするか。
呼び名も「ひやあつ」「あつひや」「あつあつ」などとバリエーションも豊富。
一つの店でも食べ方はかなりあると考えてよいだろう。

店のタイプも色々とある。
下記の通りである。

製麺所 その名の通り麺を作る所。
基本的に卸売りがメインの為、営業時間が短い。
中には2時間しか営業しないところも。
セルフ 来客がメインであるがうどんを渡してくれるだけであとはセルフで行う。
全国チェーンのはなまるうどんもコレ。
一般店 通常の飲食店と同様店員が接客してくれる。来店がメインなので時間も遅くまでやっている。比較的行き易い。

しゅ「・・・というわけなんよ。」

父「あっそう・・・。」

母「ふぅん・・・。」

父はしゅんちに渡された旅行雑誌るるぶをしぶしぶ眺めている。

父「で、どの店に行くつもりだ?」

しゅ「でね、900店舗あるのに本当に有名店は10店舗くらいなのよ。」

父「ふむ?」

しゅ「雑誌とかテレビとかみても出てくる店はほとんど一緒なんよ。」

父「ほう。」

しゅ「で、俺がピックアップした店は・・・」


■谷川米穀店(製麺所)

■山越うどん(製麺所)

■なかむら(セルフ)

■宮武うどん(セルフ)

■やまうちうどん(セルフ)

■長田in香の香(一般店)

■おか泉(一般店)


しゅ「こんな感じね。」

父「なるほどな・・・。」

しゅ「製麺所は朝が勝負だから、朝一で行く。そして、次にセルフ行って、最後は時間に余裕のある一般店って流れね。」

父「谷川・・・てのが人気なのか?」

しゅ「前情報からすると、ここはとてつもないプレミア店らしいのよ。」

父「ふむ?」

しゅ「どうも山奥にあるらしいんだけどね、行列が凄まじいらしいんだ。開店と同時に売り切れっていう噂もね。」

父「そりゃ無理だな。」

しゅ「営業時間も2時間だけだし、駐車場があるかどうかも怪しいんだよね。」

父「朝一番で行ってもだめか?」

しゅ「俺としては興味は尽きないけど、今回は諦めるしかないね・・・。」

・・というわけで、しゅんちの計画としては


山越うどん(製麺所)→宮武うどん(セルフ)→長田in香の香(一般店)


母「・・並ぶの?」

しゅ「わからん。俺も様子が全然わからんのよ。」

父「じゃあ、明日は何時だ?朝食は7時だけど?」

しゅ「7時には食べて準備して8時には出たい。」

母「朝食8時でいいわよ〜・・・。」

しゅ「ダメ!!朝早く行くの!!」


「おっ池か?いや田んぼだな」

しゅんちの熱い情熱(ソウル)が伝わったのか予定通りの8時出発となった一行。
まずは一軒目の店「山越うどん」へと向かうのであった。

しゅ「しかしのどかだよなぁ〜・・・。」

母「こんなところにうどん屋があるってのが面白いんでしょ?」

辺りは人気の少ない田舎道である。
田んぼやら古い民家が立ち並ぶ長野にもよくある風景である。

しゅ「あっ・・・そこ右ね。」

父「え?こんな細い道行くのか?」


「ライバル出現!?」

しゅ「ほらほら!前に車いるよ!ひょっとしたら山越うどんに向かってんじゃねえのか!?取られちゃうぞ!

タカコ「あはははは!!」

短絡的なしゅんちをみて爆笑のタカコ。

父「ほら、今の車右折して行ったぞ。大丈夫そうだな。

しゅ「ほっ・・・。」

車通りも少なく本当のこの先に超人気店があるとは思えなくなってきた。

母「案外すぐ食べれたりしてね。」

しゅ「う〜ん・・・」

早朝に出発なんかして、気負いしすぎたのだろうか・・・。

父「お、車が増えたような・・・あれ?」

しゅ「ん?なんか人だかりがいるよう・・・な?」



しゅ「うわあぁああああああ!!」

大行列。

父「うははは!!こりゃすごい!」

しゅ「ぴゃ〜〜〜〜〜!!ありえねぇえええ!!」

時刻はまだ9時
予想をはるかにはるかに上回る大行列に驚きを隠せない一行。
その混みたるや東京のラーメン超有名店以上であった。

しゅ「と、と、とにかく並ぼう!」

皆は急いで車を降り、父に大渋滞の中の駐車を任せた。
次々に出来上がっていく行列の後ろで忙しそうに警備員のおばさんが棒を振っていた。

警備員おばさん「はいはい!列の後ろに並んでくださいよ〜!」

他の客が警備員に質問を投げかけていた。

お客「すみません・・・ここからだとどのくらいの待ちですか?」

警備おばさん「そうですねーここだと、2時間半くらいでしょうかねぇ〜。」

お客「うわぁ〜本当ですか・・・。」


しゅ「げ・・・マジで?今の聞いた?」

母「私いくらでも並んでもいいわよ!」

折角の讃岐うどんである。
母の頼もしい発言に強気になる一行。
これくらいの行列に負けてたまるかと並ぶのであった。

・・しばらくして駐車を終えた父が駆けつけた。

父「いや〜学校の校庭みたいな広大な駐車場だったぞ。」

しゅ「マジで?」

父「駐車場の警備員もいたしな。とんでもないぞこりゃ。」

しゅ「しかし、いつもこれだけ混むんかね?」

母「GWだからかしらねぇ。」

しゅ「でもさ、この並ばせ方は馴れてる感じだよなぁ。毎日混むんだろうなぁ。」

パイロンと仕切り棒で縦に折り返し並ばせ、道路に迷惑がかからない理想的な並び場である。
それはまるで某人気テーマパークのそれと同じ方式であった。

しゅ「そういや、香川ってところは県内中がうどんテーマパークみたいなものだってなんかに書いてあったよ。」

タカコ「あーなるほど。確かにこの行列はそれっぽいよね。」

父「でもまあ、うどんなんて茹でて即出すから回転は早いんじゃないか?」

母「さっきのおばさん大げさに言ったのよきっと。」

確かに行列は長いものの結構良いペースで前に進んでいった。


AM 10:30〜

警備員のおばちゃんが言っていた2時間半というのはやはり大げさで、1時間半程度でようやく順番がまわってきた。
恐らく、あまりに混みすぎても困るからあえて大げさに言って追い返しているのだろうか。
要するに並ぶ根性の無く文句がある人は帰って下さいと言わんばかりなのだろう。


「しかし安いよなぁ」

しゅ「さーて、なに頼む?」

母「あんたにまかせるわよ。」

うどんは小(1玉)大(2玉)となっている。
1玉は約200g。ご飯茶碗一杯分である。
今日の目標は3軒なのでなるべく量は抑えたいところである。

ここは「かまたま発祥」の店と呼ばれているので「かまたま」は外せない。
そして、山芋をかけるというのも最近名物らしい。
しゅんちは適当に4つ注文した。


「揚げ物充実」

注文のうどんだけをどんぶりで渡されるとそのまま横にある揚げ物コーナーへと移動。
会計を済ませた後、だし汁やしょう油が置いてあるコーナーへと更に移動し、好きな味付けをする。
そして、ベンチが置いてある中庭へ移動し好きな場所で食べるらしい。


「ひぃ〜うまそう〜」

しゅんち達が頼んだものは「あつあつ」「ひやあつ」「釜玉」「月見山かけ」。
女性陣は磯辺揚げと芋天をチョイス。
そして適当な場所をみつけそこへうどんを運ぶのであった。


おばさん「あ〜やっぱりここの麺が一番好きだわ〜。」


フト、横に座っていたおばさんが感嘆の声をあげる。
口ぶりからはいつも食べてる風なので地元人なのだろうか。
そのコメントに更に期待が高まる一行であった。

しゅんちは席に座ると箸を割り、勢いよくうどんをすすった。


「初公開しゅんちのくちばし」

スバッ ズバババババッ ズババババ〜〜〜〜



つるっとした舌触りの太目のモチモチ麺。
その中に固すぎないしっかりとした麺のコシ。
さらに小麦の香り高い味わい。絶妙なダシと絡み合って口に滑り込んでくる。

タカコ「あ!おいしいぃ〜〜〜!」

最初に感激の声を漏らしたのはタカコ。

しゅ「ふむ。」

しゅんちはうまいとは思いながら感想は


普通にうまい。


しゅ「確かにうまいんだけど、うどんはうどんだよなぁ・・・。」

しゅんちの期待としてはうどんの常識を覆すほどの味を求めていた。
しかしサプライズではなくベターな感じであった。
父、母も無言でうどんをすすっていた。

タカコ「ん〜他の店を食べてみたいね。」

しゅ「そ、そうだな。」

しゅんちがこの店の味が凄まじいということに気付くのはもう少し後になるのだった・・・。


「おっ行列少な目!」

2軒目「長田in香の香」。
当初予定していた「宮武」は臨時休業であった。
父の推理だと、GWは混みすぎて面倒なので海外旅行にでも行ってるのだろうと予想した。


「中は大混雑かー」

山越ほどではないが店内は大賑わいであった。
しかし10分程度で席に座れたのだった。

「長田in香の香」は釜揚げうどん専門店である。
タライに入ってみんなで食べるのが楽しげである。

しゅんちは「タライ小」を注文。
小といえども6玉分である。


「どどん!」

皆はとっくりに入った暖かいめんつゆを器に移すとゴマや酢やネギを入れ味を調整した。
そして、勢いよく一斉にうどんをすする。


ズゾッ ズゾゾッ ゾゾルルルルルゥ〜〜〜


麺は割りと細め。黄色い色が付いてるのが特徴的。
つるっとした舌触りに先ほども感じた小麦の味わい。
つゆもおいしく、飛魚のダシのような香ばしい味わいであった。

母「私、ここの方が好きかも!」

皆は2軒目だというのに苦もなくするりとタライうどんを平らげた。


PM12:30〜

時刻はすでに昼過ぎ。
大体の有名店が午後2時くらいの閉店なので、有名店に行くのは絶望的であった。

父「とりあえずどんな様子か見に行くだけ行ってみるか。」

すっかり父は次の予定など関係なくなり、うどんに協力的であった。
しゅんちは助手席で地図を眺めながら曖昧な指示を送りつつ目的地に向かっていた。


「この山はさぬき富士と言われてるそうな」

のどかなる風景を眺めながら一行は有名店「なかむら」へと向かう。
なかむらとはかの有名な「薬味は畑のネギを勝手に取って使って」という究極のセルフの店である。

父「・・・本当に住宅地にあるんだなぁ。」

土手沿いの民家が立ち並ぶ田舎町の中に突如と現れる行列。


「おばあちゃん家に行列帰省」

父「ああ!あれじゃねえか?」

しゅ「あーでも、本日終了の看板があるねぇ。」

父「わはは なかなか雰囲気あるなぁ。」

すっかりこの雰囲気に面白さを感じた父。
昨日までのやる気のなさが嘘のようである。

しゅ「さっき覗いたおか泉(一般店)も恐ろしい行列だったし・・・この後どうしようか?」

父「もう一杯くらいは食べれそうな感じだよな。」


「まるって付く店おおいよね」

しゅ「おっ・・・地元チェーンぽいけど、割と賑わってるよ。」

フト国道沿いの看板に目がいくしゅんち。
駐車場を見ると結構混んでる上に、地元ナンバーばかりである。

しゅ「こういうさ、いわゆる普通の店に入ってみるか!」

その店は「まるいち」。
地元のサラリーマンや作業員やらで結構賑わっていた。
とはいえ席も結構空いており、すんなりと席に座る。


「磯部揚げがうまいよね」

父「俺はかまたまにしよう。」

しゅ「おっ かまたまにハマったの?」

父「いやいや、山越でもかまたまだったから食べ比べてみようかなーと思ってさ。」

父のうどんに対する姿勢にかるく感動すら覚えるしゅんち。


「父のかまたま覗き見」

ズバッ ズバズバババ〜〜〜

しゅ「ふむ・・・割といけるぞ・・・。」

しゅんちが食べているのは「ぶっかけ」。
つるっとした舌触りにしっかりした麺のコシ。
チェーン店とはいえど侮れないお味。

母「あれ?ちょっと違うわよこれ。」

しゅ「え?マジで?」

母が食べているのは「かけ」。
しゅんちは早速一口貰うことにした。

ズルッ ズルルル・・・

しゅ「ありゃ・・・本当だ。」

山越、香の香では暖かくともつるっとした感触、麺のコシは失われなかった。
しかし、ここのかけはさっきまでとは明らかに違うことがわかった。

思い出すと、山越のかけは暖かろうが、冷たかろうが、麺のおいしさは全くかわらなかった。
ここへきてようやく山越の凄さに気付きはじめていたしゅんちであった。

タカコ「冷しだと麺のコシが強くなるし、違いはわかりにくいのかもね。」

しゅ「そうかもなぁ・・・このぶっかけは充分にうまいもんな。」

しゅんちは他の味を確かめるため、あつぶっかけをもう1杯頼んだのだった。


「店内に貼られた面白ポスター」

父「しゅんちゃんもう1軒いくか?あはは」

すっかりうどんを食べまくり、満腹状態のしゅんち。
苦しそうなしゅんちを見てからかう父。

しゅ「い、いや・・・さすがにもう食えねえわ。」

父「最終日もまたここに(高松市に)泊まるから(讃岐うどんを食べる)チャンスあるぞ。」

しゅ「あ!そうか!」

こうして、うどん巡業は最終日の後半へと続くのであった。


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